妄想圏外区域
A
「吹雪、話がある」
凜、とした低音ボイス。
南雲君はトパーズのような金色の瞳を僕に向けてきた。
一直線に、何の迷いもなく。
曇りのないその瞳は本当に綺麗で、ずっと見ていると吸い込まれそうな、そんな錯覚に陥りそうだった。
「…プロミネンスは、仮解散させた」
「え…?」
「はぁっ!?」
染岡君が訳が分からないとでもいうように声を荒げる。
「仮解散って何だよ!?」
「ま、一時的な解散ってとこだ。こうすれば俺はリーダーとしてプロミネンスの名を汚すことはない。なんせ今俺は、何の肩書きもない『南雲晴矢』なんだからな」
「なっ……」
目を見開く染岡君。僕も驚きで目を丸くしていると、今まで黙っていた風丸君がゆっくりと口を開いた。
「で?その報告をして、それで終わりじゃないんだろ?」
「ああ。俺達は今日からサッカー部に入部する」
あっさり…あれだけ渋っていたのに、本当に至極あっさりとした入部発言。
開いた口が塞がらない。
願っていたことが突然叶ったからか、思考が上手く回ってくれない。
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