小説(長編) 5 だからやはり多少は緊張していたり。 「まったく。兄貴らしいよ。緊張してるって言ってもそんなでもないんだろ?なんだかんだで兄貴マイペースだし。」 なんだよ、マイペースって!仮にマイペースだったとしても俺だって緊張ぐらいするって! と心の中で言う。口に出して言わないのは、どうせ口で言い合いしても負けるのは目に見えているからだ。俺は今まで口で言い合いして勝った試しがない。 だけどちょっとだけ口をついて言葉が出てしまった。 「…彰のがマイペースだろ。お前、首席だから挨拶するんだよな??なのに落ち着きやがって。その落ち着きが羨ましいよ。」 [前へ][次へ] [戻る] |