妄想圏外区域
爆弾
いつものように登校して、いつものように授業を受けて、いつものように放課後を迎えた。
あれから南雲君とは顔を合わせていない。
同じマンションに住んでいて同じ学校に通っているのに、タイミングが悪いのか視界の端に映ることすらなかった。
「避けられてるのかな…」
「…誰から?」
思わず口に出した呟きを拾ったのは、スパイクの紐を結んでいた風丸君。既に準備が終わった染岡君も不思議そうに僕を見てくる。
着かけていたユニフォームをしっかり身につけて、僕は南雲君のことを話そうとした。
けど、僕が口を開く前に、部室のドアが勢いよく開かれた。キャプテンかな、と思った僕の予想は見事に外れ、
「木暮君?どうしたの?」
息を切らした木暮君の姿があった。
「キャプテンは!?」
「え?まだだけど…」
「肝心な時にっ…!俺探してくるからそれまであいつのことよろしくっ」
ばたばたと走り去っていく木暮君。
どうしたんだろう…。
それにあいつって……?
「何だあのチビ、人の顔見るなり逃げやがって」
「へ…?」
木暮君が開けっ放しにしていったドアの向こう。
不機嫌そうな顔をした、3日ぶりに見る南雲君の姿がそこにあった。
驚く風丸君と警戒心をあらわにする染岡君。
いきなりの訪問に僕も一瞬思考が止まったけど、南雲君はそんな僕等の様子を気にすることもなく、部室の中へと入ってきた。
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