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シンガイ
入浴を終えて浴室の扉をあけながら「あいたぞー」と声をかける。
返事が返らない理由を一呼吸おいた後に気づく。
タオルで濡れた髪をがしがしと掻きながら部屋をガイは見渡してぽつりと言葉を漏らす。
「そうだったな」
いつもと違い壁ぎわに一つだけ置かれたベッド。部屋の隅に置かれた荷物は一つだけ。壁におかれた剣も一つ。

今日は一人部屋だった。

宿を取るときは大概ルークと相部屋になっていたが、今日はフロントで「相部屋も大部屋も全て塞がっておりまして。一人部屋でしたら人数分ご用意出来ますが」と言われたのだ。
皆、少しばかり逡巡したが、「たまにはいいんじゃないか」とガイが後押しをするように口を開くと、皆「そうね」と意見に賛同した。
「ガイが言うと意見が通るよなー。俺がこの前一人部屋に泊まりたいって言ったら、『お金の無駄でしょ』ってティアに怒られたのに」
と口を尖らせるルークの抗議を、すかさずティアが
「あの時とは状況が違うでしょう」とピシャリと跳ね除けた。
皆がいつもの二人の掛け合いに笑い、宿にはいる前に夕食も済ませていたため、そのままフロントで別れる事となった。

備え付けのドライヤーの熱風を髪にあてながら、さて夜はどう過ごそうか、とガイは考える。
日課である剣の手入れは風呂に入る前にやってしまった。
こんな事なら譜業の雑誌でも買っておけばよかったな。
後からルークの部屋に遊びに行ってもいいな。ガイがそんな事を考えていると、部屋の灯りがふっと落ちた。
だが、手元にあるドライヤーはまだ音を立てている。
停電ではなさそうだ。
ドライヤーにスイッチを切って洗面台に戻すと、部屋へとゆっくりと向かう。
こんな悪戯をする人物は一名しか思い当たらない。
「おい、ルーク。いい加減にしろよ」
灯りが落ちた部屋は窓から差す月光のみ。青白い光は小さく開かれた窓の形を、床に少し間延びした影として描く。
その影を踏みつけるように、闇から何かが現れた。
ガイの予測していた人物よりも一回り小柄で細い身体。仮面を外した顔は、彼と同じく性別を一瞬疑ってしまう。
「やあ、久しぶり」
「お前っ、シンク!!」
月光を背に佇むシンクの姿を捉えたと同時に、身体は壁にかけた剣目がけて駆けていた。だが、侵入者はガイの思考を読んで、先に剣を奪い取る。
「体術なら僕の方が有利だ。ま、戦いにきたわけじゃないけどね」
「そんなお前の戯言が信じられるとでも?」
「アンタが信じなくてもボクはどうでもいいよ。ホドの生き残りさん」
その言葉にガイの身体が僅かに反応する。
「アンタの身体をカースロットで穢した事でヴァンからこっぴどく怒られたよ。勝手な真似はするな、とね。
おかしな話だと思わないか。今までは計画を遂行する為ならば、どのような事も僕の判断に任せてきたくせにね。
アンタに余計な手出しはするな、と何度も釘を刺されたよ、必死すぎていっそ憐れな程だったよ」
こつこつを靴音を立てながらガイとの距離を詰めてくる。
その度に右腕が熱く脈動している。脈動するたびに、身体中の神経が麻痺していく。さして広い部屋というわけではない。
シンクが詰める度に、一歩ずつ痛みに顔を顰めながら後ずさっていたが、背が壁にあたりそれもままならなくなる。
「そうなったらさ、こっちも事情聞かないと引き下がれないだろ。だから聞いたさ、ああ、丁度アッシュもいたな。
ヴァンとあんたが主従関係にあり、アンタが復讐のために身分を詐称してあの屋敷に入り込んだ。
そしてアンタは「ルーク」を手にかけるつもりでいたって。アッシュがショック受けて顔面蒼白になってたよ、あれは見物だったな」
くくく、とその様子を思い出して、愉しげに笑う。
「じゃあさ、僕達の仲間なんだろ。なんでいつまでもそっちにいるのさ」
シンクの指がガイの顎を掴む。グローブを外したその指は武闘家にしては、あの彼と同じように白く細い。
その問いかけに厳しい顔でシンクをきつく睨んでいる。そんなガイにシンクは、ふふっと薄く笑う。
「人の身体を勝手に操るような奴とはつるみたくないな」
怒りを滲ませたその言葉に、シンクは大きな翡翠の双眸を瞬かせる。
「なんで怒るのさ」
「俺の意思を無視して、身体を使われて黙っていられるか」
意思を無視?ガイの怒りの原因に触れて、シンクは胸のうちで言葉を反芻する。
聞かされていないのか、「あいつ」から。
そしてシンクは次に、にっと笑った。そこからはたくらみの香りがたちこめている。
「そっか。そうだね……。意思と関係なく身体を操れる便利な呪術なんだけどさ」
益々ガイが顔を険しくするのとは対照的に、シンクは益々楽しげな様相をしている。
「風呂上がりとは丁度いいや」
「何が、だ」
それにシンクは無言で笑顔を向けて応える。それはけして質の良いものでない。同じ顔なのに、同じ笑顔なのに、どうしてこうも受ける印象は違うのだ。
ぞくりと冷たい戦慄が背に走った。


中編
宿屋の粗末なベッドの上から衣擦れの音と、僅かに漏れる荒い息が絶え間なく聞こえてくる。
シャツを腕に通しただけで、前のボタンは全てはずされている。
何も纏っていない両脚は左右に大きく開かれている。
その付け根には忙しく上下する手が性器を握りこんでいる。
自らを慰める行為のはずだが、ガイの表情は険しく嫌悪に満ちている。
奥歯をきつく噛み締めながら、途切れ途切れに
「ん、な事し、て、たのし、いの、か」と問いかける。
少年はそれを受けてまた笑う。
「まあ、結構楽しいよ」
悪趣味な、とガイは眉根に刻んだ皺を深くしながら胸の内で吐き出す。
右腕に刻まれた傷がどくどくと脈動するたびに思考は鈍くなっていく。
身体が意思に反して望みもしない行為を始めた時は、まさか、とシンクに驚愕の眼差しを向けた。
それを受けてシンクは口角の端を皮肉げにあげて笑ってみせた。
抗おうとすれば強烈な苦痛が全身を駆け抜けた。
辱め、貶めて笑う目の前の少年を胸の内で罵倒しながら、命ずるままに掌を動かす。
自分で行いながらも誰かの手を介しているような不思議で、そして嘔吐を伴う気持ち悪さが纏まり付いてきた。
ガイの髪を掴むと、ぐっと力を篭めて顔を向けさせる。
「あんたも楽しんだら?」
「なに、がっ」
「ちゃんと逃げ場与えてあげてるだろ」
何がだ、と問いかける前に、扉が叩かれて息を呑む。
控えめにたたきながら、周囲と時間を考慮してなのか、いつもより声を落としている。
「ガイ、まだ起きてるか?」
扉の向こうから聞こえる声にガイは身体を硬くする。
シンクも僅かに身じろぐが、鍵に一瞥をくれると早々に余裕を持ち直す。
ぎしり、とベッドを軋ませながら乗り上げると、ガイの耳元に口を寄せる。
「ほら、手が止まってる」
「なっ」
声を潜めながらきつく睨み上げる
申し訳程度の着衣でなければ、意に反して性器を握りこんでいなければ、「お前、バカかっ」と怒鳴っているところだ。
すぐそばにルークがいるんだぞ、と想いをのせるようにきつい視線を向けるが、シンクは全く意に介さない。
「それともあのレプリカに見て欲しいの?じゃ今から僕が大声だしてみようか。
鍵かけても、あいつはドアを蹴破ってきっと助けにきてくれるよ。その時どんな顔するだろう、見物だね」
その言葉に、一瞬心底呆れた顔をみせる。どこまでこの男は悪趣味なんだ。
「ガイ、もう寝た…か?」
弱々しい声が扉越しに聞こえてくる。
ガイは何か言葉を紡ごうとするが、きゅっとかたく結び、息を潜める。
その様子をみてシンクは耳に寄せたままの唇を首筋に移動して吸い上げる。
突然の刺激に「っつ!!」と声が漏れる。
諦めて踵を返そうとしたルークは「ガイ?もしかして起こしたか?」と再度控えめに扉越しに声を掛けてくる。
左手の甲を自らの唇に押し当てて、声を漏らさぬように耐える。
だが、シンクは開かれたシャツに手を這わすと、胸の先を探り当て指の腹でぐりぐりと弄る。
その刺激に身体が跳ね、またベッドがきしむ音を立てる。
「おーい」
呼びかける声に心臓がどくどくと早鐘を打つ。
ルークに少しでも不審に思われてはいけない。だが。
びりびりと電流のような刺激がその箇所から全身を駆け巡る。
触れられて硬く尖った先を指先で弄られると、声が漏れそうになる。
握りこんでいた性器は硬く芯を持ち始めている。
静寂が恐ろしい程長く感じられる。ふうっと諦めたような息が扉越しに聞こえてくる。
そして扉の向こうの気配が薄くなっていくのを、ガイは身のうちに沸き起こる疼きに耐えながら感じていた。
完全にルークの気配を感じなくなると、ほうっと安堵を漏らす。
そして、注意深く小声で
「何考えている」とシンクを睨みつける。
「気が変わった」
そう言うと、シンクはベッドに完全に乗り上げると、ガイの肩をベッドに押し付ける。
「アンタ、経験ないんだよな。確か女性恐怖症なんだろ。その年齢でまだ誰ともヤッてないから」
一度言葉を切ると、まさぐっていた乳首をきゅっと摘む。
それだけでガイの口から「んっ」と甘い声が漏れる。
「だから、これくらいの事で感じまくってさ。おかしいの」
貶めるような物言いにガイはぐっと唇を噛み締める。
「男とは?」
シンクの問いかけの意味を計りかねて、訝しそうな目を向ける。
「女がダメなら男とヤれば欲求不満もなくなるだろ。なんでそうしなかったの?」
その問に、ガイは口をぱくぱくさせる。
「お、おまえの、世界には女とホモしか、いないのか!!」
状況を忘れて思わず怒鳴ると、シンクはきょとんとした顔をみせてから、ぷっと吹く。
「そのほうが効率的だろ。身体つなげる事に深い意味なんて持たずに割り切ればいいんだよ。
愛なんて幻想抱くより、欲望に正直で好ましいと思うけどね」
「お前がそう思うなら勝手にそうしてろ」
俺を巻き込むな、という言葉は、突然の刺激によって喉にはりつく。
温かくぬめった舌が胸の尖りを舐めたのだ。
「きもち、いい、だろ」
口に含みながらわざと問いかけると、その舌の動きにガイは喉をのけぞらせる。
ぐっと手で口を押さえて首を左右に振る。
「ま、教えてやるよ。欲望に忠実になるのは悪いことじゃないさ」
「よ、けい、なお世話、だ」
途切れ途切れに言葉を返すが、シンクはガイの心情を見透かしたように笑う。
「でもアンタは僕には逆らえない、そうだろ?」
右腕がずきりと痛む。頭の中でシンクの声が響く。思考はどんどん愚鈍になり、反して感覚は鋭敏になっていく。
必死に抗おうとするガイの理性は、シンクの手がガイの性器の先端を撫でた時に、呆気無く押し流された。


後編
「はっ、や、あぅ、アアッッ!」
挿し入れられた指の圧迫感は、昂った性器を他人の手によって扱かれる刺激によってかき消される。
シーツをきつく皺になる程に掴んで、一気に絶頂へと駆け上る刺激をどうにかやり過ごそうとする。
先走りによって濡れた肉茎は滑りをよくし、淫らな水音をたてる。
クチュクチュと卑猥な音を立てながら扱き、内部に差し入れた指は内側の襞をゆっくりと擦っている。
そうすれば面白い程に身体を跳ねさせて、口からは甘く濡れた嬌声が上がる。
そんなガイの反応をシンクは愉しむ。
「あ、あっ、ンッ、アンッ、やッ」
内腿がぶるぶると震えている。
色づいて立ち上がった胸先と、それを囲む輪ごと口に含んできつく吸い上げると、シンクの掌で性器の質量が増す。
ガイは自分がたてているとは思えない程、高く切羽詰った声がひっきりなしに口から漏れる。
追い立てるような掌の動きと、増やされた指が内部を蠢く感覚と、敏感になっている胸の尖りを舐め上げられ、怒涛のように押し寄せてくる快楽の波にガイは飲み込まれる。
無意識に、ぎこちなく、そしてもどかしげに腰を揺らめかすガイを追い立てるように、シンクの指がガイの凝りをに押しあたった時。
「はっ、ああっ―――ッッツ!!」
脳まで突き抜けるような快楽と、その後を追うように白い閃光が瞼の裏を走った。
びくびくと震える性器の先端から精液が勢い良く迸る。
一瞬の硬直の後、がくりと身体から力が抜け落ちる。
ガイの白濁液で汚れた手を見ながら「溜まってたみたいだね」とシンクは言葉で辱める事を忘れない。
耳元に口をよせて「アンタさ、結構淫乱だよね」と囁く。
射精の刺激に、胸を大きく上下して肩で息をしていたガイがぴくりと身体を反応させる。
「経験ないから溺れるのもわかるけどさ、年下の男に扱かれて呆気無くイクなんてさ。どう考えても淫乱だよね」
その容姿と共にまだ幼さの残る声で、卑猥な言葉で攻め立てられ、ガイは自分を恥じて唇を噛み締める。
「自分だけが楽しんで終わり、にする気はないよね」
そう言うと、まだ差し入れられた指でその箇所をぞろりとなぞる。
びくっとガイの身体は跳ねる。
内部から急き立てられるなんともいえないその感覚は、ガイを怖気を震わせながら、それ以上にその感覚を貪欲に求めさせている。
「気持いいみたいだね。きゅっと僕の指を物欲しげに締め付けたよ」
潤滑油をまとった指が抜き差しを繰り返すたびにくちゅくちゅと淫猥な水音をたてる。
入り口を広げるような動きと、時に前立腺を刺激するように、シンクの指は淀みなく的確にガイを追い立てていく。
「ふ…ぁっ、…、…んっ」
鼻に抜ける声は甘く色づいている。
恥ずかしい姿を晒しているのだと、脳の何処かで今の己の姿を自覚すれば、恥じ入ると同時に益々昂ぶってくる。
内壁を捏ねられると、腰を揺らめかす。
経験したことのない感覚にガイはどんどん溺れていく。
奥が物欲しげにずくりと疼くような錯覚に陥る。
意地悪く焦らすように、ビリリと突き抜ける快楽を引き起こす凝りの回りをシンクはなぞるだけに留まる。
「さわ……っ」
「なに?どこを?ココかな」
とガイの乳首を抓ると、ガイは髪を乱して頭を振る。
閉じることを忘れた口の端からは唾液がこぼれている。
「ち、がっ、アアアッ、」
「もしかしてさ、指つっこまれてよがってんの?」
「ちが…うっ」
「ふーん、じゃあ、触ってみれば」
とガイの手を下肢に導く。先ほど射精したばかりの性器はもう熱い芯を持っている。
先程の白い粘液と、再び先端から滲みでた透明の雫で、いやらしく濡れている。
「人肌に飢えすぎなんじゃない」
くすくすとガイをいたぶる言葉が耳を震わせる。
羞恥を覚えるより先に、シンクの指の腹が先端を擦り、その刺激に腰を震わせる。
「気持ちイイ?」
その問いかけに素直にこくこくと頷く。
「そう、じゃもっとイイ事してあげるよ」


身体の内部に打ち込まれた熱い肉の圧迫感と、強い刺激がガイを襲う。
「その瞳をあけてじっくり見なよ」
大きく左右に開き、腰を浮かせた不安定な体勢で、後孔に熱い肉がゆっくりと沈んでいく様子を青の双眸が捉える。
限界まで広げられた孔が脈打つそれを呑みこんでいく様は、とてつもなく卑猥な光景であった。
自分の身に起こっている事なのに、初めて見る性交に、痛みを感じながらもこの上ない興奮を呼び起こす。
そして改めて自分が「セックス」をしているのだと思い知らされる。
年下の。しかも少女のような顔立ちをした。そして何よりも敵対する相手に。
「美味しそうに咥え込んでいるの、見えるだろ」
シンクの嬲る声も興奮で上ずっている。
見つめる視界が水の膜がはり、揺れている。瞬きすると目尻から熱いものが流れて、ガイは自分が泣いている事に気づく。
熱く脈打つものが体内にゆっくりと侵入する感覚に、背にしびれが走る。
痛みも圧迫感もある。だが、それ以上にぞくぞくする何かが身体の内部から沸き上がってくる。
「あ、あ、ああっ、ひッ」
内部の襞を掻き分けながら、シンクはゆっくりと腰を押し進める。
その未知の感覚にガイは全身の肌が粟立つ。
「太い部分全部呑み込んだよ。すごいね」
からかう言葉に益々昂ぶる。
その次の瞬間、一気に根元まで突き入れられる。
ずん、と粘膜を押し広げ奥まで穿たれて、ガイはその刺激に強さに目を閉じ喉をのけぞらせる。瞼の裏でチカチカと光が点滅している。
「わかる?根元まで美味しそうに食べてるよ」
ガイは自分の尻にシンクの下腹部が当たっている感触に、今、深く繋がっている事を思い知らされる。
ゆるりとシンクが腰を回すとぞくぞくと腰が震える。
馴染ませるように突き入れたまま僅かな抜き差しをすると、中が少し擦られる。それだけでも甘い痺れが腰から背に走る。
「あっ、ふっ、ンンっ」
小さく揺すられるたびにガイの口から漏れる声は甘く濡れている。
ずっと抜けるぎりぎりまでシンクは腰を引くと、縋るように内部は絡みついてくる。
そして前立腺を穿つように最奥まで捻じ込む。ずん、と強烈な刺激が全身を駆け巡る。
「あ、あ、アアッーッツ」
「すごいね。恥ずかしくない?こんな年下にいいようにされてさ」
泣きながらシンクの腕を掴んで縋るガイを見下ろしながら笑う。
「何もかも初めてのくせにこんなに気持ちよくなってさ。やっぱアンタは淫乱だよ」
そう言うと指で、ガイの硬く勃ち上がって濡れた先端を弾く。
「ひぁっ、」
その刺激に益々先端から先走りを溢れさせる。
シンクは腰を抱え直すと、激しく腰を打ち付ける。肉のぶつかり合う乾いた音と、潤滑油の淫猥な水音が、鼓膜を震わせて益々昂らせる。
前立腺を刺激したり、内部を捏ね回したり、ごりごりと内壁を擦りあげたり、予測できない動きにガイは翻弄される。
「きもち、いいの?」
シンクの弾んだ声で問いかけられ、こくこくとガイは頷く。
「そう」
シンクは笑う。皮肉げな笑みでもなく。
シンクの手がガイの性器を握りこみ、絞りとるように容赦なく扱きあげる。
前と、そして内部からの刺激に、絶頂までおしやられていたガイは身体を一瞬硬直させ、それからびくびくと性器を震わせながら二度目の射精をする。
ぎゅっときつい締め付けにシンクは小さく呻く。
と、同時に敏感になった内部に熱い迸りが注がれた。
「はあっ…」
その感覚にほうっと甘い息をガイは吐いた。
ぐったりと身体を投げ出したガイに、シンクも熱い息を吐きながら覆いかぶさる。
汗で湿った身体はぴったりと隙間なくはりつく。
人の体温をこれ以上になく受け止めて、ガイは陶然とする。

ぼんやりと天井をみつめる。
ゆっくりとシンクの身体が離れ、夜の冷気が肌にふれる。汗ばんだ身体に心地良く、そして寂しさを覚える。
「身体をつなぐ事なんてご大層なもんじゃなかったろ」
シンクの言葉に、ガキのくせに、とガイは心の内で呟く。
「人の身体を好き勝手して」
喘ぎすぎて声が掠れている。その言葉にシンクはまた、くっくと喉奥で笑う。
「ああ、そうだったね。僕が勝手にアンタの身体を操っている。『そういう事』だったよね」
そういう事も何も、と反論を鋭い視線に乗せるが、シンクは気にした風もなく再び覆いかぶさってくる。
顎を掬い上げると邪気なく笑って見せる。
「案外待ち望んでいたんじゃないの。こうしてセックスするの」
「ばっ、誰がっ」
反論のために開かれた口内に舌をいれて舐め回す。
「ふっ」
突然、柔らかくぬめったあたたかい物が口内を深く舐め回され、上顎を擦られると、腰がびくびくとまた震える。
合間に漏れる息があがってくるのをガイは感じていた。
「じゃ、僕の言うがままになりなよ。ほら、気持ちいいんだろ、素直になりなよ」
右腕がずきりと脈動した気がする。言われるがままに、先をねだるようにシンクの背に腕を回した。


********



朝の光を瞼に受けて、ガイは目覚める。
ゆっくりとけだるい身体を起こすと、鈍痛が走り小さく呻く。
一応衣服は整えられてある。
散々好き勝手しやがって、とガイは忌々しそうな顔をする。
まだどこかに昨夜の情交の名残があるようで、それを払うようにかぶりを振った。


後日、マルクト帝国グランコクマの宿屋にて


「ガイ。ルークには既に伝えてありますが、カースロットは意のままに操れるわけではないのです。
記憶を揺り起こして理性を麻痺させる呪術。つまり、『元々その意思がなければ、操る事など不可能』なのです」
イオンの言葉に、ガイが驚きに目を見張る。
「それ、シンクは…」
「ええ、彼も当然知り得ているはずです」
ガイはふーっと大きく息を吐くと、ベッドの上にあぐらをかいたまま顔を両手で覆う。
痛ましそうにイオンは視線をそらす。ルークとガイの関係の行先を案じて、表情を曇らせながら。
そのため、イオンは気づかずにいた。
ガイの耳や僅かに見える顔も真っ赤に染まっている事を。
ガイの脳裏に『言い訳用意してやっただろ』というシンクの声が蘇り、小さく「あのやろう…」とガイが呟いた事を。



匿名さまからいただきました「シンガイ 言葉攻めで鬼畜っぽく」でした。
す、すみません、微妙にまた外しています。
ヴァンの大切にしている〜の部分がちらりとしか出せていません。
でも初のシンガイを書けて凄く嬉しく楽しく書かせていただきました。
有難うございました。

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