ハルヒSSの部屋
よいこの味方は聖夜に踊ったり騒いだりロケランぶっ放したりする
キョン「うーん」
ハルヒ「何悩んでんの? どうすればCO2の削減に協力出来るかなんて簡単じゃない。息をしなければ良いのよ」
キョン「そんな地球規模の悩みじゃないし、呼吸しないと死んじまうよ!」
ハルヒ「あら、残念ね。手伝ってあげようと思って、優しいアタシは紐を用意してあげたのだけど無駄になっちゃったわ」
キョン「白昼堂々絞殺宣言!?」

ハルヒ「困ったわね。放置しておいたら地球がヤバいらしいのに」
キョン「なんで俺の息の根に環境問題が直結してるみたいに言ってんの、お前!?」
ハルヒ「こういうのは一人一人の心掛けが大事なのよ。キョンみたいな小さなコトでもどんどんヤっていかないと」
キョン「何『今、私良い事言った!』みたいな顔してんだよ! 後、俺の事を人間が小さいみたいに言うんじゃねぇっ!」

ハルヒ「確かにうかつな発言だったわ。五分の魂って言ったって魂に変わりはないものね」
キョン「やっぱり虫扱いかよ!」
ハルヒ「図体ばかり大きくてスペース取るから虫以下よね」
キョン「カースト制もびっくりの最下層民だよ、マジで!」

ハルヒ「なら、虫よりも使える所を見せなさいよ」
キョン「いや、流石に虫よりは使えますよ、ええ!」
ハルヒ「本当に?」
キョン「本当に」
ハルヒ「もしもアンタと同じ大きさの蟻が居たらどれだけの重量を持ち上げられるか知ってる?」
キョン「そんな大きさの蟻は現実には居ねぇんだよ!!」
ハルヒ「でも、カマキリは居るらしいけど?」
キョン「アレは限られたグラップラーにのみ見える幻想です!!」

ハルヒ「まぁ、良いわ。とりあえず、アンタには虫よりも優れている所を見せて貰う事にします」
キョン「お前の、虫に対する並々ならぬ愛護精神の出所を知りたいんだが」
ハルヒ「丁度良く、良い感じのイベントも差し迫ってる事だしね!」
キョン「いや、人の話聞けって」
ハルヒ「ぶっちゃけ、暇なのよ」
キョン「うわぁ、ぶっちゃけやがった」


『良い子の味方は聖夜に踊ったり騒いだりロケランぶっ放したりする』

ハルヒ「上がタイトルよ!」
キョン「クリスマスもう大分過ぎてる!!」
ハルヒ「良いのよ、別に。SS読み手にとってクリスマスなんて黒歴史だから!」
キョン「止めて! 煽らないで! 叩かれる!」
ハルヒ「大体、コレ書いてるヤツのクリスマスSSだって結局未だ完成してないのよ!」
キョン「こんなん書いてないでそっちに取り掛かれ!!」
ハルヒ「さぁ、クリスマスをやり直すわよ!」
キョン「お前が言うと洒落にならない!!」

ハルヒ「いい、キョン? クリスマスには良い子に惨多がプレゼントを持っていかないといけないのよ」
キョン「字が違う! そんな血塗られたクリスマスは要らない!」
ハルヒ「子供の枕元に吊るされた靴下には両親の生首が入っているらしいわ」
キョン「ティム・バートンもびっくりのナイトメアビフォアクリスマスだよ、コノヤロー!」
ハルヒ「本気にしないでよ。単なる都市伝説だから」
キョン「尚更怖ぇよ! 都市伝説って何!?」
ハルヒ「サンタの服が赤い理由を知ってるカシラ?」
キョン「聞きたくない聞きたくないィィッッ!!」

ハルヒ「SOS団一番の良い子って言ったら誰だと思う?」
キョン「そりゃ、俺だろ。間違いない」
ハルヒ「そう、有希よ!」
キョン「お前が人の話を聞いてないのはデフォルトだよな。うん。分かってる」

ハルヒ「という訳でアタシ達は今、有希のマンションの前に来ています」
キョン「この寒空に。男女が残らず脳内をピンク色に染め上げる性なる夜に。呼び出した理由がそれか」
ハルヒ「似合ってるわよ、髭」
キョン「そりゃ、ありがとうよ」
ハルヒ「その返り血を浴びまくった服も」
キョン「誰も刺してねぇよ!?」
ハルヒ「最近、物騒だと思っていたら、やっぱりアンタだったのね」
キョン「止めて! そんな目で俺を見ないで!」

ハルヒ「何よ、似合ってるんだから良いじゃない」
キョン「返り血の似合う男になんかなりたくねぇっ!!」
ハルヒ「ハードボイルドよ。今、流行ってるんでしょ?」
キョン「どこで!? ねぇ、どこで流行ってるの!?」
ハルヒ「フィンランドとか、あの辺。スカンジナビア半島では血で血を洗うサンタ頂上決戦が」
キョン「行われてない!!」
ハルヒ「トナカイの鼻がなぜ赤いか知ってる?」
キョン「捏造、いくない!」

ハルヒ「ちゃんとサンタ御用達の大きな袋も用意したわよ」
キョン「なんか重たいんだけど?」
ハルヒ「そりゃぁねぇ……」
キョン「なんで? なんで遠くを見るの、ハルヒさん!?」
ハルヒ「キョン、知ってる? 脱力した人間は、とっても重いのよ」
キョン「誰を拉致ってきやがったんだ、テメェ!?」


喜緑「どうも、お久し振りです」

キョン「……」
ハルヒ「緑色ってクリスマスカラーでしょ?」
喜緑「ええ」
キョン「……」
喜緑「言われた通りちゃんと血糊も用意してあります。クリスマスと言えば緑と赤ですよね」
ハルヒ「死体の演技は練習してきた?」
喜緑「ええ」
ハルヒ「ありがとっ! これで有希もきっと喜ぶわ!」
キョン「……いや…………どうかな」
喜緑「……? 私では不足ですか?」
ハルヒ「ちょっとキョン! プレゼントが困ってるじゃないの!」
キョン「……不足かどうかは置いておくとして、不適格ではあると思います」
ハルヒ「アタシだったら可愛い子は幾らでも欲しいわ!」
キョン「貰って嬉しいものをあげるのはプレゼントの大前提だがな。しかし、『者』じゃなくて『物』にしておいたらどうだろう」


喜緑さん、退場
喜緑「会長とクリスマスしてきます。イブ林檎の人がきっと書いてくれる筈ですから」

キョン「なんて投げ方しやがる!」
ハルヒ「イブ林檎の続編、期待してるわ!」
キョン「他の作者さんに迷惑掛けるのダメ、絶対!!」
ハルヒ「何よ! このSS書いてるヤツだったら泣いて喜ぶわよ!?」
キョン「そんな事言われてリクエストが来ても絶対に捌(サバ)けませんから!」
ハルヒ「メタな発言は差し控えなさい、キョン。読者に引かれるモトよ?」
キョン「振ったのお前! 棚に上げまくって、もう棚は満杯だよ!?」
ハルヒ「昔の人はこう言ったわ。棚が埋まったら新しい棚を買えば良いのに」
キョン「そんな事は言ってないし、それに近い事を言った人の最期はギロチンだ!!」
ハルヒ「切れてなーい、って手品に失敗した失笑モノの最期だったわね」
キョン「なんでお前、世界史の点数良いんだ?」


キョン「……で、だ」
ハルヒ「分かり易い仕切り直しね。書き手の腕が知れるわ」
キョン「止めて! コレ書いてるヤツかなり打たれ弱いから止めてあげて!」
ハルヒ「最近、調子に乗ってるから少しくらい叩かれた方が良いのよ」
キョン「サンタクロースとかクリスマスとかそんな話をしたいんじゃなかったのか、お前は!?」
ハルヒ「そんなんは後回しね。面白い話題が有ったらどんどん食い付いていくのが名司会者って呼ばれる人間なのよ」
キョン「腕章をポイポイ書き換えるんじゃありませんっ!」
ハルヒ「何よ、アンタに名司会者は無理よ?」
キョン「シリーズの語り部に向かってなんたる言い草!?」
ハルヒ「アタシ的には古泉君視点の『古泉一樹の焦燥』とかが読みたいわね」
キョン「驚愕早く出して下さい!」

キョン「……で、だ」
ハルヒ「だから、何よ?」
キョン「サンタは分かった。今回の目的も理解した。それで、どうやって俺は長門の部屋に入れば良いんだ?」
ハルヒ「七階くらい気力と根性でカバー出来るでしょ?」
キョン「壁走りでもしろってのかよ?」
ハルヒ「にんにん」
キョン「にんにん」
ハルヒ「忍び装束、要る?」
キョン「いや……要らないかな。そもそも無理だし」
ハルヒ「伊賀忍者ならそれくらい出来るでしょ?」
キョン「俺、そんな教育受けた事無いからな……」
ハルヒ「にんにん」
キョン「にんにん」


古泉「ご心配には及びません」

キョン「いきなり出て来るな。顔が近いぞ、トナカイ」
古泉「似合ってませんか? 自分では結構気に入っているのですが」
ハルヒ「似合ってるわ! ハマリ役よ、古泉君のトナカイ!」
古泉「ありがとうございます」
キョン「嬉しそうな顔をするな。今のは誰がどう聞いても侮辱だ」
古泉「笑顔は癖のような感じですよ」
キョン「やかましいわ」
ハルヒ「なんか、古泉君って下っ端が良く似合うわよね。ショッカーの戦闘員とか!」
古泉「ありがとうございます」
キョン「だからお前、馬鹿にされてるんだって」
古泉「これも、仕事ですから」
キョン「本音は?」
古泉「ここに来る道すがら女の子に抱きつかれたりしてきましたので、満更でもありません」
キョン「役柄、交代しないか?」
古泉「だが断る」


ミッション1 かたぐるま

ハルヒ「サンタと言えばトナカイを踏み台にするのは常識よね!」
キョン「行くぞ、マッシュ! オルテガ!」
古泉「はい!」
キョン「おう!」
古泉&キョン「「ジェットストリームアタック!!」」

キョン「……」
古泉「……」
ハルヒ「……二人じゃ七階は無理よね、常識的に考えて」
キョン「だよな」
古泉「ですよね」
キョン「ところで、なんで俺が下なんだ?」
古泉「骨まで雑用根性が染み付いているんでしょうね、お可愛そうに」
ハルヒ「そうやってると丸っきりクリスマス泥棒よね。警察呼ぶ?」
キョン「Σ何、その仕打ち!?」
古泉「どうでも良いですが、僕、そろそろ下ろして貰えませんか?」

ハルヒ「……難攻不落ね」
キョン「まだ何もやっていないに等しいけどな」
ハルヒ「なんで壁走りくらい出来ないのよ!?」
古泉「申し訳ありません」
キョン「去年の四月からロードして超能力者の替わりに忍者呼ばないか?」
ハルヒ「この中に宇宙人! 未来人! 忍者! 異世界人が居たら! アタシのところまで来なさい! 以上!」
キョン「……忍者だけなんか異質だな」
古泉「止めて下さいよ。僕がジョブチェンジしたらどうするんですか?」
キョン「どっかのアイドルの替わりに実写ハットリくんの主役でも演れば良いじゃねぇか」
古泉「にんにん」
キョン「にんにん」
古泉「だが断る」
キョン「お前、今日の拒否権は残り一回だからな?」


古泉「こんな事も有ろうかと」
ハルヒ「有ろうかと?」
古泉「こう言えば色々と便利な道具を取り出しても怒られないそうですよ?」
ハルヒ「ふーん」
古泉「例えば、建造物侵入のスペシャリストですとか」
ハルヒ「タイミング良く、そんなキワモノが出て来る筈ないじゃない。古泉君ってば!」
古泉「ふふっ。ですよね」

不自然な位置に置かれた青森林檎の段ボール「……」

キョン「(うわっ、スタンバってらっしゃるよ、新川さん!)」
ハルヒ「良い、古泉君? 寝言は寝て言うものなの」
古泉「仰る通りです」
ハルヒ「そんなに都合良くその道のプロが通り掛かるなら、世の中の凶悪犯罪は全て未遂で終わっているのよ?」
古泉「ええ。全く、その通りで」
キョン「(段ボールが薄っすらと消え始めてる……新川さん、さようなら)」


新川「死ぬかと思いました」
キョン「危うくハルヒが自覚の無い殺人を犯す所でした」
古泉「駒には代わりが居ますから。心配には及びません」
キョン「……血も涙も無いんだな、機関ってのは」
新川「あの方に殺されるのなら、むしろ本望でございます」
古泉「(超能力の才能を)引っこ抜かれてー、貴女だけについて行くー」
新川「今日も(超能力者を閉鎖空間へと)運ぶ(神人や世界の危機と)戦う(欠員補充的な意味で)増える」
古泉「そして食べーられーるー」
キョン「何に!?」
古泉「機関の社歌です」
キョン「愛のうたが台無しだよ!!」
新川「哀のうた、と呼んでおります」
古泉「哀戦士、と呼ばれる方も中にはいらっしゃいますね」
キョン「涙……俺は今、泣いているのか?」


ミッション2 壁に強力な吸盤で張り付いて上を目指す

古泉「火の鳥は名作ですね」
キョン「どんだけの読者が付いて来れてるかな」
古泉「治虫超凄ェ」
キョン「その喋り方はアウトだな」
ハルヒ「ちょっと、キョン。先刻(サッキ)から一ミリも動いてないじゃないの!」
キョン「最近、テレビ見てないんだけどさ」
古泉「ええ」
キョン「東京フレンドパークってまだやってんの?」
古泉「知りません」
ハルヒ「ちょっと、キョン! 聞いてんの! とっととカサカサわさわさ動いて、速やかに七階を目指しなさい!!」
キョン「スマン。吸盤が外れない。動けん。助けてくれ」
新川「人の体重を支えられる吸盤ですからな」
古泉「まぁ、そうなりますよね」
キョン「見てないで助けろ」


ハルヒ「サンタクロースが壁に張り付いてるって、絵的にダメね」
キョン「作戦立案総指揮が何をホザきやがるか」
古泉「吸盤が強力過ぎましたか?」
ハルヒ「弱いのだとキョンが引っ付かないのよ」
キョン「俺は冷蔵庫のマグネットか何かか?」
ハルヒ「虫でも壁くらい上るのに。本当にアンタは虫以下ね」
キョン「溜息吐くなよ! お前なら出来るのかよ!?」
ハルヒ「楽勝よ」
キョン「ほう。なら、手本を見せて貰おうか?」
ハルヒ「分かってないわね、キョン。コレは有希にプレゼントを届けるという目的の他にアンタのテストも兼ねてんのよ!」
キョン「俺の目を見て言え」
ハルヒ「古泉君でも出来るわよ、これくらい!」
古泉「えっ!?」
ハルヒ「出来るわよね、古泉君!!」
キョン「お前の拒否権は残り一回だ。考えて使えよ、古泉?」
古泉「……」
ハルヒ「……」
キョン「……」
古泉「で、出来ますよ! 僕は副団長ですよ!?」
ハルヒ「よく言ったわ! 古泉君!!」
キョン「ちょっとトランポリン取ってくるわ。こんな事も有ろうかと、って言えば出てくるんだろ?」


古泉「……」
キョン「……シュールな絵だな、確かに」
ハルヒ「だから、言ったでしょ?」
古泉「……」ワサワサ
キョン「お、ちょっと上った! 凄ぇな、古泉!」
ハルヒ「でも、トナカイなのよね」
キョン「トナカイなんだよな」
古泉「……はぁ……はぁ」
キョン「なぁ、ハルヒ?」
ハルヒ「何よ?」
キョン「トナカイって壁に張り付く生き物なんだな」
ハルヒ「アタシも初めて知ったわ」
古泉「……後……五階……」カサカサ
キョン「なぁ、ハルヒ?」
ハルヒ「何よ?」
キョン「トナカイがプレゼントも担がないで長門の部屋に辿り着いて、どうするんだ?」
ハルヒ「……さぁ?」
古泉「……はぁ……思い出せ、僕……機関での厳しい特訓を!」
キョン「おい、古泉! 降りて来い!」
古泉「えっ?」
ハルヒ「警察呼ばれるわよー!」
古泉「……僕らの神は、本当に気まぐれです……」
キョン「さっさと降りて来ーい!」

古泉「……降ろして下さい」
キョン「それ無理」
ハルヒ「なまじ頑張って上っちゃったからね……」


はしご車が出動しました

新川「こんな事も有るかと思いまして」
ハルヒ「はしご車まで出てくるなんて、本当にその台詞は万能なのね!」
古泉「もう少しで蝉の気持ちが分かりそうでした」
キョン「いや、トナカイだけどな、お前は」
ハルヒ「さて、仕切り直しよ! あ、消防隊員の皆さん、ありがとうございましたー」
キョン「凄い失笑振りだったな」
古泉「彼ら、機関の人間ですよ」
新川「明日から古泉のコードネームは『蝉』か『吸盤トナカイ』の二択ですな」
キョン「本当に血も涙も無いんだな、機関ってのは(失笑」
ハルヒ「うかつだったわ、アタシとした事が。そうよ。キョンが上らなきゃ意味が無いの!」
古泉「早めに気付いて頂きたかったです」
キョン「俺としてはなぜはしご車を帰したのかが気になるんだが」
ハルヒ「あ」
古泉「あ」
新川「……ふむ」
キョン「いや、もういいよ。とりあえず『なんで早く言わなかったんだ』的なその目を止めろ」


ミッション3 普通に玄関から入る

ハルヒ「有希の部屋の合鍵とかもしも持ってたら、問答無用で殺すわよ?」
キョン「だとよ、古泉」
古泉「な……なぜ、そこで僕に振るんですか!?」
キョン「よし、ポケットを裏返して俺たちによく見せてみろ」
古泉「嫌ですね。トナカイにポケットは有りません。ポケットを持っているのは有袋類で、カンガルーなどですよ」
キョン「いや、そんなのはどうでもいいから」

古泉一樹、連行

キョン「南無三」


キョン「なぁ、先刻からはしご車やらパトカーやら呼んでる訳だが」
ハルヒ「それが何?」
キョン「普通は起きるよな?」
ハルヒ「まぁ、普通はね」
キョン「この作戦……既に失敗してるんじゃないかな?」
ハルヒ「早計ね、キョン。有希の部屋の窓を見てみなさい!」
キョン「……変化無しだな。それが、どうした?」
ハルヒ「つまり、有希は多い日の夜も安心熟睡モードなのよ!!」
キョン「わーお、羽付きですか、涼宮さん!?」
ハルヒ「アレ、結構高いのよね」
キョン「知らんがな」
ハルヒ「だから普通のを使うんだけど、やっぱりたまに布団に侵食してたりするのよね」
キョン「よく分からんがクリスマスにする話題ではないよな?」
ハルヒ「サンタの服はなぜ赤い」
キョン「どんだけそのネタ引き摺るんだよ」

ハルヒ「大体、近所の人がまるで出て来ないじゃない?」
キョン「(出て来れないんだろうなぁ……)」
ハルヒ「まるで、誰かに圧力を掛けられてるみたいに静かよね?」
キョン「(誰かに圧力を掛けられているんです)
ハルヒ「さすが、古泉君よね! 良い仕事してるわ!」
キョン「おおい!? その発言は不味い不味い!!」
ハルヒ「へ? 古泉君の機関が圧力掛けてるんでしょ?」
キョン「止めてぇっ! そういうお話の枠を叩き壊すような発言は止めてあげてぇっ!!」
ハルヒ「……べ、別にアンタが止めて欲しいって懇願したからメタ発言を止めるんじゃ……な、ないんだからねっ!」
キョン「……今のは? 何?」
ハルヒ「読者サービス」
キョン「だからそういう発言を止めろって言ってんだ!!」


古泉「酷い目に合いました」
キョン「いや、トナカイ姿で帰ってきた事がビックリだよ?」
古泉「婦人警官に『いやーん、もふもふー♪』と言われてくんずほぐれつですよ」
キョン「よし、俺と替われ」
ハルヒ「キョン……アンタはまだ分かってないみたいね。明日からアンタの事を『虫』って呼ぶわよ?」
キョン「雑用係と大して変わらないような気がするんだが」
古泉「まぁまぁ。涼宮さんとしては彼が自分以外の女性とクリスマスに戯れられるのは困るのですよ」
ハルヒ「ちょっと! 古泉君!?」
キョン「……え? そうなの?」
古泉「この方向で話を広げていけば、今からでも甘いSSになりませんかね」
ハルヒ「アタシは……キョンが……まぁ……デ、デート? したいって言うんなら……その……」
キョン「……今のも読者サービスか?」
古泉「貴方は一度機関の病院に入院しませんか? 良い脳外科を紹介しますよ?」


甘いSSを狙ってみる男同士秘密会議

古泉「涼宮さんと性交して下さい」
キョン「……もう一回言ってみろ、古泉」
古泉「はい。クリスマスイブ。つまりは今夜。涼宮さんと性交をして下さい」
キョン「……よし、確認させてくれ。この指は何本だ?」
古泉「六本ですね」
キョン「どこの人外だよ、俺は」

古泉「んふっ。冗談です」
キョン「だよな。……冗談キツいぞ、馬鹿野郎」
古泉「三本ですよね」
キョン「指の話じゃねぇだろ、否定するのは」
古泉「……えっ?」
キョン「いや『え』でもねぇし」
古泉「ああ……ああ! 性交に関しては半強制と書いてマジです」
キョン「そんなルビの振り方見た事無ぇよ。残りの半分が気になるし」
古泉「優しさ……ですかね」
キョン「お前はアレか。ニキビ治療薬から頭痛薬に宗旨替えしたのか」

古泉「ですが、もう付き合い出して半年以上経ちますよね?」
キョン「俺は立派にヘテロセクシャルだよ!」
古泉「は? いえ、貴方がノンケなのは知っていますが」
キョン「なら他人様が聞いたら誤解されるような言い回しすんな!」
古泉「……ふむ。ですが貴方なら誤解はなさらないでしょう? 他に誰も聞いていませんし」
キョン「ああ、そう言われればそうだな」
古泉「もしかしなくても、照れていらっしゃるのですね?」
キョン「皆まで言うな!!」
古泉「照れ隠しの逆ギレですか」
キョン「溜息を吐くな!!」
古泉「青春ですねぇ……」
キョン「そして遠い目をするんじゃねぇぇっっ!!」

古泉「いやいや、失礼しました。ですが、惚気られる内が華ですよ」
キョン「よし、取り敢えずお前には明日の夜辺りに閉鎖空間のフルコースを用意してやる」
古泉「おや、それは怖そうだ」
キョン「棒読みすんな」
古泉「ふふっ。すみません。しかしながら、貴方に『意図的に涼宮さんを不機嫌にする』事が出来るとは思えないものですから」
キョン「……どういう意味だよ」
古泉「明晩、と言われましたね。電話でもされるのですか?」
キョン「まぁな。アイツとはケータイ会社一緒にしたから通話料定額だし」
古泉「28日にご覧になる映画の選択は任せて下さいよ」
キョン「なぜ、お前が俺とハルヒの昨晩の通話内容を知っていやがる!?」
古泉「過去の通話内容は全部音声データとして機関に保管してあります」
キョン「俺のプライバシーを返せ!!」
古泉「ああ、丁度僕のケータイに貴方の名台詞が録音されてあるのですが?」
キョン「人生に対して拒否権を発動する!!」


キョン「糖分はこのくらいで良いかな?」
古泉「嘘は程々にしておきませんとね」
キョン「だな」
古泉「貴方が『立派なヘテロセクシャル』である事ですとか」
キョン「いや!? そこは百パー真実嘘偽りの無い所だよ!?」
古泉「大丈夫ですよ。日本人の七割は『残念なヘテロセクシャル』ですから」
キョン「え!? 何の話してんの、今!?」
古泉「ちなみに僕はズル剥けです」
キョン「一気に下ネタに走りやがった!! いやいや、俺だって剥けてんよ!?」
古泉「……貴方にプライバシーが無いのも真実です。残念ながら」
キョン「止めて! 俺を不必要に貶めるの止めて!!」
古泉「皮がなんだと言うのですか。人の価値はそんな粗末なモノでは測れません」
キョン「粗末って言った今!? 粗末って言いやがった!?」
古泉「初性交時に涼宮さんが絶望されても、僕らで対処致します。大丈夫です」
キョン「そんな慰めは要らない! ノー! ノーセンキュー!!」


ミッション4 屋上から命綱を伝って壁を降りる

キョン「とうとうクレーン車まで登場したよ、オイ」
ハルヒ「こんな事もあろうかと。ね、古泉君!」
古泉「ええ、こんな事もあろうかと。知り合いにクレーン車を個人所有されていた方が快く貸して下さいました」
キョン「お前の知り合いに頼めば大統領専用機とかも借りれそうだよな」
古泉「ははっ、まさか。……大統領専用機、乗ってみたいですか、涼宮さん?」
ハルヒ「うん!」
キョン「良い返事だなぁ、チクショー!」
古泉「ですが、残念ながら大統領専用機は無理ですねぇ」
ハルヒ「そっかぁ……そうよねぇ……」
古泉「お台場のガ○ダムが限界ですよ、ふふっ」
キョン「アレ、操縦席とか有るの!? うわっ! 凄ぇ乗りたい!!」


キョン「アム○、ガンダ○、出まーす!」
古泉「クレーン、下ろします」
ハルヒ「オーライ! オーライ!」
キョン「うおぉ、風で揺れおるわ! 良い子は真似しちゃダメ、絶対!」
ハルヒ「……ねぇ、古泉君」
古泉「なんですか?」
ハルヒ「アレ。どこからどう見てもサンタのコスプレした不審者よね」
古泉「それよりも僕は果たしてベランダに辿り着いたとして、彼がどうやって室内に侵入するのかの方が気になります」
キョン「……インカム越しにお前らの会話は筒抜けなんだが」
ハルヒ「ちょっとキョン! アンタ、ピッキングのスキルとか持ってないの?」
キョン「一般男子高校生になんて無茶振りをしやがりますか!?」
古泉「使えないサンタクロースですねぇ」
ハルヒ「ホント、虫以下よね」
キョン「酷い言われようだな。俺が何かしたか?」
ハルヒ「何も出来ないからでしょうが」
古泉「今日日の高校生がピッキングくらい出来なくてこのコンクリートジャングルを生き残っていけると本気でお思いですか?」
キョン「お前らの中で、俺は何をして生計を立てている設定なんだ? で? どうやって中に入る?」
ハルヒ「……叩き割るとか」
キョン「よーし、今すぐクレーンを引き揚げろ。そしてお前らを一発づつ殴らせろ」


ハルヒ「アレもダメ。コレもダメ……有希の部屋は正に結界、か」
キョン「やかましいわ」
ハルヒ「付け入る隙が無いわね。部屋は持ち主を映す鏡って言葉が照明されたわ、コレで」
キョン「いや、どこにでもある少し高級なマンションとの差異が見当たらん。むしろ自分の無策を恥じろ、迷指揮官」
ハルヒ「でもね、キョン。どんなに堅固な堤防も蟻の巣が一つ出来ただけで決壊するのよ」
キョン「シロアリはコンクリ食わねぇよ」
新川「こんな事も有ろうかと」
キョン「うわ、帰ってなかったんですか、新川さん!?」
新川「ロケットランチャーをこちらに用意してございます」
キョン「一体どんな自体を貴方が想定していたのか、俺と一晩語り明かしませんか?」
ハルヒ「それで有希の部屋への侵入路を確保をするのね!」
新川「然様(サヨウ)にございます」
キョン「ハルヒもこの展開に少しは疑問を抱いたらどうだ?」
新川「演習用の模擬弾ですから着弾しても爆発は致しません。どうかご心配なく」
キョン「機関の行く末が心配で堪(タマ)りません」

ハルヒ「人畜無害なロケランなんて花火みたいなモンよ。案外、その辺に売ってるわ」
新川「仰る通りでございます」
キョン「いや、新川さん『演習用』って言っちゃってたからな? こんなんが電気街なんかで売ってたら日本の治安はエラい事になっちゃってますよ?」
ハルヒ「ごちゃごちゃ言わない! さ、新川さん。有希を起こさないようになるべく静かに、かつド派手に一発噛ましちゃって!!」
キョン「無理無理!! その二つは絶対に両立しないから!!」
新川「FIRE!!」
キョン「ああああああ、無駄に発音良いなァ、このオッサン!!」


カキーン

ハルヒ「……割れてないわね」
キョン「……凄い音した割に割れてないな」
新川「申し訳ありません。どうやら強化ガラスの様です」
ハルヒ「有希……なるほど、『俺の城』ってワケ。ふふふ……安眠の為にありとあらゆる可能性を考慮した要塞を築く……それでこそ有希よ!!」
キョン「お前の中の長門のパーソナリティーが駄々漏れなんだが」
ハルヒ「俄然燃えてきたわ! 相手にとって不足無し! 殺り甲斐の有るミッションね!!」
キョン「字、違くね? 俺が知らなかっただけでサンタってのはグリーンベレーの親戚筋だったりすんのか?」
ハルヒ「……? 常識でしょ?」
古泉「常識ですね」
新川「常識ですな」
キョン「そこのイエスマン二人はもう帰っちまえ!!」


今日の反省部屋

古泉「何がいけなかったんでしょうか?」
新川「さて、分かりかねますな」
古泉「長門さんのお宅のガラスを割れなかった事ですかね?」
新川「流石にメ○ルギアを持ち出す訳にはいかないでしょうしな」
古泉「次が有りましたらあの黒人に言って核でも使用しますか」
新川「それがよろしいでしょう」
古泉「では、そんな感じで。今日の反省会はこれで終わりましょう」
新川「Yes, we can !!」
古泉「発音が良いですね」
新川「平和には時として武力が有効に働く時が有ると、あの黒人も申しております」
キョン「そこの役立たず二人組はさっさと帰れ!! オバ○さんディスってんのか!!」

古泉&新川、退場


ハルヒ「二人になっちゃったわね」
キョン「(恐らく、機関の衆人環視付きの二人きりだけどな)」
ハルヒ「……黙ってないでなんか言いなさいよ」
キョン「なぁ、ハルヒよ」
ハルヒ「何、虫?」
キョン「虫って言うな」
ハルヒ「なら、雑用? でも、この程度の雑用もこなせないのに雑用係を名乗らせるのも勿体無いわ」
キョン「だったら、その称号も返上で良いよ」
ハルヒ「何よ、強がって……今のアンタじゃ、ひ、平団員すら怪しいわねっ!」
キョン「しゃぁない。だったら俺は今日でSOS団から退団だな」
ハルヒ「えっ?」
キョン「だって、そうだろ。使えない団員を置いておいてもSOS団の沽券に関わるしな」
ハルヒ「えっ? えっ!?」

キョン「あーあ、結構居心地良かったんだけどな、文芸部室も」
ハルヒ「アンタ……本気で言ってんの?」
キョン「いや、俺だって辞めたくないのは山々だが、こんな特別な夜に団長様の補佐まで有るってのに、こんな簡単な仕事すらこなせない、ってなるとな」
ハルヒ「そ、それは……ちょ、ちょっと遊びが過ぎたかな、ってアタシも反省しないでもないわよ!?」
キョン「いやいや、お前はいつでも大真面目なんだろ?」
ハルヒ「うぐっ……」
キョン「だったら、お前の立案を片っ端からこなせなかった俺が悪いって結論に帰結する。な?」
ハルヒ「まだ! まだ作戦は残ってるのよ! ピザの宅配を装うとか! トンネル効果を狙って窓に体当たりを繰り返すとか!!」

キョン「……ハルヒ」
ハルヒ「……何よ」
キョン「俺はもう、決めたんだ。いや、前から辞めるのは決めてて、後はタイミングの問題だっただけなんだよ」
ハルヒ「……何よ……何よ、それっ!!」
キョン「スマンな。でも、そういう事なんだ」
ハルヒ「何で……何でなのよっ!? 虫扱いが癇に障ったんなら撤回するし、雑用係が嫌なら役職も考えてあげるわよっ!!」
キョン「……そうじゃないんだ」
ハルヒ「アンタ……アンタ、意味分かんない!!」

キョン「……ああ、お前には分からんだろうな。分かって貰っても、それはそれで困る」
ハルヒ「なんで、悩む前に相談しなかったのよ!」
キョン「問題の当人に相談するヤツは阿呆だろ」
ハルヒ「アタシが!? アタシが悪いって言うのッ!?」
キョン「いや、悪いってーか……だから、そういう待遇への不満じゃなくてだな」
ハルヒ「だったら何よ! 言ってみなさいよ!! 直接本人に!! アタシにッッ!!!!」
キョン「だったら言うけどさ……あ、笑ったり怒ったりすんなよ?」
ハルヒ「もう怒ってる!!」
キョン「……そうかい」
ハルヒ「だからさっさと言えっ!! 言えったら言えぇっ!!」
キョン「……やれやれ。分かったよ」

キョン「えっとな……お前、昔『団内恋愛禁止』って言っただろ」




ハルヒ「…………は?」


キョン「だからさ……このままだと、俺はいつまで経ってもお前に告白出来ないとか、そんな……オイ、何泣いてやがるんだよ!?」
ハルヒ「……アンタ……アンタ、本当に、意味、分かんない……全然……全然、意味分かんないわよ、このヘタレっ!!」

キョン「悪い。なんか、変な告白だよな」
ハルヒ「違う。今のが告白だなんて認めないから」
キョン「……俺、振られちまったのか?」
ハルヒ「そうよ。そんな下らない、格好の付かない告白するから、もうアタシは呆れてモノも言えないわ」
キョン「そっか、俺、振られちまったか。ははっ……本当、最後までダメだな、俺は」
ハルヒ「はぁっ? 誰が最後なんて決めたのよ?」
キョン「え?」
ハルヒ「ワンモアよ、キョン。アタシがOK出すまで何度でもリテイクしていくからね」
キョン「え? えっ!?」
ハルヒ「……馬鹿面。Once more again !!」
キョン「……発音良いなァ、チクショー」


キョン「今から、デートしないか?」
ハルヒ「はぁっ? 今から? 何よ、24時間ファミレスでも行くつもり? 悪いけどお断りよ! ワンモア!」
キョン「クリスマスイブだし、折角だから告白したいんだが」
ハルヒ「『せっかくだから』で選ぶのは赤の扉くらいにしておきなさい! ワンモア!」
キョン「この下り、キャラスレのハルヒ親父そっくりだから勘弁して欲しいんだが」
ハルヒ「もうメタ発言は要らないのよ! 空気を読みなさい! ワンモア!」
キョン「愛してる」
ハルヒ「恋をすっ飛ばすな! アタシはまだまだドキドキし足りないのよ!」
キョン「今、ドキドキさせれてないか?」
ハルヒ「そんだけアンタに期待してるって事くらい察しなさい! ワンモア!」
キョン「付き合ってくれ」
ハルヒ「ストレート過ぎで捻りが足りない! ワンモア!」


一方その頃の長門さんと朝比奈さん

朝比奈「ふふっ、なんだか青春ですねぇ。良いなぁ、涼宮さん」
長門「朝比奈みくる」
朝比奈「はい?」
長門「貴女から見て、あの二人は今年一年良い子だった?」
朝比奈「それはもう! とっても良い子でしたよ。長門さんは、そうは思わないんですか?」
長門「私も、そう思う」
朝比奈「でしょう?」
長門「では」
朝比奈「ええ」
長門「良い子には」
朝比奈「プレゼントを」

長門&朝比奈「「それがクリスマスだから」」

聖なる夜を、ソリが飛ぶ。
トナカイに扮した宇宙人がソリを引いて。
赤い服を身に纏った未来人が大きな袋をひっくり返す。

長門&朝比奈「「Merry Christmas !!」」


そして、街には雪が降り出した。


キョン「俺以上にお前の理解者になれるヤツがこの先あらわ……あ?」
ハルヒ「……雪」
キョン「……雪、だな」
ハルヒ「ホワイトクリスマス、ね」
キョン「みたいだな」
ハルヒ「ぷっ!」
キョン「人の顔見て笑うなよ」
ハルヒ「髪の毛」
キョン「髪の毛がどうかしたか?」
ハルヒ「雪が乗ってる」
キョン「……帽子、っつったって、サンタ衣装の帽子しかねぇよ」
ハルヒ「良いじゃない、それで」
キョン「……大体、どんな告白しようがこんなコスプレしてる時点で雰囲気出ねぇし」
ハルヒ「そうでもないわよ」
キョン「あ?」
ハルヒ「サンタクロースなら、サンタクロースらしく、アタシにプレゼントをすれば良いって言ってるの!」
キョン「……あー。で、お前は何が欲しいんだよ?」
ハルヒ「鈍い! 察しなさい!」
キョン「だから、何を!?」


長門「今が好機」
朝比奈「降雪部隊、行きますよー。待ってて下さいね、キョン君!」
長門「涼宮ハルヒの」
朝比奈「唇目掛けて」
長門「雪の花びら」
朝比奈「投下しまーす!」

花びら
ひら
   り
揺 れ
     て
  ふ
   わり
  落
  ち
  て
  唇に乗って
      溶 け  る

古泉「ほら。涼宮さんの唇が、冷たそうですよ、ねぇ?」


ハルヒ「……誤魔化されないわよ?」
キョン「……誤魔化されとけよ」
ハルヒ「キスくらいで、アタシが落ちると思ったら大間違いなんだか、らっ……」
キョン「だったら、何で顔を上向けてんだよ、お前は?」
ハルヒ「察しろって言ってんでしょうが、この阿呆キョン!」
キョン「なんでも良いが、アヒル口くらい解いたらどうだ? 俺だって初心者なんだ。しづらくって適わん」
ハルヒ「ちょっと口開けておいた方が感じ出るの、こういうのって?」
キョン「だから初心者なんだっての。俺に聞くな」
ハルヒ「なんでも良いけど、唇が冷たくなってきたから早くしてよね」
キョン「……はいはい」

ハルヒ「……ワンモア。言わすな、馬鹿」
キョン「だったら、俺から言おうか。Once more again」
ハルヒ「発音、悪いわね、アンタ」
キョン「生憎、生まれは英語圏じゃなくてスカンジナビア半島なんだ」
ハルヒ「今のは……悪くなかったわよ」
キョン「ソイツは、嬉しいね。ワンスモアアゲイン。良いか?」
ハルヒ「一々……聞かないでよ」


ハルヒ「サンタクロース、来年もやらない?」
キョン「どうかな? お前が望むんならやってやっても良いかな」
ハルヒ「だったら、やりなさい」
キョン「あいよ。……んと、理由を聞いても良いか?」
ハルヒ「理由? 簡単よ」

ハルヒ「アタシは来年も良い子にしてるつもりだからね!!」



「良い子の味方は聖夜に踊ったり雪降らせたりキスを見守ったりする」

あるいは

「Strike One Snow/ストライクワンスモア」


追記:09年クリスマスSS


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あきゅろす。
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