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そして息苦しい程のキスを(シリウス)


私の彼氏は、どうしようもなく馬鹿な男だ。

雨の日でも外に出て友人達と箒を乗り回して遊んでいるし、真夜中にこっそり校内を歩き回ってはフィルチに見付かり、罰則を受けて帰ってくる。

奴の悪戯には何人もの罪の無い生徒が犠牲になっているし、スリザリンの男を相手に俗に言う弱い者いじめなんかもしている非道なやつだ。

さらに、金髪ロングヘアーで美人な年上の女が大好物で、レイブンクローの上級生には沢山お友達がいるらしい。

馬鹿な、男だ。

「ねえシリウス」
「んー?」
「私のこと、愛してる?」
「…は?」

このキョトンとした顔なんか馬鹿丸出しだ。
ああ、でもあまり馬鹿馬鹿言ってはいけない。
成績は私の方が下だ。

「早く答えて。3、2、1…」
「愛してるに決まってんだろーが」
「そっか。なら良いや」
「おい、良くねーって。なまえはどうなんだよ」
「へ?」

気付いたら奴はもう馬鹿な顔をしていない。
真面目な顔、なかなか格好良い。
ずっとこの顔をしていればいいのに。

「なまえは俺のこと愛してる?」
「えーあーあー…ハイ」
「何だそれ」

ジロリと睨まれた。

「シリウス」
「あー?」
「愛してるよ」

シリウスが私のおでこにキスをした。

「…知ってるっつーの」

そう言って意地悪にやりと笑うシリウスと、おでこに感じた熱さのせいでオーバーヒートした頭でぼんやり考えた。

私はきっともう、この馬鹿な男無しでは生きていけないだろう。

「馬鹿だね。私も、シリウスも」
「意味わかんねーし」
「馬鹿なの」
「お互い様なんだよ」

そう言って笑うシリウスの手が私の頬に触れたとき、私はゆっくり目を閉じた。









090403.
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