彼氏と彼女
彼氏と彼女 (ドライブ)
彼女「めずらしいね、車でむかえに来てくれるなんて」
彼氏「いつもかかとの高い靴履いてるから、もしかしたら歩きにくいんじゃないかなぁ、と思って久しぶりに車出した」
彼女「すごい……そんなこと気づいてくれたんだ」
彼氏「当たり前だろ。何のために目が三つあるんだよ」
彼女「飛影!?」
彼氏「いや、テンシンハン」
彼女「どっちでもいい!」
彼氏「……気に入って買った靴は気分よく履いてほしいしな」
彼女「優しいね。でも、車でデートしたら飲みにはいけないね」
彼氏「そうだな……飲酒運転は二十歳になってからだもんな」
彼女「運転は駄目だよ!」
彼氏「免許取ると教習所で勉強したことって結構忘れるんだよなぁ。標識なんて『動物が飛び出すおそれあり』しか思い出せないよ」
彼女「めったに見ない標識だけ覚えちゃったね。私まだ見たことないし」
彼氏「車の話はつまんないよな。最近ドラマみてる?」
彼女「見てるよ。反町隆史のやつ」
彼氏「俺もみてるよ。競馬で70万円当てた男」
彼女「『ロト6で3億2千万円当てた男』だよ。70万じゃ2話で最終回するよ?」
彼氏「シバイタロカも面白いよな」
彼女「それ『シバトラ』じゃない!?ほとんど間違ってるよ?」
彼氏「ペンスターモアレン――」
彼女「『モンスターペアレント』!!米倉さんに謝れ!相変わらずドラマのタイトル覚えないね」
彼氏「悪いけどちょっとガソリンスタンド入るよ」
彼女「いいよ」
佐々木「いらっしゃいませ!」
彼女「……(出たな佐々木……)」
彼氏「ゴマ油満タンで」
彼女「走らなくなるよ!」
佐々木「大変申し訳ございませんが、只今ゴマ油の方は売り切れで……」
彼女「本来はあるの!?ていうか今さらだけどバイト掛け持ちしすぎだよ!」
彼氏「ならレギュラーでいいよ」
佐々木「レギュラー満タン入りまーす」
彼氏「そうだ、最近顔マネ覚えたんだ。しかもめちゃくちゃ似てる」
彼女「へぇー、誰の?」
彼氏「シャムシェイドのベースの人」
彼女「超マイナー!わかんないよ」
佐々木「レギュラー満タン入りましたー」
ぶぅぅぅん……
彼氏「どこ行く?」
彼女「お金は!?払ってないよね!?」
彼氏「値上がりしたからな」
彼女「だからなに!?理由になってないよ?」
彼氏「もう9時か……ちょっと見せたいものがあるからそろそろ目的地に向かうよ」
彼女「どこ?」
彼氏「すぐ着くよ。話かわるけど……彼氏はやっぱり金持ちのほうがいい?」
彼女「そりゃ貧乏よりはね……でもあんまり気にしないかな」
彼氏「金持ちの基準とかある?」
彼女「基準?やっぱり車とかじゃない?」
彼氏「よかったー、実家に三台ある……」
彼女「そんなに!?車種は?」
彼氏「え、ビークスパイダー、レイスティンガー、ハリケーンソニック……」
彼女「ミニ四駆!?」
彼氏「詳しいな」
彼女「ほっとけ」
彼氏「着いたよ。綺麗だろ?」
彼女「うわぁ……綺麗な夜景。これを見せたかったんだね。まるで宝石箱だよ」
彼氏「その宝石箱から……一つ指輪を取ってきたんだ、ほら」
彼女「えっ……これ……ダイヤ……じゃない?」
彼氏「結婚しないか?」
彼女「うわぁ……嬉しい。ありがとう」
彼氏「ごめんな、プロポーズの言葉普通で。いろいろ考えたんだけどどれもしっくりこなくて」
彼女「どんなの考えてたの?」
彼氏「毎朝味噌汁で作ってくれとか」
彼女「味噌汁で何を!?」
彼氏「あっ、返事は?……」
彼女「ちょっと考えさせて。こんな大事なこと簡単には決めたくないし」
彼氏「そうだな。そろそろ帰ろうか。送るよ」
彼女「うん」
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