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[0001] 砂の埋葬
By 紅魚
2007-10-17 21:43:44

たいせつなものは
いつだって砂の中。
積み上げても積み上げても
ほろほろと崩れてしまう蛍光性の粒子の奥、
そろそろとうずめてしまいたくなります。
波打ち遠く、
ひっそりとひっそりと隠したその隣に
あたしもそうっと横たわって、
くるぶしを砂が掠める感覚に、
身じろぎしたり、してみたいと思うのです。

しゃがみ込んで、
あなたのつま先に、砂を、かける。
ぱらぱらと散るそれは、
大半を風に流されながら、
それでも、
辿り着いた幾粒かは
カチリとした長石のような爪に弾かれて、
きっと、
花火のように色彩を変えてゆきます。

(うごか、ないで、ね、
  こぼれちゃう、よ。)
あたしの要求に、
あなたは応えてくれるでしょうか。
くすぐったさをこらえて、
じっとしていてくれる、かしら。
いいえ、いいえ、
きっと、
無理だよ、って、
口許にしわ刻んで、笑うんでしょう。
あたしは、
その、やらかい唇から滑り落ちた、

  む。

   り。
  だ。

   よ。

の、優しい響きのひとつひとつにも、
丁寧に、丁寧に、
祈るよに、
砂を、かけてゆきます。

(あたし、
 ほんとうのさいわいを
 ねがったり、しません。
  あなたとの、あんねい。
  それだけが、ほしい)

ぽつぽつと散らばった、
小さくてまろやかな塊と、
苦労して、どうにかうずめた
あなたのつま先、と。

陽光と不可思議な風紋に彩られた、
白い一群は、
さらさらと静かに風化してゆく、
この上なくやわらかな、
あなたの、墓所。
つまんだ砂を
はらはらと零し続けるあたしは、
その忠実な墓守りに、なります。

波の音、波の音、

波の、音。

    内側に、あなた、内包した、
  温かな、砂に、寄り添い、ながら、

潮騒を子守歌に、
いつしかあたしも、
さらさら、と、
さらさらと風化、する
砂の眠りにつくのです。



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[0002] By 如月
2007-10-21 08:57:42
こんにちは

心地良く拝読させて頂きました。
雑談板で「かかってこい」とのレスを見かけたのですが 笑

どうなんだろう、この作品は批評という場に出て良いのだろうか、して良いのだろうか
そんな引き合いに出したくない作品です
(良い意味でね)

なにか、柔らかな風が、
カーテンをゆらす昼下がりの午後に
ふと、この作品を読んで
そっと、静かにしまって
しばらく空でも眺めていたい。
そんな純粋な気持ちにさせてくれる作品でした。

ありがとうございました



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[0003] By 紅魚
2007-10-22 12:38:09

如月さん、
嬉しい言葉をありがとう。
純粋、な、気持ち。かぁ…。

苦しい時に書いた詩、です。

純粋といえば純粋、なのかな。
恋情を、煮立たせて、蒸溜した、
水、みたいな。
煮詰まった、どろり、の先に、
たどり着きたくて。

一日中、
"あなた"を、砂の中に隠してしまう、て、
空想をし続けて、
そうやって、出来た詩です。

あまり健全でない妄想が、
こうやって、
誰かの気持ち動かすことできるんだから、
詩人、て、得ですね(笑)

なんて、
金魚は、ぱくぱく、
お喋りが過ぎて不可ませんね。
感想、
ありがとでした。

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[0004] By 鯨 勇魚。くじらいさな。
2007-10-22 13:48:21
はろ。仕事の休憩中に感想を。
(笑)

〉身じろぎしたり、してみたいと思うのです。
まで、伝えたい言葉、詩の概要に触れながら、感情を記しているようでした。
大切。の、ひらがな。に、やさしさを知ります。題名、砂の埋葬からは、おもいつけない書き出し。大切を、こっそり隠すという、なんだろな。裏の感情っていうか、せつない感じにもとれるかな。

〉しゃがみ込んで、
〉大半を風に流されながら、
〉辿り着いた幾粒かは

からは、んと、
風と砂、あなたとの距離を感じます。

(うごか、ないで、ね、
  こぼれちゃう、よ。)

以降、要求というよりは、無理矢理的に感じました。あたしは、言葉の切れ。から、やっぱりさみしいのかなとか、ほんとに、しまい込むようでさ。

〉  む。
〉   り。
〉  だ。
〉   よ。

その次の括弧までは、その、むりだよ。って相手が言う。のにもかかわらず、砂をかけていく、気持ちが、見えるな。

〉(あたし、
 ほんとうのさいわいを
 ねがったり、しません。
  あなたとの、あんねい。
  それだけが、ほしい)

この括弧内で、やはり、単語の選びと、気持ちのレベルであったり、適語が各所にみえる。安心ではない、安寧。の、あんねい。深さとか、次の、まろやかな塊。とか、苦労して、どうにかうずめた。あたり、このへんは、結構すきだな。

〉陽光と不可思議な風紋に彩られた、
〉白い一群は、
〉さらさらと静かに風化してゆく、

風紋。風化。白い一群。に、修飾された各言葉は、うまく墓所をみせているとおもう。

〉この上なくやわらかな、
〉あなたの、墓所。
〉つまんだ砂を
〉はらはらと零し続けるあたしは、
〉その忠実な墓守りに、なります。

完全埋葬されたみたいな描き出しだけど、波の音、に、気がつくまでの鼓動のしずかさと、墓守り、としての、ふたりの居場所の確保のようにおもいました。

〉波の音、波の音、

〉波の、音。

このあたりから、上の連と、関係しながらの進行。読みやすいとおもう。

〉    内側に、あなた、内包した、
〉  温かな、砂に、寄り添い、ながら、

あんねい。なのだろうな。と、おもった。

〉砂の眠りにつくのです。

砂の埋葬。なのだな。
と、おもったが、
砂による埋葬。なのだよね。

言葉のまま、詩のまま、うん、も、いわさずに、相手に、埋葬されたなら、愛情なのだろうな。

うちにとって、くれをの詩の中では、
難しい詩でした。

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[0005] By 紅魚
2007-10-22 14:14:33

鯨さん、
ありがとう。

難しい、かな。
埋められてみたら、
わかるよ(笑)

空想の中の世界だから、
言葉は、
シンプルに。

砂は、さらさら柔らかくて、
温かいです。
土にうずめるのと、違うの。
ちょっと動いたら、
出て来ちゃうから、
隠したつもり、で、
息、ひそめて。
それでも、やさしい、
白色、の。

細切れに、されても
世界、崩れないから、
鯨さんの読み、は、
好きです。
自分でも見えてなかったことが、
見えたりする。

ありがと、でした。

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[0006] By hope
2007-11-01 20:14:07
 
好きなんです。

とっても素敵な、不思議な感覚、感触、です。

素足で、濡れないようにと、しゃがみこんで、それはもちろん波打ち際で。
波と一緒に押し寄せて、そして、その波で、沈み込む、優しすぎて遠慮の無い、砂の、その、感触が。


それが、この詩の中の、【波の音】で、それはきっと【風】だったとしたら【おんなじかも】って、嬉しいのにな、って一人妄想です(笑)

大切な、大事な、人、モノ、コト、あとそんな、風景とか、そんなの全部を、たとえば砂の奥に埋めておきたくなります。
私も、子どもの頃の記憶に、在ります。砂は風に吹かれて消えてしまうのかな?それを、風化、というのかな?
掘り返してみても、見つかりませんでした(笑)


そんなコトを思い出してみたりして(笑)


 砂 って、とっても脆いから、脆いからこそ、【砂】でなきゃいけなかったと…一人妄想が繰り広がりました。





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[0007] By 双葉月ありあ
2007-11-01 23:04:52
これ、なぜか私は、埋められる自分、を思い描いてしまうんですね。
それもその空想が、ものすごく心地よい。

さらさらの、やさしい温度をもった、きらきら輝く綺麗な砂。
それが、まるで自分が砂時計の中に横たわっているかのように、ゆっくり、でも一定の連続した流れをもって、自分の上にさらりさらりと着陸してくる。

自分はただ目をとじてまどろみ、自分を包み込んでゆく砂と自分自身とが同化してゆくかのような感覚を覚え、

うん、とにかく、夢のような、幸福な空想なんです。

それはたぶん、その砂をかけているひとの心が、愛、だからなのでしょう、ね。
降り注いでくるその砂は、愛の化身。
愛という砂に、埋められる幸せ。なのだと思います。

…って、私はこんな空想に浸るほど愛に飢えているんでしょうか……(苦笑)

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[0008] By 日向
2007-11-02 03:05:47
>ほろほろ
>そろそろ
>ぱらぱら
>ぽつぽつ
>さらさら
>はらはら

多いすね。笑
けれど、イメージの邪魔をしない。
この擬態語の操り方は、本当に羨ましいです。


>たいせつなものは
>いつだって砂の中。

冒頭にバーンと提示される、書き手の思想が、終盤につれて違ってきているような、気がします。
砂の中に、ある、のではなく
砂の中に、しまう。
大切さを見いだすよりも、安寧を望む。
どうなんだろ。
読めば読むほど、近しい感受をするほど、頭が混乱するのはなぜ!


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[0009] By 紅魚
2007-11-02 08:16:00
hopeさん。
はじめまして。

砂、って、
流動する、から。

風と砂。それから海。
秘密。秘密。

露わにならないよう、
守る、みたいに、
砂をかけ続けるの。

寄り添う、ための、
埋葬。
切実な、
いのり、です。
でした。

どうも、ありがとう。



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[0010] By 紅魚
2007-11-02 08:22:30
ありあさん、ありがとう。

埋められる、側。
なってみたい気もします。

愛。
なんだけど、
半ば、強引に。

心地よい、と言ってもらえて、うれしい。

慈しむ、つもりでも、
そう、感じてもらえなかったなら、
独りよがり、の、
行為になってしまう、から。

実際、
どんな感覚、
なのでしょうね。

とりあえず、
今度、埋めてみることにします(笑)



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[0011] By 紅魚
2007-11-02 08:35:17
日向さん、おはようございます。

擬音は、
勝手にでてきちゃうから(笑)
よくも悪くも、
そういうリズムが、染み付いていて。


そう、だなぁ。

大切、だから、

人目に触れないように、
隠しちゃいたい。

逃げ出せないように、
拘束、したい。

二つの感情。

一連は、前置き。

以降は、妄想実践編(笑)

しまう。だけなら、
埋葬。でなくてもよかったのだけれど。

永遠に、変わらない。
変わりようのない、安寧。
の、ための、埋葬。

サロメ、の、心地。
を昇華しきれなかったせいで、混乱させる、の、かしら。


ありがとう、でした。



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[0012] By 遊佐 瑛
2008-05-21 12:21:13

はじめまして
遊佐と申します。
詩とか、文学についての知識が浅い為、上手く批評とか出来ませんが、
この詩は、とても綺麗で深みの在る作品だなあと思いました。
こんな詩を書けたらいいなあと、羨ましく思うばかりです。

うん、傑作だと
思います。

未熟な感想ですが。



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[0013] By やす
2010-04-01 15:50:49

皆さま、お久しぶりです。といっても、誰か此処を見ているのだろうか?久しぶりに過去作を読み返していたら、レスをつけたくなったので、ほぼ独り言のようですが。

まず最初に感じたことは、美しいなあ、ということでした。こういう文脈や言葉選びを、さらさらした砂と形容出来るのでしょう。紅魚さんの、よくも悪くもある癖の句読点も、まったく気にならずに読めました。

詩の導入部は、私はもうすこし幅をとった方が良いのではないか、と思いました。ある程度長い詩というので、一貫して書かれることは凄いことだとは思いますが、そこだけが唯一、しんどいと思いました。

>しゃがみ込んで
>ぽつぽつと散らばった

から始まるこの2つの連は、正直泣きそうになりました。

>苦労して

の文章は、秀逸だと感じます。

着地も綺麗に決まっているのが、この詩の成功しているところでもありますね。

全体を通して言えることは、映像は凄く美しく、言葉選びも秀逸で、殴り書きのようなリズムをもたせることで、心に迫る危機感をもたせている、私にはまだまだ書けそうもない素晴らしい作品だと思いました。

そして、徹底的に風光描写だけを書いた詩も読んでみたいな、と思いました。

ありがとうございました。

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