妄想圏外区域
B
「プロミネンス……南雲晴矢?あれ、プロミネンスって……」
幾分か前に聞いた言葉で昨日聞いた言葉。
さっきは思い出す余裕がなかったけど、今なら簡単に答えが分かる。
確か……。
「不良の、グループ…」
「なんだ、知ってんじゃねーかよ。そのリーダーが南雲晴矢。俺とお前を殴った、あいつだ」
…彼が、町に名を轟かせているという、不良グループの、リーダー。
僕が思い浮かべていた不良のイメージとはかなりかけ離れていたうえに、まさか彼が昨日話題にしていた人物だとは思わなかったからびっくりして声も出ない。
「吹雪、気を失ったお前を誰がここまで運んできたか、分かるか?」
「え?えぇと…、佐久間君?」
いきなり話が変わったことにどもりながらもそう答える。すると不動君は軽く首を横に振って。
「殴った張本人が馬鹿みてーに血相変えてよぉ、お前担いで保健室まで突っ走って行きやがったんだぜ?…俺はそれが不思議でならねぇ。お前、あいつに何したんだ?」
「何…って、僕何もしてないよ?会ったのは昨日が初めてだし、朝ちょっとだけ話したけどとりつく島もない感じだったし」
「はぁ?なんだそれ。寝ているお前の手まで握ってたのに何もねぇとか有り得ないだろ」
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