妄想圏外区域
傍に在る幸せ
(涼アツ/アツヤ視点/「衝突」後)
一人になるのが嫌だった。
士郎が誰かのものになるのが耐えられなかった。
だから、士郎が俺から離れていかないよう、記憶のことを黙ってた。
自分勝手だとつくづく思う。
だけど俺は…士郎が好きなんだ。
叶うはずがないこの気持ちを士郎に伝えることはきっとない。
…いや、そういえばさっき勢いで言っちまったっけ。
報われるとは到底思っていない。
当たり前のことだ。
男で、兄弟で、双子なんだから。
無性に泣きたくなってきた自分を叱咤して、俺はとある場所に向かって走り続けた。
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