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妄想圏外区域
D


背中に走る痛み。上から感じる重み。

男の子を助けようとしたけれど巻き込まれる形で背中から転んでしまった。

彼の方は謀らずとも僕に覆いかぶさる体勢になったから怪我はないはずだけど。


「えっと…、大丈夫?」


顔、真っ赤だよ。
と言うと、男の子は弾けるように身を放した。

そして、罰が悪そうな顔をした…のは一瞬で。


「……ちっ」


舌打ちをして、グラウンドから走り去っていった。

起き上がろうとした僕の目の前に不意に手が差しのべられる。
見上げるとさっき男の子から奪ったボールを小脇に抱えた風丸君と目が合った。


「怪我はないか?」

「うん、ちょっと背中打っちゃっただけだから大丈夫」


風丸君の手を借りて立ち上がる。
そして、背中に付いた砂を掃っていると、キャプテンから集合の声がかかった。
きっと今の出来事についてだろうなと思いながら、僕達は皆が集まりつつあるそこへと足を向けた。


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