妄想圏外区域
勧誘
「……要するに、あいつはサッカーが好きだけど不良のリーダーだから出来ないってことか?」
「うん、そうみたい」
僕がかい摘まんで話した内容に、キャプテンは納得しつつもどこか腑に落ちない顔をしている。
一緒に聞いてもらった皆も複雑そうな表情だ。確かに、第一印象が悪かったからなぁ。特に木暮君はそれが如実に現れている。
「不良でもサッカーが好きならやればいいのに」
風丸君が呟いた言葉に同意の声が漏れる。
僕もこくりと頷いた。
「…プライドが許さないんだろうな。それに下への示しもつかないんじゃないか?」
どこか確信めいた声は源田君。…プライドかぁ。もしそれが邪魔していてサッカーが出来ないのなら、そんなものかなぐり捨てちゃえばいいのに。
…って言葉で言うのは簡単だけど、実際は難しいんだろうな。
「…よし!」
パンッ、と景気のいい音がした。キャプテンが両手の平を叩き合わせた音だ。
そしてそのまま、満面の笑顔で。
「南雲をサッカー部に勧誘しよう!」
きっぱりはっきり、そう言い放った。
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