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ブラック組織MOSA

≫ マスカレード・ポイズン
By クーガー
08-15 14:28
トップギア
第3話「マスカレード・ポイズン」
再始動。原案兼プロット。
ぼちぼち頑張っていきます。


≫ By クーガー
08-30 00:41
P5

瀬能は少女を背負い校舎へ向かう。
その足取りは急いではいるが、雨に濡れていて重い。

校舎の扉を勢いよく開き上履きにも履き替えないまま
瀬能の視線はただただ保健室に向いていた。

背負った少女の額からは一筋の血が流れ落ち
瀬能の肩に水滴とともに滲み落ちる。

水滴とともに段々と滲み出した血が衣服を伝い
見れば見るほど、瀬能は背負った重みとびしょ濡れの服の重たさが
血の重みも
思えてきて、頭がパニックになる。
「やべぇよ!やべぇよーーー!もう!!」

「瀬能!!」

ちょうど、突き当たりから誠二と夏花が駆けつけ合流する。

「誠二!!なぁ、どーしよう!!おれ!!おれ…おれ…ぐすん」

「あぁーーー!!!泣くな!!頭突くぞ!とにかく保健室だろ!!」

誠二は今にも泣き出しそうな瀬能を一喝し先頭を走りだし保健室へ
向かう。
「どけ!!どけーーーー!!!」
通路を遮る生徒たちに道を開けるよう駆け叫ぶ。
その隣で夏花は誠二の顔を不思議そうに眺める。

「どーしたよ?夏。」

「誠二くん……なんか赤髪くんちょっとに似てきたんじゃない?」

「う…!そ、そ、そんなこと!!非て似つかわし!!」
照れ臭そうに頬を赤める誠二の姿に夏花は少し微笑む。

一路、保健室に着くやいなや誠二は扉を勢いよく開く。
「御免つかまつる!!」

「あら?どこの武士かしらん?」

誠二の声を聞くと
背を向け座る白衣を纏った女教師が
回転椅子に座ったままクルッと誠二と向かい合わせになる。

その佇まいは
黒の長い髪を煌めかせ、胸元はシャツをV字に開き
豊満な谷間を強調し、丈の短いスカートで足を組み、見えそうで見えない
絶妙な領域を醸し出して いる。

彼女こそ小夜美高男子の夢とまで言われる
保健室の先生
蝶野 さくらこ。



≫ By クーガー
08-20 22:51
P4

シクシク……
場面は変わり、一人下駄箱で靴に履き替え
半泣きになりながらブツブツと不満を言う瀬能。
「ばか誠二!ばかウニ!…誰が非ロックだい!誰がチビだい!誰が眼鏡だい!誰が……………」

チビガリ勉だぁぁああああああああああ!!!!!!!

ぴ……ぴ……ぴえぇーーーーーーーーーん!!!!
誠二はそこまでは言っていないが勝手に自分で
過剰にとってつけたような被害妄想に
またもや泣き出し、外の土砂降りの雨など
どこしれ知らず、傘も持たず校舎を飛び出す。

ぴえぇーーーーーーーーーん
ぴえぇーーーーーーーーーん
ぴえぇーーーーーーーーーん


ぴぃい……………!!!?


ドン!!!

土砂降りの雨に大粒の涙で視界を遮られたまま駆け出してた
瀬能は
校門前寸前、黒い傘を差す一人の少女が立ってることに気づいたが
……気づいたときには遅く
そのままぶつかる。

きゃっ!

黒い傘が天高く宙に舞う。

身長180もあろう瀬能という大型トラックに引かれた
少女ははるか彼方まで飛ばされ校門の向かいのコンクリートの
壁に追突し、その場に倒れる。

「や……やべっ!!お……おい!」

瀬能は慌てて駆け寄る。

倒れてる彼女は気を失っている。
瀬能は彼女を背負い校舎へ向かう。
「ほ……ほ…保健室!保健室!」



ちょうど、その光景を教室の高みの窓辺で見ていた
誠二は夏花と顔を見合わせる。

「誠二くん!大変だよ!もう!!瀬能くんは何やってるのよ。」

「夏!ちょっと行ってくるわ!」

「とうとう、人を殺しちゃったわね!あのトサカ女。あのまま背負って、きっと埋めにいくのよ。きっと!」

クネクネとニヤつく千葉の声も耳に入らせない勢いで
誠二と夏花は駆け出す。

「やんっ!!誠二BOYったら冷たくないの!!」

誠二たちが教室を後にし、少したつころに
安嬉が教室にやってくる。

「あれれ?誠ちゃんも瀬能もいない?……ってか、瀬能の席で何を脱け殻みたいに白くなって座ってるんだよ?千葉ちゃん」

「グスン。今日の誠二ボーイはトサカ女と別れて、トサカ女が殺人を犯していろんなことがあって私に冷たいのよ。波乱よ!破綻よ!」

「はぁ??」

いつものように千葉の言葉と思考回路は理解不能で
安嬉は首を傾げる。






≫ By クーガー
08-18 01:17
P3

午後のHRが終わり終業のチャイムがなるころ
空は曇り空へと一変し、ぽつぽつと小降りの雨が降りだしたかと
思うまもなく土砂降りの雨となる。

「げっ。これじゃ帰れないなぁ。どうっすかな?校内じゃ、バンド演奏もできやしないし…。時間つぶせねーな」

誠二はため息混じりに後方の窓辺にいる瀬能の席の机に腰掛ける。

「こういうときに、試験勉強とかして時間をつぶすんだよ。学校でやっときゃ、家帰ったら、のんびりできるじゃねーか。」

「………ってか、お前真面目すぎだろ?!朝もリーマン気取りに新聞読んでたり。そりゃぁ見習うところはいっぱいあるけどよ……なんつーか………」

瀬能は強面の眼力で誠二を見上げる。

「なんつーか、なんだ?」

「ロックじゃねーな」

ガーーーーーーン。

瀬能の全身に稲妻が走る。
チビガリ勉から抜け出しロックな自分を
ぞれなりに満喫してたつもりが
誠二の些細な一言で
これまでのチビガリ勉がフラッシュバックを起こす。

ぴ………ぴ………

誠二はカタカタと震えて「ぴ…ぴ…」とうつ伏せ加減な瀬能を見て
焦り出す。
「え??おい?ど、どうしたよ?せ、瀬能?瀬能くーん?おーい?」

誠二が瀬能の肩に手を差し伸べようと触れる間もなく
急に瀬能が立ち上がり
その顔はグチャグチャの泣き顔だった。

ぴえぇーーーーーーーーーん!!!!

瀬能はそのまま高加速で駆け出し教室を後にした。

「お、おい!!な、なんなんだよ」

瞬間、誠二は背筋に寒気を感じた。
ちょうど瀬能が出ていって開きっぱなしの戸から
顔半分を覗かせ
ニヤニヤと微笑みにやけている白塗りの化け物
千葉が視線に入った。

目があうや否や
颯爽と教室に入ってくる。
クラス中の面々が驚愕と恐怖で千葉に道をあける。

「ハァーイ☆ミ誠二ボーイ!!きょうは雨だっていうのにきょうのあたしの心は今!!!ふぁぁあるぇえむぅうおよーーー(晴れ模様)!!!」

誠二はあきれ果て、トボトボと千葉を無視し窓辺にそっぽ向く。

「やっと、トサカ女と別れたのね♪誠二ボーイ!!イッツ正解!!う〜〜〜ん♪あいつはあたしと誠二ボーイに嫉妬してあなたをそそのかしてた小悪魔なのよん!!うひゅひゅ。これで二人フォーりんラブねん!!」

誠二はそっぽ向きただただ相手にするのも思考回路を考えるのも疲れるだけなのでただただ無視するため窓辺の景色を肩肘つき眺めていた。

ふと眺めていた景色。視線を下に下ろすと
校門前に黒い傘を差し立ち尽くす者の姿が目に入る。

傘をたて上を見上げ顔をのぞかした。
黒い傘とあって透き通るような白い長髪が目立つ。
端正な面立ちの少女で
校舎を見上げる姿に誠二はいつの間にか
景色ではなく黒傘の少女を目で追っていた。





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