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もしも自由に空が飛べたなら

シリアス





もしも、自由に空が飛べたなら



「シンクは、何がしたい?」
「はぁ?有り得ないよ。そんなこと」

質問したことを潔く跳ね返された。
相変わらず現実主義というか、夢が無いというか。

「だから、もしもの話だよ。も・し・も」

すかさずフォローを入れてみるが、質問に興味すら持っていないみたいだ。
フン、と鼻であしらわれてそっぽを向かれた。

「俺は世界中を回ってみたいな」
「ふぅん」
「空を飛んで、自分の目で世界を見るんだ」
「…どうしてさ」

いつか喋っていれば相手にしてくれて、聞き返してくれる。
シンクはそういう奴だ。
同じ時間を共に過ごしてきた中で、だんだん奴の行動パターンが読めるようになってきていた。

「可哀想だろ。羽があってもカゴから出られない鳥なんて」
「…そう、かな」

窓から青い空を見上げれば、たくさんの鳥が羽ばたいている。
自由に気流に乗り、行きたいところへ何処まででも。
その身はカゴに縛られること無く、自由気ままに。

「カゴに入ったままじゃ羽を思う存分広げても飛べやしないだろ」
「まぁ、ね」
「卓上旅行が趣味だから、な。行ってみたい場所が色々あるんだ」

羽があるもの空へ飛び立ちたいものなんだ、と。

「僕はカゴの中で良いよ。飛び立ちたい理由なんて無いからね」

カゴの中なら安心だろう。
敵に襲われることもなく、餓死することもなく、平和に暮らせる。
外の世界に飛び立つなんて、自ら身を投げる自殺行為。

「じゃあシンクも俺と飛び立とうぜ、一緒に世界を見るんだ」
「嫌だね。僕はカゴの中で良いって…」
「それじゃあ楽しくないだろ、なっ!」

眩しい太陽の下に咲く花のような笑顔で。
シンクに手を差し伸べる。

「ちょっとだけ、なら」
「そうこなくっちゃな」

共に、シンクと共に。
例え外に危険があっても構わない。
自由に飛び立ち、自由に空を舞い、世界をこの目で見てみよう。

「ほら、行こうぜシンク」




END.
2010/01/28

◆あとがき◆
ガイ様はポジティブにシンクと接するなぁ。
シンガイは毎回シンクがネガティブというか、悲観的というか扱いが困ります(笑←
シンガイなのかガイシンなのかは不明ということで。



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