じねんじょ・2(※18禁)

 赤木の乾いた唇に自分の唇を軽く押しあて、しかしカイジはそれ以上進むことができなかった。思い出したように羞恥が襲ってきて、自分を見詰めてくる赤木から目をそらしてしまう。
「おいおい、どうした。それだけか?」
 赤木はわざとらしく呆れ声で言い、カイジに続きを促す。だがカイジは困ったような顔で、うつむいたまま。赤木はため息まじりに「しょうがねえなぁ」と漏らすと、カイジの腕を掴んでぐいと引き寄せた。
「あっ!」
 体制を崩したカイジを膝立ちにさせ、右腕で腰を抱き締める。そうしてカイジの自由を奪ってから、左手でジーンズの上からカイジのモノをぐっと掴む。
「あっ、あ、赤、木、さん……っ」
 抱きすくめられたまま股関を揉みしだかれ、カイジはビクビクと体を震わせながら赤木の背中にしがみつく。白いスーツに皺が寄ったが、赤木は少しも気にしていないようだった。
「クク……すぐデカくなる。若ぇなぁ」
 赤木はさらにカイジの股関を揉みこむ。しかし硬い生地越しの感触がだんだん物足りなくなってきて、カイジはねだるように赤木を呼んだ。
「あ……赤木さん……」
「ん? どうした?」
 見上げてくる赤木の瞳は笑っている。カイジは口ごもりながら、要求を口にした。
「そ、その、もっと……」
「もっと……なんだ?」
「……ッ」
 どうしてもその先を口にすることができず、カイジは涙目になる。だけどこのままでは辛い。赤木になんとか直接さわってほしい。
 考えた結果、カイジはジーンズに手をかけた。暫く躊躇ったあと、おずおずとずり下ろす。
 下着も同じように下ろすと、既に半勃ちのカイジのモノがぷるんと飛び出した。赤木の視線を痛いほど感じながら、カイジはふたたび口を開く。
「もっと……っ、触って、下さい……」
「……どこを、触って欲しいんだ?」
「……っ、こ、ココ、を……」
 羞恥で体を朱に染めながら、震える手でカイジは自分のモノを掴む。
 だがカイジの必死の要求を、赤木は冷淡に突っぱねる。
「ココって、どこだよ? 口で言わなきゃわからねぇな」
「……そんな、 」
 カイジは主人に見棄てられた犬のような顔をする。だが赤木の手は止まったままだ。
「お、オレの……」
 カイジはそこまで言ったが、やはり羞恥心が邪魔をしてその先は言えない。
 赤木は再度、ため息をつき、カイジの腰に回した腕を滑らせるように下に下ろす。
「あっ!?」
 そのまま、尻の割れ目を指でなぞると、カイジは驚いたように仰け反る。
 構わず、赤木は人指し指の先をつぷりと潜り込ませた。
「触ってほしかったんだろ?」
「ち、違ッ……んっ、あっ! そ、そこ、じゃ、な……あっあぁっ」
「なんだ、ココじゃねえのか? じゃあどこなんだよ、はっきり言えよ」
「ふぁっ! そ、そんな、こと……ッ」
 指をゆっくりと出し入れされ、カイジは身をよじって悶える。すでに何度も赤木のモノを受け入れたことのある体は、突然挿れられた赤木の指からもすぐに快感を拾ってしまうようになっていた。
「あっ、あぅ……ッ、ん、ああっ 」
「……ココじゃないって割には、ずいぶん嬉しそうじゃねぇか。なぁ、カイジ?」
 赤木の言う通り、カイジはもはや後ろからの刺激に夢中になっていた。赤木の指が2本、3本と増えるにつれ、半勃ちだったカイジのものも誰に触れられることもなく膨れ上がり、いまや完全に勃ちあがって先端に先走りを光らせている。
「あ、赤木さ、ぁん! ……も、もう……ッ」
「相変わらず、スケベな体だな……もう指じゃ満足できないんだろ?」
 カイジはこくこくと頷く。その様子に赤木は笑ったが、すぐには望みのものを与えない。
「なら、おねだりしてみな……どこに、なにを、どうして欲しいか。今度こそ、自分の口で言うんだよ」
 内股を撫で上げる手つきの優しさとは裏腹の、残酷な命令にカイジは唇を噛み締める。
「あんたの、を……っ、オレの、なかにっ……」
 カイジにはそれが精一杯だった。しかし赤木は冷たい声音で言い放つ。
「だから。俺のなにを、お前のどこに、どうして欲しいんだ?」
 畳み掛けるように言われ、カイジはとうとう、その目から涙を溢れさせてしまう。
 そんな風に言われても、言えないものは言えないのだ。カイジは唇をわななかせた。これほどまでに、自分の羞恥心を歯痒く思ったことはなかった。
「も、もう、許して……くださいっ……」
 カイジが涙声で訴えると、赤木は憐れむような顔をして、優しげな声で告げた。
「残念だな、カイジ……タイムリミットだ」
「ひぁっ!? あっ、なに……ッ? あぅっ! なん、だ、コレっ、あっあっ!」
 ぬるりとした太いものがいきなり挿入され、ぬぷぬぷと出し入れされる。奇妙な感触に喘ぎながら、カイジは潤む目で赤木を見た。
 目があって、赤木はニヤリと笑い、カイジの孔にいれていたものを引き抜き、カイジに見せつける。
「……指よりずっと太くて、固いだろ?」
 赤木がカイジに挿入していたもの、それは、さっきまでうまいうまいと食していた自然薯の残りだった。
 あんまりうまいから、擦ってすぐに食べられるようにと、皮を半分剥いたものをおろし金と一緒に卓袱台に置いておいたのだ。
 それが今、自分の尻の穴に挿れられていた。カイジはあまりのことに言葉を失う。だが赤木がふたたび、自然薯を挿入すると、カイジは喉をそらせて悲鳴をあげた。
「あっ! あっ、んっ、あかぎ、さん……ッ」
「はは、こっちの口でも、旨そうに喰うじゃねえか……」
 赤木のわざとらしく下品な物言いは、カイジ自身の喘ぎ声のせいで届いていないようだった。ぬめぬめした自然薯が内壁を擦り、前立腺をゴリゴリと刺激する。
 だがその快感より、自然薯の粘りがもたらす強烈な痒みの方が、カイジを苛んだ。
「あっ、赤木さ、ひっ! か、かゆいっ! ぁはっ、なか、かゆい、ですっ……!」
 凄まじい痒みに、カイジは赤木の腕を強く掴んで止めさせようとする。カイジの掴んだ場所がまた、皺になり、その力の強さに赤木はようやく手を止めた。
「もう、や、やめて、くださいっ……!」
「どうした? お前、自然薯好きだろ?」
「好き、好きですけどっ……! こんな……っ、お、おかしく、なっちまう……からッ、」
 はっ、はっ、と肩で息をしながら、やっとの思いで言葉を紡ぐカイジに、「……ワガママな奴だな」と呟いて、赤木はようやく自然薯を引き抜いた。
 ぬぷん、と自然薯が抜け出ると、未練を残すようにカイジの後孔から透明な糸が引き、切れた。
 それを見ながら、赤木は暢気に問いかける。
「どうだカイジ……自分のケツでとろろ擦った感想は」
 当然、そんな問いに答える余裕などカイジにはなかった。
 自分の後ろに手を伸ばし、カイジは半狂乱になって指で中を掻き出すようにまさぐる。羞恥よりももう、この立ち上がれないほどの痒みをなんとかすることで頭が一杯だった。
「か、かゆいっ! ひっ! あっ、かゆいぃ……っ!」
 しかし、自分の指では限界がある。奥のほうが痒くてたまらないのに、どう頑張っても届かない。
 カイジは赤木に尻を差し出すように自ら四つん這いになり、赤木を振り返る。その顔は、涙と鼻水でぐちゃぐちゃだ。
「た、たすけて、くれよっ……、あか、ぎ、さんっオレ、し、死ぬっ、死んじまうっ……!」
 しゃくりあげながらの懇願は、ひどく聞き取りにくいものだった。
「だから、どうして欲しいか言えって。何回同じこと言わせるんだ? カイジ」
 苛立ちを含んだような声はもちろん、作ったものだ。だがカイジは怯えたように体をすくませる。
「あっ、か、掻き出して、くださいっ……」
「どこを、何で?」
「……っ、ゆ、指で……っ! 指で、オレのケツの中、掻いてください……ッ!」
 赤木は片口を上げ、愉快そうに笑う。
「ったく……ちょっと待ってな」
 赤木が立ち上がり離れていって、カイジは不安になる。だがすぐに戻ってきたので、ホッと体の力を緩めた。


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