[携帯モード] [URL送信]

赤い糸
空白の席

龍治「風間龍之介を風間組若頭とする。」

屋敷の大広間で親父の言葉を受けて頭を下げた。

組員の方に向き直れば極道そのものの顔をした奴等が涙ぐんでいる。

龍之介「少し早いが、この席を空けたまま待っていてくれた事に感謝する。
今回あった事で解ったことは正さなきゃならねぇのは極道の世界だけじゃねぇってことだ。
解ってはいたが余りにも簡単に一般の人間がこの世界に踏み入れる。
徹底的に潰していくぞ。」

俺の言葉に目をギラつかせる。

龍治「今日から神谷は俺の補佐につく。
これまでと変わって人事が動くからな。」

親父の言葉に全員が返事をしてその後は宴会となった。

?「龍之介さん。」

呼ばれてそちらを見れば、此れから行動を共にする【夜王衆】の5人が揃っていた。

龍之介「久しぶり。」

俺が笑って手をあげれば、小柄だが筋肉質なイオが抱きついてきた。

イオ「龍ちゃーーーーん!!!!これからはずっと一緒だねぇ。」

イオの頭をグリグリ撫で回す。
小柄で可愛らしい顔をしているが、実年齢は30歳で【夜王衆】では一番年上だ。

アキ「イオ、離れなさい。」

そういってイオの首根っこを掴んで引き剥がすのは俺を呼んだ男だ。
糸目で目が開いてるのを見たこと無いけどちゃんと見えていると言う、夜王衆の纏め役であるアキ。

糸目で常に緩く笑顔の癒し系だ。

タキ「…龍…まっ、てた。」

長身で顔は無表情。話すのが苦手、見た目は硬派なイケメンはタキ。俺にはワンコに見える。

サキ「………。」

無言で俺をジッと見てくるのは、銀髪に赤い瞳と少し人では珍しい色を持っている見た目は不良な男。サキ。
タキは苦手なりに話すのだが、サキは話すのが嫌いな無口だ。

だけど、俺が笑えばサキもぎこちなくだが笑い返してくれる優しいやつだ。

ヤエ「龍之介。酌をしろ。」

そして夜王衆きっての王様俺様なのがヤエだ。
組員居る前で俺に酌をさせようとするアホなやつだ。
ドヤ顔までしてるが、近くにいた神谷とイオを捕まえたままのアキにどつかれてる。

兎に角個性が強い夜王衆だが、裏の仕事にかけては何処の組よりも残酷な事だってする。

極道に入るものは多かれ少なかれ、それなりに影を持つ者が居る。
だが、こいつらが抱えている闇はもっと深い。

それは風間組のそれなりに上に居る奴等は知っている。勿論、親父も神谷も。
だからこう言った組内での俺とのやり取りは暖かい目で見ていてくれる。

勿論外では別だが。

こいつらは俺が拾った?とは言い方は可笑しいが連れてきた奴等だ。
夜王衆を作ると話した時、汚い仕事を率先してやるのも嫌がらなかった。

『龍と親父さんの理想は俺達の理想だから。』

その言葉を俺と親父は忘れない。
こいつらは俺の家族でもあるのだから。



[次へ#]

1/5ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!