小説(長編)
仕事
「ただいま」
家のドアを開けて中に入るとバタバタと俺を出迎える足音が聞こえた。
「おかえり〜♪」
にこにこしながら俺を出迎えたのはとても34歳には見えない母の真琴だ。
─何か嫌な予感がする…さっさと部屋に行こうとする俺の腕を予想以上の力で捕まえた真琴に行く手を阻まれた。
「……何?俺部屋でゲームしたいんですけど?」
怪訝な顔でそう言う俺にかまわず真琴はその言葉をさらっと無視して要求を突きつけてきた。
「さっきねぇ、"仕事"の依頼が来ちゃったの。」
まさか。
まさかその仕事俺がやれとか言うんじゃ……。
嫌な予感程当たるのが現実だ。
母・真琴はにっこり微笑んで言った。
「あと30分で用意してね。お仕事頑張ってやるのよ?」
と。
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