妄想圏外区域
D
彼女は胸の辺りを押さえながら、伏し目がちになって小さく口を開いた。
「──、──……」
小さくかそぼいその声は俺の耳にダイレクトに響いた。ああ、彼女の言動には本当に思考が追い付いてくれない。
「…っ、返事は、学校でっ」
顔を真っ赤に染め上げながら背を向けて走り去っていくイエロー。
返事は、学校で。
意識してなのか無意識だったのかは分からないが。俺は絶対に黎明高校に受からなくてはならないようだ。
彼女に、俺の気持ちを伝えるために。
返事は勿論───……。
俺と彼女の恋慕唄
(合格おめでとうございます、シルバーさん)
(有難う、イエロー)
(……えぇと、…その……)
(俺も、お前と同じ気持ちだ)
(…っ!シルバーさんっ!)
(なっ…、おいっ!い、いきなり抱き付くなっ)
(す、すみません。嬉しくてつい…)
(……いきなりじゃなければ、別にいい)
(…!はいっ)
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