ハルヒSSの部屋
小ネタ「煙草に接吻、屋上にて」
「こんな所で何やってんだよ?」
……どちらかと言うと僕の台詞なんですが……しかし、僕がここに居る事がよく分かりましたね?
「生徒会長が階段を降りて来るのを目撃したんだよ」
なるほど。

「で、二人して何の話してたんだ?」
機関絡みなので、出来れば聞かないでいてくれると……助かります。
「そうか。……また、何か企んでる訳じゃないよな?」
……どうでしょう?
「企んでるんだな?」
ええ♪
「今度は何だよ?」
そう苦々しい顔をしないで下さい。僕達としては只、暇つぶしを提供しているだけなんですから。
「……俺にとばっちりが来るんだよ」
世界の平穏に比べたら安いものかと。
「俺の世界の平穏を返せ」
それは無理な相談でしょう。理由はどうあれ、貴方は選ばれてしまったのですから。
「どうにかならんのか?」
どうにもなりません。

それに僕は知っていますよ。貴方が口では何を言っていても、そのポジションを誰に譲る気も無いという事を。
「……」
反論は有りませんか。では、思った通りという事ですね。
「お前に理解されちまってる、ってのがかなーり気分悪いけどな」
それはお互い様でしょう?
「……かも知れん」

……そうだ。煙草、吸いますか?
「どうしたんだよ、ソレ」
生徒会長から頂いた物です。なんでも「眉間に皺を寄せ過ぎると癖になる」だそうで。
「万年作り笑顔の癖に眉間に皺なんか寄るのかよ?」
これもまた「理解されている」という事なのでしょうね。

「煙草は要らんぞ」
そうですか……では、僕一人が法律を犯す事となる訳ですが。
「お前も吸わなきゃ良いだけだろ」
形はどうあれ、折角の行為を無にするのは気が引けますから。
「そんなもんかね」
僕を思って勧めてくれたのならば、尚更でしょう。
どうも……厚意という物に弱いんです。きっとこれまで「それ」に慣れてこなかったからでしょうね。
「そうか」

かちり

……意外と、煙草というのは味が無いものなんですね。
「なぁ、古泉」
はい?
「もう一本、有るのか?」
もう一本しか有りません。
「くれ」
どうぞ……ああ、僕とした事が失礼しました。今、火を……。
「要らね」

僕と彼の影が、煙草を通して一つになる。そして離れる。二つに戻る。

……嫌な間接キスですね。
「変な表現すんなよ」
ふふっ……これで、僕と貴方は共犯ですね。
「そうだな」
黙っていて貰えますか?
「煙草の火が消えるまでは、心に仕舞っておいてやるよ」
ありがとうございます。

「あーっ、しっかし冷えるな、ここ」
冬ももう終わりですよ。直に春がやってきます。出会いと……別れの季節です。
「吸い終わったら、校舎に入ろうや」
はい。


←back next→
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!