J視点・甘々
「疲れ、た」
はぁー…と、深い溜め息を吐き出しながら背もたれに身体を預ける。
長時間の公務を経て、身体も心も悲鳴を上げていた。
天井に顔を向けては、ぼんやりと傷が出来た跡や模様を凝視する。
それが地味に面白い。
(長時間労働は老体に堪えますねぇ…)
そこまで歳をとっているわけではないが昼から日が沈むまで書類とにらめっこは流石に、キツい。
顔を手で隠し目を瞑る。
もちろん顔は天井に向けて、だ。
ああ、残りの書類を片付けなくては。
今日中に目を通さなければいけないのに。
このままでは深い眠りについてしまいそうだ。
いっそのこと、目を開けない方が楽になれるのかもしれない。
「だんなっ」
ぱっ、と開いた視界に写るのは部屋に居た記憶がないのに何故か目の前にいるガイ。
反対から覗きこまれているからか、ガイが反転して見える。
顔を覆っていた手は彼に取り外され、手首を捕まれ手を上げている状態だ。
「…何してるんですか、ガイ」
「アンタこそ何してんだよ」
そんなにやつれた顔、貼り付けたままで。
そこまで言われると言うことは余程酷い顔をしているのか。
最近ろくに鏡さえ見ていないものだから自分の顔なんて、分からない。
「私は休憩、です」
「そんな格好で休憩なんて言えるのか?」
「…それなりに」
多少苦笑が交わりながらもガイは心配…して、くれていたのだろう。
上げていた手に彼の手のひらが絡み付いてきた。
「あなたは何故ここに?」
「ん?アンタの様子見に、さ」
手は絡み付き離すまい、と。
顔を伺われ、目が合った瞬間に自然と唇が引き合った。
少々無理な体勢をしていたので長くは続かず。
「仕事、まだ残ってんだろ?」
「ええ、まぁ」
姿勢を戻すと現実に戻される。
まだ触れた彼の唇の感触がわずかに残っている、というのに。
「しかし今のでそれどころではなくなりました」
「はぁ?」
動く椅子をくるり、とガイのいる背中へ向く。
立ち上がり首筋に顔を埋め、まるで甘えるように囁いた。
「私の休憩に付き合って下さい」
微笑む顔を合わすと、やれやれと言いたげに彼は頭を掻く。
一拍置いてから告げられた。
「ちょっと、だけな」
「そう言わずに最後まで」
END.
2010/02/11
◆あとがき◆
最近ジェイド視点でJGを書くことが多くなりました。
地味に楽しいのかもしれない^^←
しかし色々捏造しておりますが、気にしないで下さい。
ジェイドの椅子はくるくる回らないと思うんだ…。
結局はジェイドが変態なことを言って終わる。
ガイは様子見と言っておいてジェイドに会いに来たかっただけ。
だって仕事大変そうだったし、邪魔になるかと思ってさ(本人談(笑
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