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妄想圏外区域
誤解


ごみ出しはなんとか間に合った。

急いで駆け降りた階段を今度はゆっくりと上っていく。
僕の前には南雲君がいるけれど、これといった会話はない。

今ここでサッカー部に勧誘しても多分無理だろうなという予感があったから、その言葉はぐっと飲み込む。
代わりに何か話し掛けたいと思っている内に2階に到着してしまった。


「あ、あのっ」


気がついたら、呼び止めていた。ここで偶然出逢えた幸運を無駄にはしたくなかったから。


「……なんだよ」


ドアノブに手をかけた状態で訝りながら此方を見やる南雲君。
呼び止めたからには何か言わなきゃ。

回らない思考を必死に巡らせて、僕は口を開いた。


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