*Heart Swing*
11
一方で、部屋に連れ込まれた東条も
珍しく動揺していた。
渚に連れてこられたものの、さっきまでの
痛みは嘘のようになくなってしまっている。
二人の間に、沈黙が訪れる。
永遠に続くと思われたその静寂のなか
最初に話し始めたのは渚だった。
『突然、こんなところに連れてきてしまっ
て、本当にすみませんでした...。
その、あんまりにも顔色が悪かったもの
ですから...大丈夫ですか?』
不安そうに瞳を揺らしながら、
渚は恐る恐る、自分より軽く頭ひとつぶんは上にある東条の顔を見上げていった。
「...ああ、もう問題ない。
世話をかけて、すまなかった...。」
声をかけられた東条はハッとし、
渚の顔をしばらく見つめたかと思うと
ふいっと顔を逸らしてしまった。
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