夢のような話
新しい友?
戻ってきてから数日、朱里は体を癒しながら勉強の遅れはないか龍一とチェックをして空いた時間は雅也の店の手伝いをしながら過ごした。
そこで気づいたのが、夜のbarは龍一が纏めるチームの溜まり場になっていたことだった。
「龍一はウザイが、幹部連中と幹部が認めてる数人しか出入りさせてねぇし店が混めば奴等手伝ってもくれるから助かるんだよな。」
朱里は隣で一緒に昼飯を食べていた龍一を見つめた。
龍一は朱里が何を言いたいか解って眉間に皺を寄せた。
「駄目だ。朱里は夜起きとくのしんどいだろ。早く寝とけ。」
子供扱いをされた朱里は機嫌を悪くして雅也を見た。
雅也はニコリと笑った。
「ちゃんと店を手伝ってくれるなら構わないよ。そいつらが行ってる高校を受けるんだし丁度良いだろ。(番犬ぐらいには役立つだろうし。)」
朱里は嬉しそうに頷いて、龍一は雅也が何を考えてるか何となく分かりこめかみをピクピクさせていた。
「チョーーーっと待て!
雅也さん何か忘れてねぇ?彼奴等は朱里のファンみたいなもんだぞ!?」
朱里は既に夜起きておくために昼寝をしに二階に上がった為、龍一は雅也に噛みつく。
だが、雅也は爽やかな笑顔に真っ黒なオーラで魔王さながらの空気を出すのだった。
その姿を見るのは勿論朱里が居ないときで、龍一は腹立たしいのだ。
(その本性を朱里に見せろよ!一発で嫌われっから!!)
そんな龍一の内心での悪態も読んでいるのか、雅也は更に笑みを深くした。
「糞餓鬼。お前は朱里を独り占めしたいだけだろぉが。
俺は朱里の安全が最優先だ。
【神-KAMI-】だっけ?そのふざけた奴等だけじゃない。朱里を狙ってる奴なんざ其処らにいる。それも一癖も二癖もある奴等ばかりだ。
それなら信頼のおける【龍神】に守らせた方が良いに決まってる。
まぁ。朱里が気に入るかは知らねぇけどな。」
最後の言葉に龍一はピクリとする。
「なんすか。あんた達から受け継いできた【龍神】が魅力ねぇなんて言いたいんすか。」
「だから餓鬼だって言ってんだろ。
一々挑発に乗るな。めんどくせぇ。
お前はもう少し余裕を持て。朱里を束縛すんじゃねぇよ。
朱里には自由が似合うんだ。
彼奴が選んだ道に間違いはない。
それに、そんな余裕を持てねぇ男に朱里は堕ちねぇぞ。まっ。俺も認めねぇし。」
雅也の言葉に反論できない龍一は舌打ちをして二階に上がっていった。
どうやらこのまま居座るらしい。
そんな龍一に雅也は苦笑する。
「此処まで言っても離れねぇお前の図太さには感心するよ。
朱里は罪な男だな。」
雅也は切り替えて働くのだった。
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