妄想圏外区域
C
「今日は…その、有難う。御蔭で合格に一歩近づけた気がする」
「お役に立ててなによりです。推薦、頑張って下さいね」
家の外で他愛もない言葉を交わす。
夕焼けに照らされた彼女は、いつもより大人っぽく見えた。いつも、という程会っていないが、それでも。そう、思えた。
「あぁ、やっぱり」
「…?」
「僕、シルバーさんの笑顔を見るとどきどきするんです」
笑顔…?
笑った覚えはない、はずだ。まさか無意識の内に…?いや、それよりも。
「文化祭の時も、ずっとドキドキしてたんです」
彼女が言うからには俺は多少なりとも笑っていたのだろう。だが、それよりも。イエローが発するドキドキという擬音語が、俺の心臓を脈打たせている。
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