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09'VD clap2



俺の恋人はマルクト帝国軍第三師団師団長で、現皇帝ピオニー陛下の懐刀。
容姿、スタイルもよく天才的頭脳の持ち主。

そんな彼が、モテないわけがない。





「ジェイド…すごいな、この量…」
「え?…あぁ、毎年この時期はこんな感じですよ。気にしないで下さい」

いつも通り、ジェイドに会いに彼の執務室にやって来た。
いつも通り数回ノックしてからドアを開けていつも通りの光景が目の前に広がると思っていたが、今日は違っていた。

執務室の床やソファの上の至るところに置いてある紙袋。
その中身は色とりどりにラッピングされた、全てジェイド宛てのバレンタインデーのチョコレート達だった。

「いただいてもお返しはしないといつも言っているのですが…困ったものですよ」
「けど、貰ったチョコはどうするんだ?一応食べたりはするんだろ」

紙袋の中を漁ってみると出てくるのは有名お菓子メーカーやブランドものの高級チョコレートばかり。
少し、羨ましいと思ってしまった。

「まさか。見ず知らずの他人から貰ったものなんて食べるわけないじゃないですか。ほとぼりが覚めた頃に毎年無料で兵士の皆さんに差し上げていますよ」

そのジェイドのちょっとした発言が、俺の胸にチクリと突き刺さった。

「そっ…か。そうだよ、な…」

つい、それが態度に出てきてしまった。

「…?ところでガイ。あなたは私に何か用があってここに来たのでは?」
「え…あーいや、大したことじゃないんだ。仕事の邪魔して悪かったな。…じゃ」

すぐこの場から、この雰囲気から逃げ出したくなった。
…やっぱり、やめておこう。
片手に隠し持っていたラッピングされた小さな箱をきゅっ…と掴み直す。
ジェイドは座っていた椅子から立ち上がり、ゆっくり俺に近付いてきた。

「何か、私に隠していませんか?例えば…そう、その何かを隠そうと必死な、片手…」
「そ、そんなことないぜ?あ、そういえばそろそろブウサギの散歩の時間だよな!俺、行かなくちゃ…」
「逃がしませんよ、ガーイv」

じりじりと後退りを続けていたら壁に背中をぶつけてしまった。
前から迫ってくるジェイド、後ろには微動だにしない壁。
逃げ場が無くなってしまった。

「ジェイド…仕事、しなくていいのかよ…」
「そんなもの…あなたを目の前にしたら後回しですよ」

ジェイドは壁に手をつき、数秒間見つめ合ってからキスをした。
何度も角度を変えて舌と舌を混ぜ合わせる。
その、頭の芯がクラクラするようなキスに身体の力が抜けていった。

「…ん、ふぅ、んっ…」

流されてはいけない、駄目だ…と思っていても身体は言うことを聞いてはくれなかった。

「これは…プレゼント、ですか?」
「あ、…それジェイドに…」
「…私に?」

俺がキスに酔っている内にジェイドは俺の隠し持っていたチョコレートを奪い取っていた。

「…っ俺、からの…その、チョコ…レート…////」
「なぜ隠していたんです?」
「…だってジェイド嫌がるかな…って、思ったんだ…」

興味がないみたいだったし、うんざりしていた様に見えたから…だから、だから…。

「あなたの手作り、ですか?」
「ん、一応…」
「確かに、バレンタインデーのチョコレートなんて興味ありませんが…私を想いながらこれを作ってくれたことに意味があるのですよ、ガイ」

ジェイドは箱の周りのトッピングを取り外し、チョコレートを口へ運んだ。

「それに、あなた以外の方からもらったチョコレートなんて、興味ありませんからv」
「ふ、う…んぅ…////」

顎を片手で持ち上げられ、唇を塞がれた。
唇が繋がって口内に広がるのは熱で溶けかけた、チョコレート。
ずっとそのままそれが溶けなければいいのに、と思った。

「は、はぁ…」
「とてもおいしいですね、チョコレートも…あなたも」
「…っ////恥ずかしいからやめてくれよ、その言い方…」

ジェイドの顔が近すぎて、なかなか凝視出来ずに目線を色んなところに反らす。

「私は、嬉しかったのですよガイ。あなたからバレンタインデーのチョコレートを貰えたことが」
「他人から貰ったものなんて食べないんじゃなかったのか?」
「あなたは私の特別ですから。話は別ですv」

何だか肩に入っていた力がすうっと抜けていくのを感じた。

「何だよ、それ」

思わずほころびる。
さっきまで悩んでいたことが少し馬鹿らしく思えてきたから。

「そういえば、あなたは今日私に一番大事なことを言っていませんよねぇ?」
「え?…あ、ぁー、えーっと…」
「ガーイ」

顔をさらに近づけられ、軽い尋問に近かったが。
自分の気持ちには、嘘をつけられない。

「そのっ…好き、だぜ…ジェイド…////」
「えぇ、私も。あなただけを愛していますよ」

また、濃厚なキス。
身体が火照り、とろけてしまいそうな口付けを何度でも。
甘く、ほろ苦く。





「利子は三倍だからな。ホワイトデー、楽しみにしてるぜ」
「もちろん用意させていただきますよ。あなたの為だけに。楽しみにしていて下さい」


happy valentine's day?





END.
09/02/09〜09/03/07

◆あとがき◆
当サイト公開から初のバレンタインデー。
折角のバレンタインデーですから、甘くをモットーに。
珍しく裏まで突入することなく終わりました(むしろ初めてでは…

ま、もちろんホワイトデーにはチョコレートのお返しにジェイドがガイ様にあんなことやこんなことをやらかすつもりなので約一ヶ月後、気長にお待ち下さい^^
ホワイトデー間近になったら拍手入れ替えたいと思っています。
間に合うかな…やることいっぱいありすぎて間に合わなかったらすいません…!

最後まで読んで下さった方々、ありがとうございました。

村瀬りんく

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