夢のような話
☆☆☆☆☆☆
新しい出会いから一週間後、初登校となった。
真新しい制服も緩く着崩して欠伸を漏らしながら学校へ向かう。
偏差値は悪くないが不良高と言われるだけあって、外観は綺麗なのだが中に入ればカラフルな頭や割れた窓ガラスが目に入った。
朱里の赤髪も目立たないかと思っていたがそんなわけもなく、朱里の綺麗な外見は周囲の視線を独り占めした。
共学なだけ女子も居るのかキャーキャーと甲高い悲鳴が上がっていた。
朱里の中では金持ち学園の小柄な少年達とダブり何処も一緒だなぁと欠伸を噛み殺した。
そして、また一層甲高い声が上がったかと思えば…
龍一「朱里…一人で先に行くんじゃねぇよ。」
何時ものハスキーボイスと共に登場した龍一でさっきの悲鳴の意味が解った。
朱里「はぁ…何時てめぇと学校へ来る約束をした?」
朱里の言葉に龍一は器用に眉を上げた。
朱里の苛立ちの理由が分かり、龍一と朱里の存在に固まったチームの奴等を呼んだ。
龍一「…全校に通達。
龍神を敵にしたくなければ、俺と朱里を煩わせるなと伝えろ。
俺達はうるせぇのは嫌いだ。」
「「「は、はい!!!」」」
伝言板は元気良く返事をして走って行った。
龍一は未だに不機嫌な朱里の手を引いて職員室へ向かうのだった。
担任はよく知る人物で、龍一は舌打ちして朱里は首を傾げた。
朱里「アス兄が担任?」
朱里が首を傾げ疑問を口にすれば、龍一よりガタイの良い美丈夫はニヤリと笑った。
龍一「チッ、東条飛鳥が居るなんて聞いてねぇぞ。」
龍一の小さな悪態も朱里には聞こえていなかったが、飛鳥には聞こえたらしく更に笑みを深めた。
飛鳥「だろぉな。俺は今まで一般校舎だったからなぁ、龍神の幹部共がいる不良校舎とは関わりがなかったしな。
今回は朱里が来るって事で移動させてもらったんだよ。」
朱里「は?俺??」
更に理解出来なくなった朱里の頭を飛鳥は撫でまわした。
飛鳥「あぁ。雅也から朱里があの学園から戻ってここに来るって聞いたからなぁ。
それなら毎日顔が見てぇだろぉ。」
飛鳥は話ながら朱里のスベスベの肌を堪能するように頬を撫でた。
朱里は擽ったそうに身動ぎしたのを飛鳥は目を細めて見つめた。
龍一「チッ…なら、早いとこ教室に案内してくださいよ。」
バリッと音がしそうな勢いで朱里の体を掴み引き離した龍一は飛鳥を睨み付けた。
見る人が見れば、失禁さえする龍一の睨みにも飛鳥はニヤリと不敵に笑い二人をつれてクラスに向かうのだった。
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