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入寮したはいいものの…。
鈴の手を引いて、学校の寮がある場所へと向かう。
私たちがいく学校は、惣流学園という学校で小早川グループの運営する学校の一つである。
男子校であり、偏差値は高く、毎年何人も有名大学へと進学させるこの学校は、小早川グループが運営していることもあってか、毎年、いいおぼっちゃんや良家の人間が集まってくる。小学校から大学まで付属されているこの学園は、お受験戦争の本拠地、といわれる、学園でもある。


そもそも、この学園へいく事は、小早川晴臣が母に奨めたことからだった。
鈴はもちろんのこと、私もたまに抜けたところがあるらしく、母は私たちを残してアメリカへ行くことが不安だったらしい。
小早川晴臣とは仕事はしたいが、それよりも、子供の方が大事…と、当初、会社であがったプロジェクトに母の名前はなかった。
しかし、小早川晴臣は母に私たちを惣流学園に行くことを奨め…、後はトントン拍子に話しが進んでいったという事だ。母も口は上手いが、小早川晴臣はそれ以上かもしれない。


惣流学園は良家の、一流子息が集まる場所。
当然、偏差値も高い。
いざとなったら、裏口入学させるが、入試まで私が直々にお前たちを鍛えてやる…と小早川晴臣になかば脅され、なんとか入学できたというわけだ。

私はまだ良かったが、鈴などは、もう大変だった。
ただでさえ男嫌い、それに加えて、鈴は少しだけ私よりも偏差値が低かった。

最初、鈴は泣いて反発したが…小早川晴臣も、伊達に、出世した男じゃない。
忙しい男のはずなのに、暇さえみつけては、私たちの家庭教師になり、それこそスパルタ教育といっていいほどの勉強を叩きこんだ。
偏に、母への愛の力だと思う。

無事合格、と掲示板に張り出されたときは、鈴はわんわんと泣き、あれだけ嫌ってた小早川晴臣に抱きついたくらいだった。

今では、鈴の男嫌いも小早川晴臣には発動されておらず、鈴もうっすらと小早川晴臣と母との関係を気付いているらしく応援している。

少し話が学園の事から、反れてしまった。
とにかくこの惣流学園は、良家の息子たちが集まる男子校であり、更に山奥といった不便な場所にあるところだった。

何故山奥なのかというと、俗物的なものに触れ合わない方がいいから、という教育方針があるらしい。一応バスが数時間に1本出ているが、辺鄙、としかいいようがない場所にあった。周りは、ほぼ木々で埋め尽くされている。



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