酷似(セブルス) 初めて出会ったときから強い瞳を持っている、と感じていた。 勿論その瞳が… 「…セブルス?」 彼女に向いていることも気付いてた。 「何か用か?なまえ。」 「別に。貴方がぼうっとエバンズを見ているものだから、気になって。」 一瞬間があいて、目が合う。 やっぱりセブルスの瞳はすごく綺麗だ。 「何を言っているんだ?そんな訳ないだろう。あの女はポッター達と親しくする事にしたんだ。」 セブルスはあくまで冷たく否定したけど、青白い顔がちょっと血色良くなったみたい。 「あら、でもセブルス。あなた入学したばかりの頃はエバンズと随分仲良くしてなかった?」 「あんな『穢れた血』なんかと?君の記憶違いじゃないか?」 「あーらら。心にも思ってないこと言って。」 反論したげにセブルスが私を睨み付けた。 「セブルス。貴方、本当にエバンズが好きなのね。ちょっと、そんな怖い顔しないでよ。…否定しないの?」 「それでは君は僕がどう答えれば満足するのだ?」 セブルスは溜息をついて聞いた。 「そうね。出来たら否定してくれたら嬉しいわ。なんちゃって…」 「ああ。勿論否定させて頂くが。」 ……嘘つき。 「セブルスの馬鹿。」 「…何だいきなり。」 そう言ったセブルスの前で不覚にも涙が零れそうになった。 「セブルス…。」 「何だ。」 「好き。ずっと前から。好きだった…」 ああどうしよう。 泣き止む気配がない。 「…泣くな。」 「わかってるっ…」 「だから、泣くなと言っている。」 その時、後ろからにぎやかな話し声がした。 「リリー。今度こそは僕とデートしてくれるだろう?」 「そうね、考えておくわ。」 「そういって君はもう何ヶ月考えているんだい?僕はもうその日を待ちわびて待ちわびて…」 その集団がグリフィンドールのポッター達の集団だと私はすぐ気付いたし、セブルスも多分もっとすぐ気付いたと思う。 「はははっ残念だったなジェームズ。」 5人くらいだろうか。いかにも楽しそうな声。 すごく気まずい。 それ以上に自分が惨めになってきた。 「…セブルス。ごめん。私部屋戻るわ。」 セブルスは眉間に皺を寄せたまま振り向き、お互い微動だにしないで目が合った。 「それじゃあまた後でね。」 「…ああ。じゃあ。」 もっとマシな言い方があったんじゃなかろうか。 過去を振り向くのは好きじゃあないがこればかりは気になるなあ。最善の言葉は何だったのかな、なんて悲しいことがあった後はくだらないことしか考えられない。 とにかく、私はフラれたんだからそれでいいじゃないか。 貴方のあの人を見てる瞳には憧れや周りの男に対する嫉妬とか、そんな気持ちを映し出していて。 本当に貴方には彼女しかいないんだろうなって、 平気だよ。わかってたんだよ。 部屋に戻ろうとしたとき、ジェームズやリリー達の横を通り、 リリーと目が合ったが微笑む気には残念ながらなれなかった。 悔しいとか憎いとか そんな感情ではなくて ただ自分が彼を想う気持ちと、彼が彼女を想う気持ち わかっていたから目を合わせられなかった。 痛い程、似ていた。 080827. (戻る) ←→ |