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赤い糸
☆☆☆☆☆☆☆☆

龍治「今晩わ、安斎さん。」

ホールの前に立っていたのは顔を青ざめさせた理事長であろう男と、風間龍治。

龍之介の親父だそうが風間は綺麗ではなく野性的な美丈夫だ。
だが、黒髪とつり目は親父さんからもらったのだろう。

理事長に案内されてついたのはホールの上に作られた観覧席。

龍之介が捕まった奴等を踏みつけながら中に入るのが見える。

鉄板が入ってるだけにあの靴はそうとう重いだろう。
だが、龍之介は馴れているのか顔色なんて変えるわけもねぇ。

馨は食い入るように見ている。
風間は見届ける為に来たのだろう、無表情に下を見ている。
理事長は甥っ子の八雲楓が気になるのか顔を青ざめたまま見ている。

八雲が極道の人間を見下すように喚けば龍之介が纏うオーラが変わった。

軽々と蹴ったように見えるのに、重たい椅子をも吹っ飛ばす。
それも八雲楓の横スレスレを狙ってだ。

馨「何者だよ…。」

馨が呟いた。

龍治「明日には風間組若頭になる男だ。」

馨の言葉に視線を動かすことはなく、風間が放った衝撃的な言葉に俺でさえ驚く。

龍治「うちの裏仕事のシステムを作ったのは龍之介だ。風間組の空白の席は当たり前に空いていたにすぎない。
組員誰もが待ち望んでいる。風間龍之介がそこに立つことを。」

風間が淡々と説明している間に、下はヒートアップしている。
半数近くを確実に一発で沈めて、武器を持っている餓鬼には数発殴っていた。

最後の一人を倒したときに龍之介が受けた傷は頬の傷のみ、煙草に火をつけて亜久玉一也の元へ行くのがわかる。

煙草を吸うことに少し驚いた。

亜久玉の元へ歩みより座り話しかけて立ち上がった。

背を向けた龍之介に対しての亜久玉の表情が気になるが…今は此処から去るとしよう。

龍治「狂犬。龍之介の言っていた事が解ったろう?」

風間の問いかけに馨が振り向き無邪気に笑う。
あぁ。またもたちの悪い奴に気に入られたなと思う。

馨「俺、龍ちゃん欲しいなぁ。」

馨の馬鹿な発言に風間と俺がキレたのは言うまでもない。

ふざけんな。

彼奴は俺のもんだ。

ー安斎彗星side終わりー


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