妄想圏外区域
C
「吸血鬼、厨房に行って大量に大蒜取ってきて。この馬鹿の口に詰める」
「分かったよフブキ君!」
「やめろ待てこの異分子っ!」
丁寧語だった馬鹿は何処へやら。こっちがこいつの素なんだろうな。なんて、どうでもいいけど。
吸血鬼は馬鹿の制止の言葉に足を止めた後、わざとらしく溜息を吐きながら振り返った。
「ほんと全く君も暇人だよね、アイキュー。僕のことを罵りに来る時間が勿体ないと思わないのかい?」
「俺が何しようと俺の勝手だろ!」
「あー成程、つまり君は僕のことが心配なんだね。こんな辺境の地に追いやられた僕の所まで何度も来るなんて、余程の馬鹿か心配症の馬鹿だよ」
「だから馬鹿馬鹿言うな異端者っ。俺はIQ1000以上を持つ天才吸血鬼だ!」
自称天才とか痛々しすぎると思うのは僕だけだろうか。
取り敢えずこいつ早く帰るかここでくたばってくれないかな。僕の中でさっきからずっと殺戮衝動が沸き上がってるんだよね。
「…ふう。とにかく、僕は君の嫌がることをするのが至高の喜びなんですから、君がどれだけ迷惑がろうとまた来てやりますよ!」
馬鹿はそんな捨て台詞を残して、コウモリに姿を変えたかと思うと、割った窓からびゅんと飛び去っていった。
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