妄想圏外区域
B
イエローは黎明高校…つまりイエローや姉さんが通っている学校、俺の第一志望の学校の推薦入試についてこと細かにレクチャーしてくれた。
面接は個人ではなく集団。志望動機などの質問も勿論あるらしいがメインはディベートらしい。
「ディベート?」
「一つの話題について賛成派と反対派に分かれるんです。そして自分の意見を言ったり相手の意見に反対したり…日本語でいう討議ですね。賛成反対に分かれない場合もありますけど」
「イエローの時はどんなディベートだったんだ?」
「僕の時は後者の方で、『無人島に一つだけ持っていけるとしたら何を持っていくか』という議題でした」
「それなら知っている。ナイフだろう?」
「はい。でも斧とか砥石とか色んな意見が出ていて…なんだか楽しかったです」
…入試が楽しいと言う人を俺は初めて見た。合格したからこその感想なのかもしれないが、何故だろう。イエローは落ちていたとしても同じ台詞を言いそうな気がした。
それから俺は面接の次に待っている小論文の極意を学んだ。
そうして気付いた頃にはもう、太陽が沈みかけている時分になっていた。
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