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diary
徒然なるままに加賀の日常やら庭球王子様のことをかきなぐっております(`・ω・)о

2009-06-14(日)
鳳宍パラレル!

↓※いつもの鳳宍パラレル!長めかも…^^;












「ねぇ、お母さん!もう牛乳ないの?」

「冷蔵庫にあるだけしかないわよ」

夕飯の支度をしている母親に疑問を投げ掛けるその瞳は心配そうに揺らいでいた。母親の言葉を受けると頭を垂らせ、あからさまに落ち込んでしまった。

「しょうがねぇよ、ないもんはないんだから。
明日、一緒に買いに行こ!な?」

かわいい孫を景気付けるべく、母親の隣にいたただでさえ若く、また歳の割りに若く見える長太郎の祖母、亮子が長太郎の元にやってきて、手触りのいい銀髪を掻き混ぜる。
大好きな祖母の言葉に先程までの暗さが嘘のようにその提案を笑顔で了承した。
そんな二人を見て母親は、本当は牛乳を切らしそうであったことを知りつつ買わずに帰宅し、案の定息子の「一日にコップ三杯の牛乳を飲む」のノルマに一杯足りなくなってしまったことに少なからず罪悪感を感じた。
小学校低学年の息子は、クラスでも背は低いほうで、彼自身がそのことをとても気にしていることは知っている。
しかし未だに空港での約束を叶えようと必死な姿を見ていると、幼いと見くびっているのはこちらの勝手で、その公約を果たしてしまうのではないかと恐くなってしまう。
かわいい息子の嫁が男になってしまうことに嫌悪感を抱くのではなく、条件が守れなかったらすんなり彼のことを諦めるのではないかと淡い期待がそうさせてしまうのだ。
彼にフラれて傷つくより、最初から彼の条件に合わなければ幼い恋心に対する傷は小さいだろう、そう思ってのことだった。

気が付けばまた親子揃って夕飯の支度を再開し、息子はソファーに座ってテレビを見ていた。
そのとき、玄関から物音がし、隣の母親がピクリと反応した。
「ただいまー!」と仕事疲れを知らなそうの声がしたかと思うと勢いよくリビングの扉が開き孫とよく似た銀髪をふわふわさせながらキッチンに入ってきた。

「りょーこさーん!会いたかったよー!!」

「はいはい。ったく…今朝も会ったろ」

ガバッという効果音が似合いそうに勢いよく隣の母親に抱きついた。悪態をつきながらも漆黒の長髪から覗く耳が赤いのはいつものこと。

「あ!」

父親の胡散臭い声に反応した母親が父親のほうを振り向いた途端、隣でリップ音がしたのは想像に難くないことだった。

「てめぇっ…!」

「えへへvVおかえりのチュー!」

「…今あたしが持ってんのは?」

「…ほ、包丁…です。」

「長太郎と一緒にテレビでも見てろ」

毎日毎日よくやるなぁ、と傍観していると、父親は大人しくキッチンを後にし、愛らしい長太郎の元に向かい、隣に腰かけた。

「おじいちゃんおかえりー」

「ただいま、長太郎。あ、そうそう」

おもむろに立ち上がると部屋を出て玄関に置きっぱなしにしていた荷物を全て持ってくる。その中から珍しいものが顔を覗かせ、長太郎が驚喜した。

「牛乳!!」

「うん。もう切らしそうだったでしょ?一応買ってきたよ。絶対亮くんより大きくなろうね!!」

「うん!!おじいちゃんありがとーう!」

もしかしたら二人を傍観しながら、えっ、と口にしていたかもしれない。
長太郎の母親が私の小さな努力が…と思っていると隣から「おい!」と叱咤する声がした。

「食事の時に一緒に飲めよ!カルシウムの吸収率が上がるってテレビでやってたぞ!」

母親の言葉に娘が肩を落としたことなど当人は知る由もなかった。両親の娘の努力を嘲笑うような言動…。期待した娘が馬鹿だったのかもしれない。

「おばあちゃんありがとーう!
あ!ね、今日一緒に寝てもいいー?」

「長太郎何言って「ん?いいぜー」

「亮子さん!?俺は!?」

「お前なんか知るか!さっきの罰だ!!」

「そんなぁ…。」

愛妻家の父親が妻に逆らえる筈もなくがっくりと肩を落としているのが目に入る。勿論、その隣で笑顔の息子の姿も。横を見れば母親がそんな二人を見ながら微笑んでいた。

そんな家族を見て、みんなが幸せならそれでいいか、と漠然とした気持ちになった日であった。





超長!!
長太郎こ祖父母は鳳宍な感じで!
何十年経っても新婚さんみたいなね!(・∀・)
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