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赤い糸
☆☆☆☆☆☆☆

來「…チームで動くかと監視しましたが、仲間を救いに来る様子もありません。
しかし、溜まり場のbarには毎日のように屯しているようですね。」

俺は溜め息をついて閉じていた目を開けた。

龍之介「あのbarはそちらの組と関係あるんですか?」

來「いいえ、直接は関係ありませんが溜まり場になる前はあの辺の憩いの場でしたので元に戻してもらったほうがよろしいかと。」

安斎さんは目が合えばニヤニヤと笑ってる。

龍之介「チームとのケジメは俺がつけます。
俺は極道関係者だが、まだ踏み入れてはいませんので餓鬼同士の喧嘩で終わるでしょう。」

俺の言葉に安斎さんは笑みを深めて、後ろの幹部は騒ぎ出した。

馨「あんた一人で40人近くいる餓鬼共を鎮めれんのか?」

表情一つ変えないで俺を見ていた霧島さんの隣に座っていた見た目ホストみたいな男が馬鹿にするように笑いながら話しかけた。

神谷が動こうとするのを手で制して、その男に向かって冷笑を浮かべた。

龍之介「狂犬の玉山馨さん。うちはフロント重視と思われてますけど、武道派で動ける奴は少ないながらもそれ相応に実力があるんで抑えるこっちも大変なんで黙ってて下さい。
残念ながら、俺は餓鬼だが極道の息子なんですよ。貴方の目に俺が、貴方の思う餓鬼と一緒に見えるなら幹部から降りたほうが良いですよ。」

固まりついた長谷組の幹部から目を反らして安斎さんに視線を向けたら相変わらず楽しそうに笑って見ていた。

彗星「片付けた後はどうするんだ?」

安斎さんの言葉に俺は親父をチラッと見て安斎さんへ視線を戻す。

龍之介「あの学園に入る前に大卒取ってあるんで、組に入ります。」

俺の覚悟を解っていたのだろう、親父は表情を変えなかった。

彗星「そいつは楽しみだ。
あのチームに関しては俺達は手を出さねぇ。捕まえてる奴等も手は出さねぇから片付ける前に連絡しろ。」

安斎さんは机に名刺を置いて、茶を飲んだら立ち上がった。

親父も俺の変わりに見送りに立ち上がり部屋を後にした。

俺はそのまま畳に転がった。

龍之介「…修吾さん…どんぐらいで傷治る?」

部屋の隅に座って動かなかった修吾さんが側に来る。
俺の頭を優しく撫でてくれる手は昔から変わらなく優しい。

修吾「1週間あれば身体は動かせるようになるよ。完治は3週間ぐらい。」

俺は目を伏せた。

龍之介「そっか……神谷。」

弥生「はい。」

控えていた神谷の返事は少し硬い。

龍之介「お袋が死んでからお前のおかげで俺が此処まで覚悟を決めれるようになれた。
片が付いたら親父の手伝いを頼む。

俺達風間が掲げる任侠道はそれだけじゃあこの汚い世の中生きていけねぇ。

お前は親父と汚ねぇ金持ち連中から金を巻き上げれるようになれ。

弱気を助け強気を挫く。

裏の仕事は俺達【夜王衆】がする。

それまでは俺の世話役頼むよ。」

目を開け神谷に微笑めば、膝においた手を強く握り頭を下げた。
畳が濡れているのは気付かないふりをした。

弥生「どんな立場になろうとも、私も頭も貴方が何よりも大切です。
貴方様の言葉。有り難く頂戴します。」

龍之介「おう。」

俺の返事に頭を上げた神谷には既に涙はない。

何時ものクールで格好いい神谷だ。

俺はそっと目を伏せて此からを考えた。





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