・ ―鬼畜パラレルー 『輪廻の鎖を断ち切って』 あれから、何年も何年も時が過ぎた。 私は何年も転生を繰り返す。 それと同時に、王と弟も転生を繰り返した。 二人は、いつだって、結ばれた。 いつの時代も、二人は結びついた。 私は、いつも、それを見ていた。 いつもいつも…遠い、結ばれた二人を見ていた。 いつの時代も、私の恋は結ばれず、結ばれた二人を見て終わる。 不思議な事に、二人はいつも私の身近な人間として生まれ変わった。 そして、まるで私の罪を見せ付けるかのように、いつの時代も結ばれていく。 いつの時代も見て…、二人の生を見届ける前に途中で命を絶つ。 有るときは、戦乱の世だった。またあるときは、革命の時代だった。有るときは、私は弟を庇って死んだ。またあるときは、王を庇い死んでいった。 私は、弟を殺した罪のようにいつだって不幸な事故にあい、命を絶った。 最後に魔法使いがかけてくれた呪いのせいだろうか。 私はいつも一人死んでいった。 愛しく思われた人もいないし、特別に思ってくれた人間もいない。 愛なんて、最も遠い言葉だった。 これが私の運命なのかもしれない。 それでも良かった。罪を与えてくださった方が、良かった。 私は、それだけの事をしてしまったのだから。 愛していた二人を引き裂いたのだから…。 王のあの悲痛そうな顔が忘れられない。 あれから、王はどうなってしまったのだろう…。 王は…。 私が好きだった王は、どれだけ、弟が死んで胸痛めたであろう。 いくら転生しても、あの時の王は弟と添い遂げられなかった。 いくら、何回転生しても。 あの時、あの体であの魂は、一度しかない。 通常、転生すれば前世の記憶は薄れる。 だけれど、私はいつだって前世の記憶を持っていた。 これは、私が罪を忘れないため、魔法使いにかけて貰った呪いのせいでもある。 罪が消えるまで、私はあの時の事を忘れられない。 私の呪いは三つ『あの時の記憶を忘れない』『愛していると言えない』 それから。 『愛して貰ったら、死んでしまう』 そんな呪い。 そして、また、そんな呪いを抱えながら、私は人として転生した。 皮肉にも、また弟と兄弟で…双子として。 また、弟と近い関係で生まれ変わってしまった。 私の今生の名前は、天音里桜という。 そして、双子の弟は、鈴という。 可愛い、可愛い弟。双子、にしては、似ていない顔。 「にいちゃん…、」 弟は可愛かった。私を慕い、笑う。 前世の時と同じ、明るく可愛く…周りを明るくする。 可愛い弟。それに比べ、暗く、陰険な空気を放つ私。 人を寄せ付ける弟と、人を遠ざける、私。 そして…また。 『りん…くん…?可愛いね…僕はね…、』 私たちは、王と出会った。転生した、王と。 また。 リンネは、巡る。めぐる、巡る。 いつの時代も、巡り続ける。 いつの時代だって、ずっと、正しく。 巡り続ける…−。 [*前へ][次へ#] [戻る] |