妄想圏外区域
D
「残りの時間、お前は休んでろ」
「なっ…、出来ませんよそんなこと!」
「疲れているんだろう?見れば分かる」
「そ、れは…。っ、でも!」
「客の俺がいいと言ってるんだから四の五の言わずに休め」
「う……」
イエローはそれ以上反論せず、ただ一言「有難うございます」とだけ呟いて、ゆっくりとテーブルに突っ伏した。
それからすぐ聞こえてきた寝息に相当疲れていたんだなと思いながら、俺は一人分の軽食を平らげるべく手持ち無沙汰になっていたサンドイッチにかぶりついた。
今まで食べてきた中で一番美味しく感じたのは、きっと気の所為じゃない。
目の前で幸せそうに寝ているこいつの存在でそう感じるのだと、浮かんだ理由は何ともあやふやな物だったが。
イエローに対する「興味」がいつしか「好意」に変わっていたことに、この時の俺はまだ気付いていなかった。
(ゴールド、朝渡した券を見せろ)
(?別にいいけどさ、聞いてくれよ…ミスコンに姐さん出なかったんだぜ……はぁ…)
(黄色…)
(ん?どーしたシル…ってお前何破ってやがる!俺のただ飯券がーっ!!)
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