フリーワンライ
Twitterでの週一の60分間のお題をもとにショートストーリーを置いていきます。
2019-07-06(土)
願いをひとつ
【第71回 二代目フリーワンライ企画】
・とうとう最後
・晴れ男と雨女(性別部分は組み合わせ自由)
・ぶりっこ
・短冊の願い事
・義理のきょうだい
この中から一つ以上選んで執筆してください!
[願いをひとつ]
雨降りの日が続いているが今日は珍しく晴天だ。空は青空から夕暮れに変わりつつある。
「貴方と過ごすのはとうとう最後だね。」
「ああ。」
連絡するともよこせとも言えずに二人は黙って空を見上げる。
晴れ男と雨女。まさにその言葉通りの者たち。彼が願えばその日は晴れ、彼女が外出に行く先は必ず雨。そんな二人が一緒に出掛ける先は曇りとなる。
しかし今日だけは良い天気であってほしいと願いは届いたのか青空が見える一日となったのだ。
「短冊の願い事、叶うといいね。」
「どうだろうな」
彼女の言葉に彼は苦笑いをする。書いては見たものの叶うとは思っていないらしい。
「そうよねぇ・・・・・・・・・」
彼女も苦笑いをしながらも猫のように毛並みのよい耳の近くの髪を指でくるくると巻きため息をつく。異形の姿の彼女がこの世界に落ちて三年、世界へと繋がる扉が今夜開かれるのだ。異界に行けばこちらにはもう来れないだろう。
扉をくぐるとき、彼女は笑顔を向けてきた。辛そうな様子をみせてはならないとこらえているような表情に彼は自分も笑顔で送り出す。
望んでいた世界に帰れるのだから悲しんではならないと言いきかせているうちに扉は閉じた。
そんな時から一か月後の朝、父親が今夜再婚相手を連れてくると行ってきた。
反対する理由はなかった。
黒く長い髪に猫のような耳、すらりとした背はまさに異形の者。そしてその隣には彼女がいた。
「願い事叶ったね。」
「えっあ、あぁ」
確かにもう一度彼女に会いたいとは書いたけどっ義理のきょうだいなんて望んでない!
喜んでいいか絶望していいかわからないまま心の中で叫ぶしかなかった。
〈おわり〉
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