妄想圏外区域
俺と彼女の出会唄
「んあ?今日姐さんいねぇのか?」
ぱり、と煎餅をかじりながら尋ねてきたゴールドに俺は軽く頷く。
「友達と出かけると言っていた」
「げぇっ、マジかよ!あーあ…俺の癒しが……、ってそんな顔で睨むなよシルバー」
「……お前はここに何をしに来たんだ」
「そりゃあ姐さ………宿題写させてもらおうと思って来たに決まってんじゃねぇか」
「堂々と言うな馬鹿。それと最初に言いかけたことは何だ?はっきり言ってみろ」
「い、いやー…あ、あれだよジョークジョーク」
あからさまに目を泳がせるゴールドに睨みを効かせていると。
「たっだいまー!」
玄関から姉さんの声が聞こえた。途端、弾けるように部屋を飛び出していくゴールド。溜息をつきつつ仕方なく後を追う。姉さんにひっついていたら容赦なく制裁することにしよう。
「あらゴールド、来てたのね」
「うっす!今日も素敵っスね姐さん!」
「ほほ、ありがと」
階段を降りていると、姉さんとゴールドの会話が聞こえてきた。いつもの常套句となりつつあるそれに小さく嘆息する。一々素敵だ綺麗だ言わないと気が済まないのかあいつは。まあ、その言葉自体を否定する気はさらさらないが。
「お帰り、姉さん。遊んでたんじゃなかったのか?」
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