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★右京の日記★←建前ではなく、本音を語る日記です(^^)
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2023-08-27(日)
アニメ「Lv1魔王とワンルーム勇者」について

 最近のアニメはやたら「転生もの」が多く、海外でも人気を博しているそうだ。皆様も「転スラ」や「無職転生」というタイトルをお聞きになったことがおありだろう。しかし、流行るのは結構だが、今やアニメは転生ものが殆どで、設定も日本の平凡な高校生やサラリーマンが転生先で新能力を得て大活躍とパターン化しており、何を見ても内容に大差はなく区別がつかないと言っても過言でははないほどだ。
 そんな中、「Lv1魔王とワンルーム勇者」が異彩を放っている。時代も場所も特記されてはいないが、一見現代の日本風。実は十年前に人類と魔族との大戦争があり、勇者4人の一行が魔王を倒してくれたお蔭で今平和が訪れている。その英雄たちは人々に感謝され、さぞ幸せな日々を送っていると思いきや…

 ある日、勇者(マックス)に倒され死の眠りについていた魔王が十年の眠りから目覚め、リベンジするためにマックスのもとに来た。物語はここから始まる。魔王はマックスに自分が再度戦うために来たことを宣言する。が、傷が思っていたよりも深手だったため十年の眠りでは完治できず、やってきた魔王は、何故かセーラー服を着た10歳くらいの子供であった。そして対する勇者マックスは、魔王戦のあとに起きたあまりにも色々な出来事の為、すっかり心が折れてしまっていて、かつての勇姿はどこにもなかった。しかし、腐っても元勇者、未だに10メートル幅の川くらいなら飛び越せるし、魔王戦の頃の俊敏さも剛腕も衰えてはいなかったのだが…

 実はこの魔王、無類のお人好しで、そんな勇者に感情移入し、昔の彼に戻そうとあれこれと身の回りの世話をし、毎日食事まで作ってあげることに。おかげで、それまで昼から酒を飲んで一日中覇気なく過ごしていたマックスは、段々と顔にも表情が戻り始める…

 というような出だしで始まるのだが、勇者のシビアな現実のストーリーが会話や言葉の技巧が上手くて十秒に一度は笑わせられるし、畳みかけてくるギャグは笑って息ができないほど面白く、ちょっと見ギャグ漫画、ギャグアニメと思われる。

 しかし、私は毎週泣かされてしまう。何とも言えない哀愁があるのだ。
 公園で近所の子供達相手に十年前の戦いの話をしながら遊んでいる。それをたまたま見かける魔王。
「本当はあのくらいの子供がいてもおかしくない歳なのだろうな」

 そこにひとりの母親が迎えに来て子供を叱る。
「やべ、かあちゃんだ。ごめん、勇者、俺帰るね」
「ああ、気をつけてな」
「じゃあ、おれも帰るよ。本当は勇者と遊んじゃダメって言われてるんだ」
「ああ、かあちゃんの言うことは聴いた方がいい」

 魔王を倒した勇者…もう魔王はいないのだから存在価値はない。一番輝いていた人生の若い時期を魔王倒しの旅に費やしていたので、結婚もしていない。平和になった今、無用の長物と人々に馬鹿にされながら安アパートの一室で死んだように暮らしている。バックに流れるスパニッシュギターが、何とも哀愁があって、涙を誘う。
 勇者一行の中で一番世渡りの上手い僧侶(フレッド)は、魔王倒しの実績を手に国家中枢で働いている。
 戦士(レオ)は高潔な男で、王国の北のへき地に追いやられ共和国をつくり、母国と一触即発状態。
「高潔な人間ってのは周りにもそうあるように求め強要するものだ。上手くいきっこない」(フレッド談)
 こうして、かつての勇者の仲間達は、それぞれが決して幸せでないまま、仲間同士で戦うかも知れない事態に相なっている。

 と、今まで書いてきたが、この作品は登場人物の心中や性格の細部まで描いており、外交問題にまで言及していている。その視野の広さだけを見ても、単なる勇者一行をもじったギャグアニメではなく「ゴルゴ13」、「進撃の巨人」に続く貴重な「政治アニメ」だ、と私は思う。

 (東京MX 毎週月 22:30〜)

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