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妄想圏外区域
B


「ほら、前話した私の弟シルバーとその友達のゴールドよ」

「は、初めまして…。イエローといいます」


おずおずと名乗るそいつ…イエローにはやっぱり男らしさというものを感じない。取り敢えず軽く頭を下げた俺に、姉さんがにやにやした顔で話し掛けてきた。


「あのね、シルバー。ついでにゴールド」

「…?」

「なんスか?てかついでって酷いっスよ姐さん!」

「細かいことは気にしちゃ駄目よ。で、話なんだけど」


そう言うがいなやイエローの肩を引き寄せる姉さ……、引き寄せる…?


「今日から私、イエローと付き合うことになったから」


……付き合、う?
姉さんと、こいつが…?

………っ!


「ブ、ブルーさんっ。いきなり何を「俺は、認めない」…へ……?」

「認めないと言ったんだ。俺は、姉さんがこんなナヨナヨした頼り気のない男と付き合うだなんて絶対認めない」


キッ、とイエローに鋭い眼光を向ける。怯えるか怒るかと思ったが、何故かそいつは複雑な表情を浮かべていた。


「ね、自信ついたでしょ?」

「自信はつきましたけど…ちょっぴり悲しいです」


姉さんと奴の間で俺には分からない会話が交わされる。…無性に苛々してきた。そんな俺の心境なんてお構いなしで、隣にいたゴールドが笑いを押し殺しながら声をかけてきた。この馬鹿は勉強どころか空気を読むことすら出来ないのか。


「あのよぉシルバー、訳は俺にも分からないけどさ。その人、男装してるけどちゃんとした女の子だぜ?」

「………………は……?」


ゴールドが何を言っているのか、一瞬理解が出来なかった。確かに男らしくはないと思っていたが……おん、な?
ゆっくり、殊更ゆっくり姉さんに目をやると、悪戯な光を宿した姉さんとばっちり目が合った。


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