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「トライアングラーって良い曲だよね(似万山)」(贈り物)


久し振りの休日。
山崎はいつもの隠れ家を訪れていた。

いつもの様に出迎えてくれる、この屋敷の家主たち。

「だから!、絶対コッチの方が似合うって!」
「それでは悪目立ちしてしまう、やはりこちらの方が無難でござろう」
「自分は悪目立ちの見本のようなナリをしてるくせに」
「地味の典型のぬしには理解できまい」
「なにおぅ!。コノ歩く公然猥褻物がぁ!逮捕すんぞ!」
「では、ぬしを監禁してビッチに調教してしんぜよう」
「・・・さっきから何の話だい?、あんた達・・・」

似蔵を挟んで、山崎と万斉が言い争っているが、当の似蔵には見えないためか何の事かは理解できなかった。
二人の前には着物と洋服がずらりと並べられていた。
着物は万斉が、洋服は山崎が調達してきたものだった。
それを前に二人は「似合う」「似合わない」の押し問答を続けている。

「俺は別に何でもいいんだよ。着易くて動きやすい服ならねェ」
論争の合間合間に、似蔵には理解できない単語が飛び交い本題から逸れて行く万斉と山崎に、流石の似蔵も疲れてきてしまった。
本当に、どっちでもいいと思っている。
しかし、二人は意地とプライドがあるのか互いに折れない。
「目立たないようにって、身形だけで装うからかえって悪目立ちするんだよ!。俺が見たら一発で怪しいって分かるって!」
「なるほど、幕府の目を欺くには参考になる」
「あ、ヤベっ。バラしちゃった」
「しかし、拙者はあくまで似蔵殿に似合う装いを見立てているだけの事、着物も上等な生地であればフォーマルスーツより気品立つもの」
「普段からフォーマル着せようって次点で、やっぱお前のファッションセンスおかしいって」
「ファッションセンスとは無縁の生活の主に言われても、もはや腹も立たぬ」
「悪かったな!、どうせ所詮は公務員だよ!」
「いや、だからね?。どっちでも良いって言ってるじゃないか。聞きなさいって、あんた達」

いつの間にか似蔵の身体を取り合う形になっていた。
そんな二人に、似蔵は苦笑いをするしかなかった。
3人で奇妙な関係を築いて、互いの立場と背負っている業を尊重しながら、付かず離れず。
愛情と友情とも言い表せない、親しき情を絡めあう3人。

それが、儚くも幸せな時間。

似蔵は二人の身体に手を伸ばし、抱き寄せた。
「似蔵さん?」
「如何された?」
「どっちが良いかなんて、野暮は言いっこ無しだよ、坊や達」
選ぶ必要は無い、どちらも手元に或るのだから。
「どっちも良いに決まってるじゃないか」
「・・・服の話ですよ・・・ね?」
「それとも、身体の話でござるか?」
「はははっ。両方だよ、両方良いに決まってるじゃないか」

抱き締めた若い身体が、とても暖かかった。



キリリクお題の「似万山で似蔵さん取り合いな感じでいちゃらぶハッピーな三人話」
カウンター6000記念を踏んで下さったもなか様に捧げます。
大変遅くなりました!申し訳ありません!。
小話にイラストも付けさせていただきましたので、どうぞお納め下さい(返品可)。
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