妄想圏外区域
A
「エンペラーズってのはあの髪型が変な奴と眼帯とフェイスペイントとドレッドゴーグルのふべしっ!!」
綺麗なドロップキックが目の前で決まった。
座っていた椅子からふっ飛ばされたのは南雲君。どこか冷たい笑みを浮かべている、キックを放った張本人は佐久間君。
…うん、凄く痛そう。
「佐久間君、いきなりどうしたの?」
「蚊がいた」
「蚊をドロップキックで潰す人を僕は初めてみたよ」
うーん…、エンペラーズのこと聞かない方がいいのかな。
隠したがってるみたいだし。
よくは分からないけどそのグループの一員だったんだろうな、佐久間君。
眼帯してる人なんて滅多にいないし。
それにフェイスペイントとドレッドゴーグルって…、物凄く心当たりがある気がする。
そんなことを思っていると、復活した南雲君がにやりと口角を上げて僕を見つめてきた。
「エンペラーズってのは喧嘩がそこそこ強ぇ情報屋で、そいつの二つ名はツンデレペンギン。多分そのこと知られたくなかったんだろ?」
あっけからんとそう説明してくつくつ笑う南雲君に、すぅっと無表情になった佐久間君の回し蹴りが放たれた。それをかわして応戦体勢に入る南雲君。
うん、二人とも。
ここ一応教室だから喧嘩は自重してほしいな。
遠巻きに感じる視線に、第三者であるはずの僕がいたたまれなくなってくる。
…仕方ない。
ここは喧嘩両成敗、ってことで。
ボールペン上段構え
(ふっ、吹雪!?それで何をする気なんだ危ないから早くおろ)
(投げるためだよ南雲君。喧嘩両成敗するにはこうした方がいいって、基山君が)
(…あいつっ……!つーかお前もそれを信じるなよ!)
(あ…、もしかしてボールペンじゃなくてコンパスだった?)
(やべぇ悪化した!)
―――――
そんなわけでエンペラーズの実態の話…のはずがただのおばかな話にwww
20100506梼獄驥
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