ハルヒSSの部屋
Dear My friend
キョン「ういーっす……あれ、古泉オンリー?」
古泉「みたいですね」
キョン「長門は?」
古泉「海賊王になられるそうです。なんでもいたくお気に召した漫画が有ったらしく」
キョン「……アイツならなれそうだな。つか、チートだ。朝比奈さんは?」
古泉「……卒業なされました」
キョン「そうか……そうだったな」
古泉「あの日は早咲きの桜が綺麗でしたね。まぁ、済んだ事を悔やんでも仕方がありません」
キョン「そう……だな。ハルヒは?」
古泉「先程、用事が有るとかで書置きを残して帰って行かれましたよ」
キョン「お前と二人か。色気に欠けるな」
古泉「そう言わないで下さい。たまにはのんびりカードゲームなんかも良いでしょう?」
キョン「……それはそうと、ホワイトボードのあの『書置き』はなんて書いてあるのか、分かるか?」
古泉「宇宙語ですからね。僕も涼宮さんに翻訳して貰わないと読めませんでした」
キョン「長門以外に読めないよな……あいつも何考えてんだ?」

古泉「内容は『二人で留守番しておけ』だそうです」
キョン「……カードゲームの実況でもしろ、ってかよ?」

キョン「そういやさ……」
古泉「なんですか?」
キョン「いや、お前も同年代だから分かると思うんだが」
古泉「だから、何がでしょう? はっきりと言って貰えると助かります。それとも、言い出しづらい事でしょうか?」
キョン「言い出しづらいっちゃ、そうなんだが。この部屋、女の子くさいよな」
古泉「……まぁ、否定はしません」
キョン「いつも、一癖も二癖も有るとは言え女が三人も集まってりゃ無理からぬ話なんだが」
古泉「朝比奈さんの衣装などもハンガーに掛かっていますしね」
キョン「……そこで提案なんだが」
古泉「……みなまで言わずとも結構ですよ、キョン君。交代でいかがでしょう?」
キョン「古泉……やっぱりお前も男なんだな」
古泉「何を今更。あ、バニーは汚さないで下さいね」
キョン「分かった。最初から俺の目的はメイド服だ」

古泉「では、僕は見張りに立ちましょう」
キョン「すまんな、先を譲って貰って」
古泉「いえいえ、良いんですよ。コトが済んだらドアを内側からノックして下さい」
キョン「……今日は、暑いな」
古泉「着替えたくなるその気持ち、痛いほど分かりますよ」

キョン「しかし、部屋の外に出てるのはリスクが高くないか?」
古泉「僕とて、同性がメイド服を着ている所など見たくはないのですよ。理解して下さい」
キョン「ああ、そういう事か。俺だって見たくないな」
古泉「勘違いを防ぐために先に言っておきますが、僕は着ませんよ。脱ぐだけです」
キョン「……嗅ぐタイプか」
古泉「あまり深い詮索はお互いのためにならないかと」
キョン「そうだな。確かに想像しても気持ち悪いだけだ」
古泉「では……時間も無い事ですし、そろそろ始めましょう」
キョン「おk」
古泉「という訳で僕はドアの向こうに居ます。何か有りましたら電話でお知らせしますね」
キョン「内側からも鍵は掛けておくが……頼んだぞ、古泉」
古泉「お任せ下さい」
キョン「……今日ほどお前が頼もしく思えた日は無いよ、マイフレンド」
古泉「僕も、今日ほど輝いているキョン君を見た事は有りませんでした、ディアフレンド」

キョン「さて、と」
キョン「朝比奈さんのメイド服は〜♪」
キョン「分かり易い位置に掛かってんな。これじゃ『汚してくれ』って言ってる様なモノですよ、朝比奈さん」
キョン「……着る前にとりあえず嗅いどくか」
キョン「すぅーはぁーすぅーはぁー」
キョン「……甘い」
キョン「なぜだ。なぜ、朝比奈さんが日ごろ着用しているだけなのに甘い匂いがするんだ」
キョン「こ、これが異性というものか……」
キョン「不覚にもエレクトしちまった」
キョン「嗅覚ってのは凄ぇな」
キョン「俺が若いのか? イヤイヤ、常日頃からあのグラマラスロリに顔を埋めていたいと思っている以上」
キョン「仕方が無い、ってヤツなのさ。ああ。きっとそうだ」
キョン「擬似的とは言え、今、俺は朝比奈さんの胸の谷間に顔を埋めているんだ……だからこれは当然の結果だろ」
キョン「おっと、ズボン脱がんとな」
キョン「マイサンが苦しがっている」

古泉「今頃、キョン君は天国でしょうね……」
古泉「蒸し暑いこの廊下も、今日に限っては悪くない」
古泉「涼宮さんのバニー……黒タイツ……か」
古泉「僕は今日のこの日のためにずっと戦ってきたのかも知れませんね」
古泉「……僕は、涼宮さんに選ばれて良かった」
古泉「おっと、表情に出してはいけませんね」
古泉「誰かが来て、不審に思われては僕の番が来ないかも知れませんし」
古泉「しかし……黒の兎耳に降りかかる白濁は……」
古泉「くっ……ズボンの前が突っ張ってきました」
古泉「ダメですね。楽しい妄想はこの辺りにしておきましょう」
古泉「さ、マイサン。僕と一緒にもう少しだけ風に吹かれていましょうか」
古泉「後でゆっくりと裏地なりエナメル地なりを楽しませてあげますからね」
古泉「……今日は風が気持ち良い……」

キョン「……メイド服……か」
キョン「服と名が付く限りは着るもので間違いあるまい」
キョン「……ならば着ない方が服を作った人間への失礼に当たろうと言う物だよな。うん」
キョン「……広げた瞬間に苺を思わせる甘い匂いが……」
キョン「シャンプーか? それともボディーソープ? ヤバいな。コレだけでバッドトリップが出来そうだ」
キョン「おっと、一瞬意識が飛んじまった。凄まじい破壊力です、朝比奈さん」
キョン「夢は見れたかよ、ってな。やかましいっつの」
キョン「むしろ、お楽しみはこれからだ、だろ、この状況は」
キョン「……これ、どうやって着るんだ?」
キョン「後ろにジッパーが有るから、先ずはこれを下ろすんだよな……」
キョン「で、だ。このぱっくり開いた背中から足を入れてそのまま引っ張り上げちまえば……」
キョン「おっと、ヤベぇ」
キョン「先ずは制服を脱がないとな」
キョン「トランクスは脱ぐべきか。脱がざるべきか……」

古泉「時間の流れが遅く感じます」
古泉「僕は……どう。期待してしまっているのでしょうね」
古泉「結局のところ、僕は涼宮さんに触れる事は出来ません」
古泉「その役はキョン君のモノですから」
古泉「僕の想いは無為でしかない。どれだけ想っても、望んでも」
古泉「しかし……」
古泉「擬似とは言え、その想いが実ろうとしている。果たされようとしている」
古泉「キョン君は朝比奈さんのメイド服狙いでしたね」
古泉「結構です。彼が他の女性に目を向けている間に」
古泉「涼宮さんの貞操は、僕のモノとなる……」
古泉「フフッ……フフアハハハハッッごほっごほっ」
古泉「彼女は! 涼宮さんは! 何も知らずに黒バニー衣装をいつか身に纏う事でしょう!」
古泉「その股間部分に汚らわしい僕の詩趣(誤用)がべったりと染み込んでいる事も知らず!」
古泉「あ、痛っ」
古泉「僕とした事が少々エキサイトし過ぎましたね。鎮まりましょう、マイサン」
古泉「この天国を待つ時間こそが、もしかしたら本当の天国なのかも知れません」
古泉「……ああ、キョン君ですか? ……はい。……はい。……いえ、全裸こそ服に対する最大の敬意だと僕は思いますが」

キョン「だよな。おう、古泉、サンキュな」
キョン「確かに全裸じゃないとメイド服の恩恵の全てには預かれん、か」
キョン「……カーテンを閉めよう」
キョン「しっかし、窓も開けないとなると、蒸すな、この部屋」
キョン「俺の汗が……そして汁が。染み込んだメイド服を明日には朝比奈さんが着るのか……」
キョン「『なんか変な匂いがしませんか?』ってな。そりゃするだろうよ」
キョン「なんせ着ているその服が匂いの発生源だ」
キョン「……よし、装甲全解除完了」
キョン「ついに屋内用後方支援装備M型に装備を変更する時……!」
キョン「ゆ……指が震える……」
キョン「落ち着け、俺。いや、決して落ち着くな。この感情の昂りを維持しつつ……」
キョン「……腰骨が……入った! ……既にこれは神の思し召しなのだな!」
キョン「ハルヒのヤツもたまには良い事してくれるじゃねぇか。朝比奈さんのメイド服がフリーサイズだなんてな」
キョン「ま、ちょっと小さいがフィット感重視、って事にしておけば問題無い」
キョン「そして、この背中のジッパーを上げれば……」
キョン「朝比奈さん……あなたと……合体したい!!」

コンコン
古泉「合言葉を。『違うよ。変態じゃないよ』」
キョン「『変態という名の紳士だよ』」
キィ…
古泉「お疲れ様でした。大分やつれましたね。いかがでしたか?」
キョン「古泉……気を付けろ」
古泉「は?」
キョン「あれは……魔物だ」
古泉「魔物……ですか」
キョン「ああ。俺は神と悪魔を同時に見た」
古泉「……それは……なんと言えば良いのか」
キョン「どれくらい俺は部室の中に居た?」
古泉「そうですね。……約一時間といった所です」
キョン「そうか。俺はその一時間が精神と時の部屋に居るような心持ちだったよ」
古泉「……いささか、オーバーでは?」
キョン「かも知れん。だが、永遠に感じた。その実、一瞬にも感じた」
古泉「ともかく、想像を絶する経験をされたようですね」
キョン「気を付けろよ、古泉」
古泉「肝に銘じます」
キョン「あ、後スマン。三回抜いた」
古泉「臭っ!!」

古泉「すいません、ちょっとこの匂いは趣を損ないます」
キョン「だろうな。やり過ぎた。今となっては反省している」
古泉「これでは意中の方に包まれているというよりも、キョン君のふぐりの中に居る錯覚を引き起こしかねません」
キョン「流石に言い過ぎだと思うが……まぁ、良い」
古泉「ぶっかけたのはメイド服だけですか?」
キョン「今日の所は……な」
古泉「分かりました。では、匂いの元を隔離しましょう」
キョン「なるほどな。しかし、どこに隠す?」
古泉「紙袋に入れますので、それを持って外に出ていて下さい。隠し場所は、お任せします」
キョン「……男子トイレの掃除用具入れにでも一旦入れておくか」
古泉「素晴らしい考えかと」
キョン「あ、触らない方が良いぞ、それ」
古泉「……見事にグチョグチョですね……」
キョン「今、摘む物持って来る」
古泉「……スカート部分の裏地が特に酷い……これが一発目ですか。貴方も、健康な男性なのですね」
キョン「言うなよ、古泉」
古泉「これはこれは。失礼しました」

キョン「そしたら、俺はコレをどっかに隠してくるわ」
古泉「ええ、お願いします。では、一時間後に」
キョン「いつも、任務任務でお前も鬱屈してるんだろ。今から一時間くらいは全てを解放しても、バチは当たらないと思うぞ」
古泉「……僕の罪悪感を払ってくれたのですね。ありがとうございます。貴方は……僕の親友だ」
キョン「今更、何言ってんだよ。ずっと前から、俺達は親友だろ?」
古泉「……キョン……くん……くぅっ」
キョン「ほら、泣いてんじゃねぇよ、古泉。アルカディアはすぐそこだぜ? お前がこのドアを閉めたその時から、ここはお前だけの桃色閉鎖空間だ」
古泉「はい……はい! では、古泉一樹、イってきます!」
キョン「おう、楽しんで来いよ」
古泉「では、後ほど……生まれ変わった僕が……」
キョン「どんなイイ顔をしてるか、楽しみだ。じゃあな」
古泉「大人の階段、半歩上ってきます」

ガチャリ

古泉「……涼宮さんのバニーの保管場所は既に特定済みです」
古泉「日ごろの行いが功を奏しましたね。これで速やかに行為に移れるというもの……」
古泉「よいしょっと……確か、この棚に……」
古泉「有りました……これが……涼宮さんの肢体を包み込んだ羨ましくも憎らしい服」
古泉「あの張りが有り、かつしなやかな太ももから足の指先までを締め付けた罪深き聖衣」
古泉「……夢にまで見た、涼宮さんの黒タイツ……」
古泉「もう……もう、我慢出来な……くぅっ!?」
古泉「そうでした。こういった儀式には、それ相応の服装が必要でしたね」
古泉「僕とした事が……うっかりしてバニーに対する礼を欠く所でした。昂り過ぎでしょうか」
古泉「冷静になれ、古泉一樹。大丈夫だ。時間はたっぷり有る……」
ヌギヌギ
古泉「なんという開放感でしょう! これが背徳! 何かに目覚めてしまいそうです!」
古泉「超能力など、目では有りません! す……素晴ら、しいっ!!」
古泉「部室で全裸、こんな世界があったなんて! ああ、僕の世界に生まれて初めて色が付いた!!」

テクテク
キョン「今頃、古泉は楽しんでるんだろうなー」
キョン「しっかし、俺もハッスルし過ぎだ。明らかにメイド服の重さじゃねぇぞ、この紙袋」
キョン「……朝比奈さんは卒業してるんだし、部室に返さなくてもバレないよな、これ」
キョン「そうと決まれば、帰りに回収してくか」
キョン「……青臭いが、水洗いなら朝比奈さんの匂いが一気に消え去る事も無いだろ」
キョン「誰に迷惑を掛けている訳でもない。ああ、そうさ。これは罰せられる事じゃ決して無いんだ」
キョン「よし、ここに隠しておけば誰にも見つからないだろ……さて、部室に帰って見張りをしますかね」

バタバタ
ハルヒ「部室に忘れ物しちゃった!」

古泉「さて、では改めまして」
古泉「黒バニー衣装さん、これから貴女の相手をさせて頂きます、古泉一樹です」
古泉「言わずもがな、童貞です。初めてでありながら貴女の相手をさせて頂くこの非礼を先ずはお詫びします」
古泉「ですが、やる気は十分です。満足させる事は出来ないかも知れませんが若輩なりに頑張らせて頂きます」
古泉「ので、お手柔らかにお願いします」
古泉「……さて、一発目は……やはりクロッチ部分ですか」
古泉「彼がそうであったように、僕もやはりそこに興味は有るのでしょうね。健全な男子高校生ですから」
古泉「バニーの裏地に吐くか……タイツの股間部分に吐くか……」
古泉「より地肌に近いのはタイツで間違いないのです。しかし、エナメルの裏地も僕の心を掴んで放さない……」
古泉「僕はどうするべきなのでしょうか……ディアフレンド?」
幻聴キョン「迷う必要なんかねぇよ。両方にかければ良いだけの話だろ」
古泉「……キョン君……貴方は矢張り僕の親友……いいえ、もしかしたら貴方が神なのかも知れません」
古泉「では、御心のままに……」
コスコスコスコスコスコスコスコス
古泉「く……黒タイツで扱き上げるこの感触……まさに桃源郷……ララァ、時が見える……」

古泉「……ふぅ。写生の間に出すのを一度止めるのは中々骨が折れましたが……しかし、その甲斐あって良い作品になりました」
古泉「この白と黒のコントラスト……極上の水墨画の様です」
古泉「写メしておきましょう」
カシャリ ティロリーン☆
古泉「うーん、明度に欠ける分写りは悪いですね……しかし、こういった物は想像を補えればそれで十分です」
古泉「僕は今日の事を思い返して何度もGに浸る事でしょう……」
古泉「……」
古泉「おっと、物思いに浸っている場合ではありません。二発目が僕を待っている」
古泉「次はどこにかけましょうか……やはり、兎耳カチューシャ? いや、胸パットの内側も捨て難い……」

コンコン

古泉「あ、キョン君ですか?」
古泉「もう一時間経ちましたか? ……確かに少し忘我していた事は認めますが……あれ?」
古泉「まだ三十分も経ってませんよ。終了宣言には早くありません?」
古泉「あ、何か注意事項ですか? しかし今は良い所なので、お話が有りましたらまた後で、でお願いします」
古泉「僕だって、話しかけたいのを我慢して一時間待ったんですから」
古泉「少しくらい尊重して下さいよ」

ハルヒ「何の話、古泉くん?」
古泉「うわあああああああああああああああああああああああああッッッッッッ!!!!」

キョン「ある〜はれ〜たひ〜のこか〜ん♪ お・お・きい♪ ん〜、ドリ〜ム♪」
キョン「さって、と。古泉はよろしくやってるかな?」
キョン「アイツもなんだかんだ言って男だったんだなぁ。これからはソウルメイトとして良い関係が築けそうだ」
キョン「AVの貸し借りとかな。古泉はセレブ系とか持ってそうだ。俺の中田氏系とどっちがコレクションとして上かねぇ〜♪」
キョン「ん? 部室の前に……」
キョン「は……ハルヒ!?」
キョン「あの馬鹿! 帰ったんじゃないのかよ! マズい。マズいぞ、あの中には……」
キョン「全裸の古泉が今まさにマスかいてやがるってーのにッ!!」

キョン「……俺の証拠は隠滅したよな。うん」
キョン「よし。しったこっちゃねーや」
キョン「古泉……往生せいや……屍くらいは拾ってやる……さらばだ、マイフレンド」
キョン「短い友情だったなぁ……」
キョン「さて、メイド服回収して来よう」
キョン「ある〜はれ〜たひ〜のこか〜ん♪」

ハルヒ「古泉くん?」
古泉「ニャー」
ハルヒ「なんだ……猫か。そりゃ、窓開けっ放しにしてれば猫だって迷い込むか……」
ハルヒ「って、無い無い」
古泉「猫だニャー」
ハルヒ「自分で猫って言ってるから、やっぱり猫なのかしら」
古泉「そうなのニャー。みだりに人を疑う人は嫌いなのニャー」
ハルヒ「……えらく日本語が達者ね」
古泉「大体百万回くらい生きてれば、人間の言葉を喋れるようになるのニャー」
ハルヒ「……こいずみくん? 何、やってるの?」
古泉「……ぼ、僕は古泉一樹じゃないニャー。ただの通りすがりの日本語が喋れる猫だニャー」
ハルヒ「……あたし、いつ古泉くんの下の名前を言ったかしら、猫ちゃん?」
古泉「にゃ、ニャー。抜かったニャー。僕とした事がそんな使い古された手に気付かないほど動揺してたニャー」
ハルヒ「まぁ、よく分かんないけど、とりあえずここ開けてくれない?」
古泉「……涼宮さん、死にたいんですか?」
ハルヒ「は? なんで、あたしが自分の部室に入っただけで死ななきゃいけないのよ」
古泉「いつもと同じ場所だと油断しているから、交通事故が起こるとはよく聞く話ですよね?」
ハルヒ「徒歩だし」
古泉「一度読んだ本でも、二回目は全く違うお話になっているんですよ?」
ハルヒ「その映画なんだっけ?」
古泉「ネバーエンディングストーリー2です」
ハルヒ「そうそう、それそれ! 引っかかってた小骨が取れたみたい。ありがと、古泉くん!」
古泉「いえ、お安い御用です」

ハルヒ「じゃ、部室のドアも開けて?」
古泉「それは拒否する」

クイッ
キョン「お?」
長門「……どこに行くの?」
キョン「お前こそ海賊になったんじゃないのかよ」
長門「東シナ海の海賊に絶望した。一人も腕が伸びなかった」
キョン「……残らず脱臼してる様が目に浮かぶな」
長門「それで、貴方はどこに行くの?」
キョン「いや、ちょっとトイレにな……」
キョン「(……回収前で良かった。こいつは嗅覚も良いからな。持ってたらアウトだった)」
長門「では、トイレに行く前に聞いて欲しい」
キョン「なんだ?」
長門「現在、文芸部室の扉に鍵が掛かっている。その扉の前に涼宮ハルヒ」
キョン「あー……ああ。それがどうした? 別に締め出されただけじゃないか」
長門「部室内部をスキャンした。室内に古泉一樹の存在を確認。涼宮ハルヒもそれに気付いている」
キョン「へぇ。古泉が……なんだ。引きこもってる、って話か?」
長門「事態はそんなに単純ではない」
キョン「だったら何が問題なんだよ」
長門「室内の古泉一樹が全裸である事。そして涼宮ハルヒ所持のバニーガールと呼ばれる衣服に精液を付着させている事の二点」
キョン「(予想の範囲内だが……驚いておく必要が有るか)」
キョン「……ま、マジかよ!?」
長門「事実。もしもこの事態が明るみになれば」
キョン「なれば?」
長門「……世界改変の危機」
キョン「しまったぁぁぁぁぁぁッッッッッ!!!!」

キョン「(忘れてたよ。ってかそりゃ当然だ。あのハルヒがそんな崇高な儀式を理解できるわけが無い)」
キョン「(下手しなくてもトラウマもんじゃねぇか。そして、あいつがそんな世界を許しておくとは思えない!)」
長門「一番軽度で済んだとしても古泉一樹の消失は免れない」
キョン「古泉が……消失……いや、それは予想の範囲内なんだが」
長門「?」
キョン「いや、なんでもない。続けてくれ」
長門「もっとも可能性として高いのが『男性の全消失』。つまり、この世界から男性に該当する存在が全て消える」
長門「無論、貴方も例外ではない」
キョン「……やっちまった」
長門「? 貴方は何もやっていない。悪いのは気を狂わせた古泉一樹」
キョン「いや、そりゃそうなんだが」
長門「ともあれ、このままでは危険」
キョン「だな」
長門「私という個体は貴方に消えて欲しくないと思っている」
キョン「分かった。そしたら古泉を助けに行くか」
長門「古泉一樹は消えても構わない。が、その余波は困る」
長門「……本当に使えない……」
キョン「まったくだ。世話が掛かるな」

古泉「涼宮さん、忘れ物を窓から放るのではいけませんか?」
ハルヒ「割れ物だから困るわよ」
古泉「いえ、貴女なら割らずにそれを取るのは容易でしょう?」
ハルヒ「嫌。なんでそんな事しなくちゃいけないの。古泉くんがここを開けてくれれば良いだけじゃない?」
古泉「それが出来たら苦労はしていないんですよ!!」
ハルヒ「ちょ……古泉くん? 本当にどうしたの?」
古泉「申し訳ありません。僕とした事が少々感情的になってしまいました」
ハルヒ「それは別に良いんだけど……何か有った?」
古泉「どちらかと言うと『何も無い』と言った方が適切なのでしょうね」
ハルヒ「意味が分からないわよ!」
古泉「分かって貰っても困ります」
古泉「とにかく、今の僕は貴女に顔向けできる状況では無いんですよ」
ハルヒ「……どうしたの? まさか……一人で泣いてたり……?」
古泉「まぁ、涙を流していたというのは当たらずも遠からずです。白濁の涙ですが」
ハルヒ「はくだく?」
古泉「おっと、戯言です。忘れて下さい」
ハルヒ「ちょっと、古泉くん! 『はくだく』って何!? 何の事なの!?」
古泉「……黙秘権を行使します」

prrr prrr
古泉「はい、古泉です」
キョン「おう、古泉か。まだ無事だな?」
古泉「その様子ではこちらの状況が分かっているようですね……」
キョン「なんとなく想像は付く。で、だ。お前、脱出出来そうか?」
古泉「……無理ですね。服を着る事すら動転して忘れていたくらいです」
キョン「そうか……よし、服を着ろ。話はそれからだ」
古泉「了解です!」

古泉「着替えました」
キョン「で、だ。これからどうする?」
古泉「窓から被害に有ったブツを投げます。それを受け取ってどこかに隠して下さい」
キョン「嫌だよ。自分のならまだしもお前の汁の匂いなんざ嗅ぎたくねぇ」
キョン「百万積まれても断るね」
古泉「……貴方には失望しましたよ、ディアフレンド」
キョン「そう言うな。お前だって逆の立場なら断るだろ、マイフレンド」
古泉「かも……知れませんね。ならばどうします?」
キョン「古泉、良いか……良く聞け。今、お前は文芸部室に居るな」
古泉「聞かなくても分かるでしょう!」
キョン「声を荒げるな」
古泉「すいません……不覚にも興奮してしまいました」
古泉「そして涼宮さんに不貞の仕業を見られるかも知れないというこの状況で、僕は確かにエレクトしています」
キョン「そんな報告は要らんからな?」

長門「コンピ研の部室は占領した」
キョン「聞いての通りだ。古泉、お前はそこから窓伝いにこちらに来い。後は長門の遮蔽シールドでやり過ごす」
古泉「なるほど! 了解です」
キョン「一番の問題は、手にバニー衣装を持った上での曲芸だが……お前なら出来るな?」
古泉「機関での教育を甘く見て貰っては困ります」
キョン「だろうな。って訳だ。窓はもう開けてある。服は着たな?」
古泉「ええ。……キョン君、感謝しますよ」
キョン「俺とお前の仲だろ。今更、遠慮なんかするなよ」
古泉「キョン……くん……」
キョン「涙ぐんでる暇は無いぞ。今、ハルヒに要請されて鶴屋さんが部室の予備の鍵を職員室に貰いに行った」
古泉「分かりました。では、ミッションをスタートします」
キョン「合言葉は?」
古泉「変態という名の紳士だよ」
キョン「よしっ。じゃ、俺はコンピ研でお前の生還を待ってるからな」
キョン「格好良いところを見せてくれよ、変態紳士!」
古泉「お任せ下さい」

キョン「頑張れ、古泉ッ! あと少しだっ! あと少しで俺の手が届くッ!」
古泉「きょ……キョン君ッ!!」
キョン「ところで古泉。お前、マスかいたのはどっちの手だ?」
古泉「え? 僕は右利きなので右手ですが」
キョン「そうか。むしろ利き手じゃない方が気持ち良かったりもするもんだが。と、どうでも良いか」
古泉「やり方は人それぞれでしょう?」
キョン「まぁな。ほいで、事後に手は洗ったか?」
古泉「まさかぁ。そんな暇は有りませんでしたよ、ははっ」

ガラガラッ ピシャリッ ガチャ

古泉「ディアフレーーーーーンドッッッッッッッッ!!」

古泉「うぐっうぐっ……」
古泉「コいたのはタイツ越しだから直接触ってはいないのに……」
古泉「見捨てられた……僕はこのまま……涼宮さんに発見される……」
古泉「彼女の……白く装飾されたバニー衣装と共に……」
古泉「美しい……この美の極致だけを持って……」
古泉「僕はそれを後生大事に抱えたまま、オナニーマスターと後ろ指を差されて生きていく……」
古泉「……この美を理解出来るのは同好の士であるキョン君くらいか」
古泉「……他の人間からは『オナニーマスター古泉』と……」
古泉「オナ泉……ははっ。オナ泉か。今の僕にこれほど相応しい呼称も無い……」
古泉「神と親友に見放された……ここが僕の死に場所か……」
古泉「……悪くない……」
古泉「涼宮さんがこの服に顔を埋める僕を見た時、どんな目をするだろうと」
古泉「想像している最低な僕には」
古泉「こんな死に方が、お似合いだ……」

ハルヒ「鶴屋さん、ありがとっ! 古泉くーん、入るわよー!」
古泉「……最後に……バニーを着た僕を見て貰おう、彼女に……」
古泉「世界が、道連れだ。寂しくは……ない」

長門「個体名『オナニーマスター古泉』を敵性と判定」
長門「当該対象の有機情報連結を解除する」
長門「……許可を」
キョン「……悪く思うな、マイフレンド。これも世界のためだ」
キョン(凄くイイ笑顔)「よしっ、やっちまえ☆」
長門「……そう」

ハルヒ「あれ? 古泉くんは? 確かに声はしたんだけど」
鶴屋「にょろ〜ん? ねぇねぇ、ハルにゃん、この部屋、変な臭いがしないかい?」
ハルヒ「すんすん……本当だ……なんだろ、これ」
鶴屋「とりあえず換気にょろよ〜」
ハルヒ「カーテンも閉めっ放しで! あっついしくっさいし、何がどうなってんのよ!?」
ザザッ ガラガラッ
鶴屋「うーん、外の空気がこんなに美味しく感じたのは久しぶりっさ〜」
ハルヒ「本当ね。それにしても、何かしら、このすえた臭い……?」
鶴屋「とりあえずあたし、ファブリーズ買ってくるねぇ〜♪」
ハルヒ「あ、鶴屋さん、お願い」
ハルヒ「本当に……なんだろ。植物の汁みたいな……」
ハルヒ「ん? 何、この白いの?」
ハルヒ「……ネバネバしてる……」
ハルヒ「これが古泉くんの言ってた『白濁の涙』ってヤツかしら……?」
ハルヒ「でも、肝心の古泉くんがどこにも居ないのよね……」
ハルヒ「???」

キョン「あ、鶴屋さん。卒業したのに、なんで北高に居るんですか?」
鶴屋「色々とお姉さんにも事情が有るのっさ。聞きたいかい?」
キョン「いえ、別に」
鶴屋「そっか。なら、乙女に詮索は無用にょろよ〜?」
キョン「はぁ……」
鶴屋「それはそうと、キョン君。古泉君知らないかい?」
キョン「あいつは……世界を守ったんですよ」
鶴屋「???」
キョン「そうですね。風に溶けたと言い換えても良いのかも知れない」
鶴屋「なぁ〜んか、訳知り顔だね、キョン君?」
キョン「まぁ、それなりに。今、部室に残っているだろう臭いが、アイツの残していった唯一のもの」
キョン「そんなところですか」
鶴屋「よく分かんないけどさ。古泉くんにもキョン君にも色々と有るみたいだねっ」
キョン「聞かないんですか?」
鶴屋「無用な詮索はしない主義なのさ。ほんじゃ、またね〜」
キョン「古泉……お前が世界を救ったんだ。お前は……誇って良い」
キョン「お前は……最期まで立派な変態だったよ……」
キョン「マイフレンド……」

古泉、大空に笑顔でキメ☆


キョン「長門」
長門「何?」
キョン「このままだと部室に入れないから、古泉の残した臭いを全部分解してくれるか?」
長門「元よりそのつもり」
キョン「だよな。あんなもん、嗅ぎたくも無ぇ」
長門「同意」
キョン「こういうの、なんて言ったっけな。ほら、ことわざで」
長門「いたちの最後っ屁」
キョン「ああ、それだそれ。よし、古泉の居た証拠は全部消してしまえ」
長門「了解」
キョン「まったく、アイツはロクなもん残して逝かねぇな」
長門「だが、これでもうそういった事は無い」
キョン「よし、俺達もファブリーズ買いに行くか」
長門「(こくり)」


古泉「僕は生きています……皆さんの心の中で」
キョン「ああ、部室ファブリーズ臭ぇ〜」


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