10'ハロウィン 「…何を、なされているのですか」 「ああ、これか?」 諸聖人の祝日。 秋の収穫を祝い、悪霊を追い払う前夜祭。 その収穫を意味するかのように、テーブルの上には中身をくり貫かれた大きなカボチャたち。 それぞれとても特徴的な表情をしている。 ところどかろにキャンドルまで、その光を灯しながら揺れていた。 「何か宗教的なことを始めるのかと思いましたが…」 「どうしたらそういうことになるんだ。ここにちゃんと書いてあるだろ?」 指差す飾られた黒い紙の上には、綺麗に切り取られた文字が並ぶ。 オレンジ色で「Happy Halloween!」と書かれていた。 「…はっぴー、はろ…うぃん…?」 文字を読む、片言なヴァンに少し苦笑した。 不屈な顔をしてこちらを見据えてきたので、「悪い悪い」と謝罪すると反撃の如くの言葉が返ってくる。 「ああ、思い出しました。確かガイラルディア様がこーんな小さな頃に、このカボチャを見て泣き止まなかったお祭りですよね」 「お前、人の嫌なことは覚えてるんだな…」 手の高さでどのくらい小さい頃だったのか、身長を表していた。 それに対しそっぽを向くと、何か考え込むようにヴァンは腕を組む。 ついにはいらない回答をペラペラと喋りだした。 「その日の夜に貴公はおしっこが一人で行けない、と私にすがってきた」 「は、はぁ!?本当か、それ!」 「勿論。更に詳しく説明すると我慢出来ずに廊下でお漏らしを…」 「うわぁあああ!!言うなっ、それ以上言うなーー!」 口封じ、とばかりに止まってくれそうにないヴァンの口へクッキーを突っ込んだ。 一瞬、驚きの表情を見せたが突っ込まれたクッキーにヴァンは舌鼓を打つ。 「上手に焼けている…」 「それはどーもっ」 誉められたとしても多少の棘を含ませた。 そんな誉め言葉じゃ機嫌なんて直してやらないぞ、と。 もっと、もっともっと俺に対して悩んで、後悔して苦しめ。 「ところで、」 「…何だよ」 「仮装…というか、私にコスプレ姿は見せてはくれぬのか」 「いっぺん死んでこい」 Happy Halloween? end. 2010/10/31 おしっこの子ガイを、ただやりたかっただけなのです! 「お漏らししちゃった、どうしよぉ…ヴァン…」の子ガイの上目遣いは相当可愛かったに違いない^^(はぁはぁ まぁ、久しぶりにシリアスなVGじゃなく書けたので個人的には満足です。 まぁ、設定的には現パロでいけるんじゃないか、と思いましたが長くなりそうなので止めました。 だから最初のガイの言葉は「おかえり、ヴァン」だったんですけどね!(笑 何だよこれ…旦那を待つただの若妻(?)じゃないか、ガイ…。 何はともあれツンなガイでしたが、きっとこの後はデレになって2人で一夜を過ごしたんじゃないか、という妄想で終わります。 形にしたらグダグダになって終わりそうで怖いから…!← [戻る] |