シリアス 「そういう風に泣かれると、やりにくい…な。私も人の子だ」 無意識だ。 これは無意識に溢れ出るもの。 目尻に溜まった水滴が頬を流れる感覚が、全てが懐かしい。 「一体何を、想ったのか」 何を…だって?そんなこと、分からないんだ。 自分でも、分からない。 特に悲しい訳でもない。 この身体を重ねる行為が痛いということでもない。 むしろ悦んでいる方だ。 繋がり合った結合部、汗ばみまとわりつく肌の感触、お互いの距離の近さを感じる温かい吐息。 そして、もうひとつ不随筋に支配される無意識に拍動してしまう鼓動。 「ガイ…?」 そっと、首に腕を絡ませた。 あまり表情を読み取れない程に、顔はヴァンの解いた長い髪で気付かれない程度に死角に入れた。 涙を流した姿など、二度とヴァンの前では見せたくなかった。 「どうした。今夜は随分と私に甘えてくるのだな」 「ンっ…」 身体を動かしたためか繋がったままのヴァンのそれは、深く奥まで行き届く。 もう進むはずがないと油断をし、弛緩していた括約筋がそれにより収縮をする。 きつく締め上げては放すまい、とヴァンから小さなうなり声が上がっていた。 「それに一段とキツイ、な」 言葉と裏腹の如く腰の律動が再開する。 引いた後、戻ろうとする粘膜をまた押し広げようと行き来が繰り返され、いつの間にかスムーズな挿入になっていた。 奥へ、それを押し付ける度に狙いながら確信へと擦れる。 信じ難いことだが、それが達する程の快感へと導いてくれるのだ。 「あ、ふ、ぁあ、あッ」 目をぎゅっ、と強く瞑る。 すると同じように目に浮かんでいた水滴が重力によって落ちていく。 渇いた涙の後を追うように、同じ経路を辿る。 「ヴァ、んぅッ、あ、ぁ〜〜」 同じタイミングで二つの性器から粘りを持つ白濁色のものが放出される。 毎回、中で達された後の感覚は忘れられない。 「っは、ぁ…はぁ」 脱力した身体は己の体重を支えきれられずに力無く、ベッドに落ちた。 胸も忙しなく上下する。 「…目が、赤い」 目を見つめたヴァンが頬に手のひらをなすりつけてきた。 拭わずにいた涙の後が渇いて道を作る。 それを消していくようにヴァンは舌を頬に這わせた。 「…ん、んっ」 舌の表面である乳頭が滑らかな肌に這う。 それはくすぐったくもあり、どうしたらいいのか分からなかった。 「まるで昔の泣き虫ガイラルディアのようだ」 「それを今、言うなよ…」 「貴公の涙はここ数年、見たことがなくてな。それ故に懐かしい」 そんな優しげな瞳でこちらを見つめないでくれ。 身体を寄せて、距離を詰め、これ以上触れないでくれ。 その愛しい身体で触れられると、こちらが困惑してしまう。 それはもっと、欲しくなって求めてしまうから。 「やめっ、ヴァン…!」 触れられていた手を払い、目元を腕で二重に覆い隠した。 暫く、また勝手に止まった筈の涙が溢れ出る。 そうして顔の赤みと気持ちの向上が治まるまで、そのままじっとしているしか方法は無かった。 end. 2010/12/17 涙ネタをですね、出来ないかと思いまして。 VGで挑戦してみたらいつも通りのシリアスに裏が混ざっただけでした(笑 結局、ガイは何かの意味があって涙を流したけれどもそこら辺は曖昧になっているという、適当さ。 ヴァンはガイに愛されているのですが、そこら辺の愛情表現が薄かったでしょうかねぇ。 [戻る] |