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[0001] 絵空事
By 椿 彦水
2008-07-28 19:15:10
頭上に絵を書いて、それがゆっくりと確実に回るものだから、置いていかないで、って。時計の針をぐるって一周戻したりしても、時の砂は風にまかれて、ちらちらと光ったりするのです。


放物線の先の夏の香りを運ぶ、渡り人は優しい笑みを浮かべては、上を向いて涙を隠すのでした。

天使の輪なんていらないよ。ただあの空に、貴方の好きな色を一つ足してみたかったの。
魚だって空を飛ぶし、昼間でも星が輝くわ。
子供の絵みたいって。
きっと綺麗でしょ。



欲張って青ばかりを吸い込むから。咳き込んで、吐き出してしまう。本当は何もない、空っぽ。
それでも、赤々と体温を伝える夕刻が、胸を叩くから、嫌い。
思い出が少し流れて、鼓動は手に伏せた。
忘れた頃には雨も降る。



意地悪な嘘。嘘。うそ。を、散りばめた空。
(あ、流れ星、だよ。)
届きそうで掴めない、から、願う事しかできない。それでも私には輝いて見えるのですから、この距離が愛しいと思えるのです。

月が世界の中心に立った頃、私は、また何かを失っていく。
それに気付く事ができたら。大人になった。って事なのでしょうか。

 
(ここは
   はじまり
 
     おわりは
       にじの
        むこう)

ほら、手ですくった誰かの声が、夜の空に零れていきます。
泣き声も、笑い声も、時の砂と共に。絵に書いた空のように。
 
 
 


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