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妄想圏外区域
B


キャプテンは木暮君の傍に近寄ると、目線を合わせるようにしてしゃがみこんだ。


「木暮、お前はあいつを許せないかもしれない。俺だってサッカー部を潰すなんて言われていい気なんかしないさ。でもそれがサッカーから逃げる口実だとしたら、俺はその口実をなくしたいんだ。それに、木暮も俺も皆もあの言葉が嘘だとしたら、あいつを許せるんじゃないか?」

「……………」


木暮君は暫く無言で、ただただ俯いていた。けれど、唐突に何かを振り切るようにキッと顔を上げると。


「…分かった。けど、もしあいつが本気で言っていたとしたら俺は絶対許さないからなっ」

「ああ、そん時は俺も一緒に抗議してやる」


何事にも全力を尽くすキャプテンのことだから、この言葉はきっと嘘じゃない。

そんなことを思っていた僕に一ノ瀬君がこそっと耳打ちしてきた。


「…なぁ、おかしくないか?」

「え?」

「なんか解せないんだよ。転校してきたばっかの木暮がここまでサッカー部に執着してる理由がさ」

「少ない日数でも部活が好きになることはあると思うけど…」


そう答えると一ノ瀬君はどこか腑に落ちない顔をしながらも、そうだなと頷いてくれた。


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あきゅろす。
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