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繰り返される日々

毎日、毎日。
表の任務と裏の任務をこなす。
つまらない。
と、そう思う。

裏の任務をやっていても昔みたいに胸が高鳴る事はない。

昔は、昔と言うほど生きていないけど、本当に昔に思う。
誰か自分を殺してくれるのでわないかと期待した。
自分と同等の力を持ち、渡り合える誰かがいると、期待した。だが、今はなにも感じない。
恐怖も、歓喜も、なにも。
ただ任務を成功させるだけ。


「…つまらない」


今日もまた、人を殺す。
殺して、殺して。
血の海を作り、その上に立ち。
生きて、人であったモノを見下ろす。
「人間は脆いものですね。すぐに壊れて崩れていく。本当につまらない。」
死体を燃やし、報告書を火影に渡しに行く。
また、毎日の繰り返し。
面白い事があればいいのに。






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夜も更け、だんだん水平線が白くなる。
そんな時間に帰還するのは珍しい事ではない。
「火影様、只今任務から帰還いたしました。」
「妖か…ご苦労じゃったな」
火影は優しい、温かな視線で暗部、妖を見る。
「これが報告書になります。」
「うむ、また夜に任務を渡す。それまでゆっくり休みなさい。」
「御意」
片膝を床につけ、頭を下げる。
それだけで絵になる光景であった。
「顔をあげなさい、ナルトよ」
「……爺ちゃん」
面を外すと、現れたのは紅い瞳と黒の髪。
まだ、幼さの残るその顔は整っていて、将来を期待させる。
「この格好の時はその名前で呼ばないで下さい、ってなんども言ってるでしょう?」
もうボケが始まったんですか?などと悪態をつきながらも、顔は柔らかい。
「まだそんな歳じゃないわいっ!」
「分かってますよ。で、用件は?」
「うむ‥アカデミーで友達はできたのか?」
「またその話?」
火影が自分の為をおもって、友達作りとして名家と旧家の護衛任務と称してアカデミーに入学させたのを知っている。
優しさは嬉しい、しかし。

里人からすれば、禍々しい九尾の入れ物、化け物として見られている俺。
子供達だって親が言う事は絶対。
必然的に俺とは友達になろうとする奴はいない。
俺も今更、友達が欲しいとは思わない。

「わしとしてはお主に友達をつくって欲しいんじゃよ…」
こんなに悲しい顔をされると、友達なんかいらないと言えない。
この人は、俺を唯一人間として見てくれる人だから。
「なるべく努力はしますよ。じゃ、今日もアカデミーがあるので戻ります」
火影を安心させるような笑みを浮かべ、その場から一瞬で消えた。
「…孤独しか知らぬお主に、温かさをあげたいのじゃ」
ナルトが消えた場所を見つめ囁く。
たった一人、里の為に犠牲になった子供を守れず。
火影という地位に立ちながら、手も足もでず、見ているしかない己のせいで。
あのこは一人耐えている。
憎んでもいい筈の里を暗部として影から守り。

ナルトは、爺ちゃんの守っている里を爺ちゃんの為に守りたいと言ってくれた。

「この里はあの子に護られている事を知ったら、どうなるかの?」
誰かに答えを求める問いではなく。
ただポツリと囁いた。






繰り返される日々




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