[携帯モード] [URL送信]

妄想圏外区域
E


…なんでもおれは、熱で3日も寝込んでいたらしい。

その間、ヒロトはずっと自分を責めていて、姉さんは付きっきりで看病してくれていた、と後で風介が教えてくれた。

勿論その後ヒロトとは仲直りしたし、姉さんにはお礼を言った。

ちなみに姉さんというのは本当の姉さんじゃない。
身寄りのない子供を集めた、こじいん…おひさま園で働いている……先生?いや、しっくりこないから姉さんでいっか。おれ達にとっては家族のような存在だし。

そんな姉さんから、おれは『彼』の話を聞いた。
雨に打たれていたおれに傘を差してくれていた、彼のことを。

…実はぼんやりとだけど、覚えている。
高い声と、胸に当てられた小さな手。
夢かと思っていたけど、姉さんの話を聞いて夢じゃないと分かった。

名前はふぶきしろうというらしい。傘の持ち手に小さく書かれていた。

…どんな奴なんだろう。
会いたい。会って、お礼が言いたい。
できれば友達になりたい。

熱もすっかりひいて、元気になったおれの頭の中はふぶきしろうのことでいっぱいになっていた。

それから2日が過ぎたある日。

神様は、おれの願いを叶えてくれた。


.

[*前へ][次へ#]

43/141ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!