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「うしろから抱きしめて(呂呂)」
季節が過ぎ、夜の帳が下りる時刻が日に日に早くなる。
実りの秋は収穫に追われ、また冬に備えた支度にも追われる。

そうして一日が終われば、眠る前の楽しむ時間も少し減ってしまう。
それは残念なことだが、明日を思えば致し方ないこと。

日々の営みが、何事もなく過ぎてゆく幸福とも言う。

私室に持ち込んだ書簡に目を通しながら、今日の仕事を書き留める。
僅かな灯りが時折揺らめき、油が燃える音を微かに立てる、そんな静かな夜を呂蒙は好きだった。

不意に背後からゆるい風が起き、灯りの炎を揺らめかせた。
そして首に伸びた逞しい腕。

「呂布?」
「もう休め、明日が来てしまうぞ」

耳元に低い声が響く。
抱き締められると伝わる、優しさと暖かさ。そんな呂布の労りが、嬉しい。


「呂蒙」
「何だ?」
抱き締められた腕に、力が篭る。
耳元に触れる熱は呂布の唇、そのまま耳を甘噛みされる。
情事の最中に受ける愛撫のような、熱が伝わる。

「どうした?」
「なんとなく、な」
「ふ…、変な奴」
「お互い様だ」

唇が耳から首に降りて、肌を吸う。
感じる微かな痛みに、痕を付けられたと確信したが何も言わなかった。
ただ、首元で戯れている呂布の頭を撫でる。

子供をあやす様に、何度も撫でる。

呂布の手が呂蒙の顎を捉え、ゆっくりと向き合う。
自然と近づき触れる、口付けは優しく。

言葉もなく、ただ触れ合う二人。
淡い灯りが照らす、重なる影が揺れる。

「本当に、どうしたのだ?」
「なんとなく…だ」
「変な奴」
「お互いにな」

視線が合えば、共に微笑が浮かぶ。もう一度、口付けを交わす。
それ以外、何もしない。
そんな夜もある。

そして、いつも通りの朝が来る。
日々の営みが、何事もなく過ぎてゆく幸福を迎える為に。

(ツイッター診断ネタから呂布から呂蒙へ)
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