愛の印 ツンデレガイ ぞろり、と唾液を絡ませ舐め上げる。 主の身体を隅々まで支配したい程に。 「あっ、馬鹿野郎…そんなとこ、舐めるな…」 「私が好きでしていることだ」 そう言って象牙のきめ細やかな肌に赤い舌を這わした。 時には吸い上げ、時にはいたぶり、反応を伺う。 その為に、普段通りのヶ所を選ばなかった。 「〜〜汚い、だろっ」 「貴公がそこまで否定をするというならば、舐め上げて私が綺麗にして差し上げましょう」 わざとらしく、ちゅうちゅうと音を立てては主の眉間は曇っていく。 流れる方の先端へ移動を始め、間の割れ目を重点的に攻める。 「ひっ…」 すると下肢が小さく可愛らしく震えた。 そんな主の仕草にうっとりと頬笑み、愛撫を続ける。 裏筋をくびれに沿うように下へ下っていく。 「あ、ぁあ…!」 「…フ、貴公は昔と変わらず、くすぐったがりだ」 少々からかうと、顔と耳をりんごの様に真っ赤に染めながら反論された。 勿論、舌の動きを一切止めないまま。 「お、お前が…足の裏なんて、舐めるから、だろっ!」 息も絶え絶えに言いきると、主は差し出していた足を引っこめてしまった。 まるで警戒心の高い子犬のように身を強張らせながら睨みつけられる。 それが、こちらからすれば只の上目遣いだと錯覚するかの、絶大な破壊力を持っているとは本人は感じていないだろう。 「愛故です」 「ふっ、ふざけるなー!」 きっぱりと意思を告げると怒鳴りつけられた。 少々悪ふざけしすぎたか、と間を置く。 この間にも警戒心は解かれぬままだ。 お互いに、一言も喋らなくなってしまった。 会話の無い沈黙が続く。 どうしたものか、と頭でいくつかのパターンを練りながら解決策を消化する。 このまま強要を求めるのはいささか…だからと言って放置するのもどうしたらいいのか。 主の粘り強い稚拙な反抗に、ついに骨が折れた。 「…ガイラルディア」 普段通りのまま名を呼ぶと、目で反応をしてくれた。 口は未だに尖ったままだが目と目で通じ合うと、不思議なことに主の肩の堅苦しさは消えていく。 脈アリ、と確信をする。 「機嫌を治しては、くれないか」 「……っ、」 数分前の、ふざけたようで本気の愛を語ることは無く。 許して欲しいと、主に願う。 手を差し伸べれば道は開ける。 「ガイラルディ…」 「ああ、もうっ!」 がしがしと乱暴気味に後頭部を掻きわける行動は何を意味しているのか。 それでも、主に向けて伸ばした手を引かぬまま。 「別に…怒ってるわけじゃないから、気にするなよ」 手と手が重なり、一つになった。 心が通い合う瞬間が、こんなにも感動的なものだったなんて。 握った手はそのまま離れずに二人の愛の印として残される。 「正にこれも愛、ですな」 「ばっ…!」 今度は繋がった手を離されまいと、身体ごと主を己の胸へと抱き寄せた。 end. 2010/07/17 (あとがき) 甘い…はずのVGを意識しましたが、ガイが只のツンデレです。 結局ヴァンには毎回弱いガイ様。 ヴァンには少し恥ずかしい台詞や臭い台詞でもさらっと言いやすいです。 しかし冒頭の、ガイの足を舐めるヴァン…なんと紛らわしい。 二重の意味で楽しんで頂けたら幸いです^^ [戻る] |